ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

クリスマスイブの鐘

2006年12月25日 08時12分24秒 | ウィーンの生活
今ちょうど日付が変わり、クリスマスの日になりました。私はこんな日に限って書き物の期限に追われて家でPCに向かっているのですが、不意に盛大な鐘の音が!ちょうど日付が変る瞬間をまたがって3分間くらい鳴っていたでしょうか?ウィーン市街にはいたるところに結構大きい教会がありますのでとてもよく響きます。

クリスマスについては全然勉強不足でここに書けるようなことは何も知らないのですが、どうやら日本人のお正月にとても近いように思います。日本人のようにカップルが街でデートする日ではなくて、みんな家族と家で一緒に過ごすんですね。多くの外国人は母国に帰ります。今日の昼間にラボに行ってみたら本当にほとんど人が居ませんでした。いつもの日曜日とは全然趣が違います。

逆に年末年始は大したことは無く、元旦が休みなだけで二日から働き始めるようです。この時期はみんなが爆竹をならしたりロケット花火をガンガンあげたり、結構物騒らしいです。日本人的には年末年始は休みをもらって日本に帰るのがよさそうですが、まあ時期も時期ですし、やっぱりお金掛かりますからね。

モーツァルト・レクイエム(ルイージ指揮ウィーン交響楽団)

2006年12月20日 23時21分03秒 | 音楽(クラシック)
書き掛けで放っておいたら時間が経ってしまいました。

生誕250周年の目玉の誕生日は逃したものの、やはりモーツァルトイヤーのレクイエムはモーツァルト好きとしては外せません。エリーナ・ガランチャも入っていたStaatsoperでの公演は取り損ねましたが、Symphonikerをとりました。Operで聴くよりはやっぱりMusikvereinの方が良いですし、何よりファビオ・ルイージはまだ聴く機会が無かったのでOKです。(ティーレマンは暑苦しそうですし。。。)

Wiener Symphoniker
Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
Fabio Luisi, Dirigent
Ricarda Merbeth, Sopran
Birgit Remmert, Alt
Herbert Lippert, Tenor
Kwangchul Youn, Baß

Karl Amadeus Hartmann
Symphonie Nr. 1 nach Worten von Walt Whitman für eine Altstimme
und Orchester ("Versuch eines Requiems")
Wolfgang Amadeus Mozart
Requiem d - Moll, KV 626; vervollständigt von Franz Xaver Süßmayr

今回はせっかくのレクイエムなので奮発していい席に座ってしまいました。立ち席以外で一階で聴いたのは初めて。こんなに視界のいいところでコンサートを聴いたのは久しぶり!まあその分高いですが、それだけ良いとなると困っちゃいますね。

一曲目、全く情報が無く聞いたことも無い曲でしたが、なかなか聴き応えのある曲でした。ルイージの意外に熱い指揮に期待が膨らみます。ただ、これくらいの長さの曲になると曲の構成を知らないと辛いですね。

そしてレクイエム。
考えてみたらどういうわけか生でモツレクを聴くのは人生でたったの二度目でした。ヴェルディも二回くらい聞いたことがあるのに不思議です。でも意外に日本で演奏される機会が少ないのも事実だと思います。まあ今年は沢山演奏されたんでしょうけど。
テンポは現代的にというかそれよりももっと早いくらい。「怒りの日」ではヴァイオリンが相当辛そうでした。この曲はモーツァルトが自分でちゃんと書いたところまでは本当に素晴らしくて、その後はどうしても繊細さに欠けるのですが、結構長いこの曲を飽きさせることの無いようにルイージは相当頑張っていたと思います。しかしやっぱり後半が相当長いです。テンポだけ言うんならもっと落ち着いて聴けるところを作ってもらったほうが少し息がつけたんじゃないかと思いました。
それはともかくやっぱりウィーンの楽器でモツレクを演奏されただけでしびれてしまいます。バーンスタインの晩年の録音(映像もありますね)はオケがバイエルン放送響で情熱的なのですが、やっぱりクラリネットが。。。こういう瞬間はウィーンにいる幸せを感じてしまいます。SymphonikerはどうしたってPhilharmonikerの様には行かないのですが(テクニック・アンサンブル)、あっちはスーパーだけど気難しいので、私はこういう演奏会を聞くとこっちのオケのほうが親しみが持てて情熱的で良いなあと思ってしまいます。
そしてもっとも感銘を受けたのは合唱でした。日本の合唱団では有り得ない、個々人の音楽性をのびのびと発揮しているような歌いぶりで、時に伸びやかで時に情熱的で、しかし時々あってなくて、素晴らしく音楽的でした。これは指導の仕方もあるんでしょうけど、文化の違いですね。きっと晋友会のほうが全然上手いんじゃないかと思いますが、それが良いかどうかはまた別問題。
ソリストは結構力量に差があって、アルトがもっとも素晴らしく(前半の曲も歌っていたわけですね)、バスも安定していましたが、テノールは音程もリズムも怪しく、ソプラノはちょっと声が力不足。ここらへんはもうちょっとそろえて欲しいところです。
それでも非常に満足したコンサートでした。
オペラを聴くとオペラは素晴らしい!ウィーンにいるんだからオペラにどんどん行かなきゃ!と思うのですが、コンサートもやっぱりいいんですよね。やっぱりもっと立ち見するかなあ。

国立歌劇場の「薔薇の騎士」(後)

2006年12月13日 01時18分44秒 | 音楽(クラシック)
前回からの続きです。すっかり間が開いてしまいました。

Elina Garabcaについては別の情報が入りました。なんと彼女は次の風邪を弾き7日の公演は代役がたったそうです。彼女だけを前宛に来ている人がかなりいそうなので残念なことですが、私はとてもラッキーでした。

そして期待の彼女のオクタヴィアンはどうだったか?
間違いなく良かった。しかしはじめから私は「ちょっと調子悪いのかな?」と思っていたのでした。私は声の評価を出来るほどよく聞いていないのですが、なんというか彼女の声ののびが余裕がない感じで、その分音楽的な表現の幅が狭かったように思われました。私が聴いてきた一流の歌い手は先ず声の容量が違うと感じるのです。ギネス・ジョーンズのワルキューレ(メトロポリタンオペラのワルキューレ)、ジャネス・マルティンのオルトルート(ドイツ国立オペラのローエングリン)、それに及ぶインパクトはありませんでした。
しかしたとえば3幕はじめ'Nein, nein, Ich trinke kein wein'(いや、いや、私ワインはのめないの)と、かわいこぶるところはあからさまな猫なで声を出して見せたりなかなか芸達者で大胆なところは現代的だなあと思いました。
彼女の評価に着いては1月に沢山また聴くのでそれからにしたいと思います。

さて、久々に聴いた薔薇の騎士、心底楽しめました。そして、ああ、本当にウィーンの情緒に溢れているなあと思いました。多分前回はヨーロッパに対する憧れを抱きつつ聴いていたと思うのですが、今回はウィーン的な「人生、なるようにしかならないさ」という(オペラのストーリー的にはちょっと違うかもしれませんが)風情にぴったり来るのです。そしてオケの生き生きしていること!ワーグナーほど出ないにしてもこういうひっきりなしに引き続けるのは集中力もいるし大変なのではないかと思ってしまうのですが、これは彼らが完全に手中にしている音楽なんだと(当たり前ですが)感じさせられました。ウィーンフィルはやっぱりオペラで聴いていれば良いかなと最近は思っています。1月のモーツァルトオペラシリーズが今から楽しみです。

国立歌劇場の「薔薇の騎士」(前)

2006年12月03日 01時06分16秒 | 音楽(クラシック)
ウィーン国立歌劇場の薔薇は今回2回目。一回目は十年前に日本で、クライバー指揮!
クライバーを生で聴いたことがあるのは物凄くいいネタで、以前オーストリア出身のクラシックオタクの研究者と話したときは、「どうして僕にはチャンスが無かったのに日本住んでる君が聴いてるんだ!」と物凄く羨ましがられました。

更にネタとしていいのはものすごくチケットが高かったこと。ウィーンからの引越しオペラ公演だからコストは掛かって当然で、どれくらい不当に高いのかはよく分かりませんが、一番高いチケットは6万五千円。私のは4万で、東京文化会館の屋根裏のような5階のセンターでした。舞台は本当に見下ろすようで、奥のほうは見えないのですが、文化会館はとにかくセンターがいい、というのが私の持論で、音はとてもよかったです。あそこは不思議なホールで2階でもサイドの端のほうは良く見えないし、音も余り良くありません。一晩で4万は学生の私にはとんでもない出費でしたが、でも学生だから出来た素晴らしい出費でした。

このときの演奏はウィーンでのものがDVD化されてますし、多分この録音のせいで、このオペラはよりメジャーになったんじゃないかと思うくらいですが、キャストも恐ろしく揃っていて(恐らく完全にクライバーの好みで)、素晴らしく完成度の高く、クライバーの魅力たっぷりの演奏だったと思います。

Der Rosenkavalier
Dirigent Adam Fischer
Die Feldmarschallin Deborah Voigt
Baron Ochs Alfred Muff
Octavian, Elina Garanca
Sophie Jane Archibald

で、前置きが長くなりましたが、今回のは演出が完全に同じです。つまり舞台、服装は全く同じ、歌い手は全部違う、と言うことです。もちろん指揮者も違います。演奏はクライバーを意識しすぎなのか、あれがスタンダードになってしまったのか、冒頭からしてクライバー的なテンポで驚きました。が、序曲は快適に飛ばすものの管は完全の後手を引き、かなり怪しげな掛け合いで心配になりました。しかしこのオペラは彼らとしては自分達の為にあるようなものでしょうから、舞台が開いて落ち着けばさすがと言う感じ、私のところからは第二バイオリンがとても気持ちよさそうにのびのび弾いているのが見えました。

さて、私としては今回の注目は(多分聴衆の多くがそうだったと思うのですが)、OctavianのElina Garanca(つづりの最後は多分正確でありません。スペイン語だと思うのですが、読みはガランチャ、ガランシアの中間くらいでしょうか?)。今春ムーティーが振ったフィガロでケルビーノを歌い、別格だったそうで、その評判を聴いて、彼女を目当てにチケットをとっています。新年にはセビリア、フィガロ、コシファンと大忙しです。今度のモツレクにも入っていましたが、残念ながら取り逃しました。まあオペラのほうが絶対彼女の演技を含めて楽しめるに違いありません。

と、ここら辺で長くなったので続きは今度にします。ではまた!