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“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

よくぞここまで間違ってきたものだ

2014-02-01 | Weblog
国会では安倍首相の施政方針演説に対する各党代表質問が始まっている。すべて聞いたり読んだりできているわけではないが、答弁の内容は相変わらずのようである。
しかし様々なことを数日間のあいだに振り返るということにもなっていて、これだけ悲惨な状況なのかとあらためて思う。これらの全てを修正しなければならないのだと考えると、気が遠くなる。この国は、よくぞここまで間違ってきたものだ。

安倍首相は原発について「海外からの化石燃料への依存度が高くなっている現実を考えると、そう簡単に『原発はやめる』と言うわけにはいかない」「電気が足りているとの指摘もあるが、発電所の定期検査の繰り延べや老朽火力発電をフル稼働した結果であり、電力需給は予断を許さない状況が続いていると考えている」「日本は昨年、化石燃料の輸入に27・4兆円も払っており、原発がないことで3・6兆円も多く支払っている。徹底的な安全審査を行い、これに合格した原発について再稼働を判断していく方針だ」としつつ、都知事選で原発問題が争点化するのを避けて新しいエネルギー基本計画の閣議決定を先送りした。
このエネルギー基本計画閣議決定先送りの間に、電力会社などでつくる電気事業連合会が自民党議員に原発の「新増設・リプレース(建て替え)の必要性を明確化する」文書を配っていたことが発覚した。同党が計画内容について行った党所属国会議員へのアンケートについて、原発推進の立場で答えるよう促す内容だという。文書は核燃料サイクルも「着実に推進する」としている。内容はもちろん絶望的に最悪だ。そして、なぜ業界から政党が命令されなくてはいけないのか。こんなことは自立しているなら政治家自身が一番怒るべきではないのか。

安倍首相は、NHKの籾井勝人会長が従軍慰安婦問題について「戦争地域にはどこの国にもあった」などと就任会見で発言したことについては、「政府としてコメントすべきではない」と発言。そのうえで、なんと「NHKの皆さんにはいかなる政治的圧力にも屈することなく、中立・公平な放送を続けてほしい」だと。「どの口が言ってるんだ!」とはこのこと。かつての従軍慰安婦についてのNHK番組への自民党による弾圧の歴史を忘れたのか。開き直っているというよりも、自分のやった悪行を他人のせいにして自分が正義の味方もどきのふりをするとは! 嘘も大声で言えば本当になると思っているのではないか。過去を知らない若い世代が騙されることだけは避けたいと、心から思う。
市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」が27日、籾井会長の辞任を求める申し入れ書を提出した。申し入れ書で同団体は、経営委員会が作成した会長の資格要件「政治的に中立である」「公共放送の使命を十分理解している」に反している点などを挙げ、「会長に不適格であり、視聴者・国民の信頼を著しく損ねたことは明らか」と指摘した。また、会長の任免権を持つ経営委に、籾井会長の解任を求めている。これが「政治的圧力」なのか? こちらが市民の声である。
放送の「従軍慰安婦タブー」は、世界の目から見ても不合理だろう。従軍慰安婦問題を巡っては、米下院で2007年、日本に公式謝罪を求める決議案が可決されている。あらためて、米上院が16日に可決した2014会計年度歳出法案の付帯文書に、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題に関し、米国務長官が日本政府に正式な謝罪を働きかけるよう求める項目が盛り込まれている。下院は既に15日に可決している。
安倍首相は彼らに対して自分が「中立・公平」と主張できると本気で思っているのか。

NHK経営委員で安倍シンパ、長谷川三千子埼玉大名誉教授が、「女性の社会進出が(晩婚化・未婚化を進め)、出生率を低下させた」とし、男女共同参画社会基本法などを批判するコラムを産経新聞に寄せている。彼女の意見によれば、「『性別役割分担』は哺乳動物の一員である人間にとって、きわめて自然」、日本の少子化問題の解決策として、女性が家で子を産み育て男性が妻と子を養うのが合理的であり、女性に社会進出を促す男女雇用機会均等法の思想は個人の生き方への干渉だと批判し、政府に対し「誤りを反省して方向を転ずべき」と求めているという。
人口減はNHKにとっても受信料の減少につながるため、「非常に由々しい問題」なのだそうだ。
働く女性たちが積極的に「子どもを生みたい」と思える環境になっていないことじたいが問題だとは思わないらしい。女性にとって「仕事か育児か」という二者択一を迫られるような状況じたいがおかしいのではないのか。いやそれさえ選ばれた人の悩みであり、20代シングルマザーの80%が年収114万円未満の貧困状態にあるという現実を、この人はわかっていない。
NHKのみならず報道自体がそうした思想を拡大し喧伝していないか。

STAP細胞の画期的な製作方法の発見の研究を進めた理化学研究所の小保方晴子博士のことが各メディアで報道されているが、それはまさに長谷川NHK経営委員の考えと共通した発想に基づいたものばかりだ。
いちばんひどいのは、産経ニュース。見出しが、「「間違い」と言われ夜通し泣き、デート中も研究忘れず…常識破りの新型万能細胞を開発した小保方さん」なのである。
海外の放送やウェブでは、発明の画期的な部分が紹介され、どのように未来の医学や社会に貢献するかが紹介されているだけだという。
日本の大手新聞は割烹着姿の小保方博士の写真を載せ、「『お風呂のときもデートでも四六時中、研究のことを考えていた』という研究の虫」「実験で着るのは白衣ではなく、祖母からもらったかっぽう着。『おばあちゃんに応援されているような気がするから』」「実験室の壁はピンク色に塗り替えた。机にはキャラクターが並び、女性らしさをのぞかせる。研究室にはペットのスッポン。『この子が来てから実験が軌道に乗ったので、幸運の亀なんです』と笑顔を見せた」「30歳の若き女性研究者」「研究室の壁はピンクや黄色で、好きなムーミンのキャラクターシールも貼っている」「リケジョ、小保方さんに続け ピンクの研究着に夢こめて」……。
旧態依然とした「女性らしさ」「幼さ」を強調し、彼女のキャラクターを「リケジョ」というよくわからない言い方でまとめている。男性に対して「リケ男」「デート中も研究忘れず」「研究室にお気に入りのフィギュアを並べて」とは言わないだろうから、どう考えても差別的でもある。
また、「夜通し泣いた」話は、理性的な本人が苦労についてわかりやすく象徴的に話したことは、間違いない。どう考えても冷静で頭のいい人だ。
この件については、さすがに小保方晴子博士の方からメッセージが出た。
「報道関係者の皆様へのお願い」として、STAP細胞研究の厳しさや世界との競争について述べ、「研究発表に関する記者会見以降、研究成果に関係のない報道が一人歩きしてしまい、研究活動に支障が出ている状況です。また、小保方本人やその親族のプライバシーに関わる取材が過熱し、お世話になってきた知人・友人をはじめ、近隣にお住いの方々にまでご迷惑が及び大変心苦しい毎日を送っております。真実でない報道もあり、その対応に翻弄され、研究を遂行することが困難な状況になってしまいました。報道関係の方々におかれましては、どうか今がSTAP細胞研究の今後の発展にとって非常に大事な時期であることをご理解いただけますよう、心よりお願い申し上げます。」「STAP細胞研究の発展に向けた研究活動を長い目で見守っていただけますようよろしくお願いいたします。」とある。
プライバシーや「騒ぎ」が迷惑だったことも間違いないだろうが、自分についての報道の差別性に対する怒りもあるはずである。
自分も子育てに苦労したはずの長谷川NHK経営委員は、彼女にも「仕事か育児か」を迫るのだろうか。今後の小保方博士が自分同様に子育てと研究を両立させることを支援しないのだろうか。あるいは「選ばれた存在だから特別」だとでも?
小保方博士は、昨今、全世界に迷惑を撒き散らし続けているこの国にとって、珍しく、人類と未来に貢献する機会をもたらした存在である。より良い研究にいそしむことのできる環境と、その業績に見合った敬意を払われて然るべきである。そして多くの人たちが自分たちの仕事について自分なりの努力をして道を拓いていることに対する評価を妨げてはならない。

NHKの崩壊現象はそれだけではない。
NHKラジオ第一放送で三十日朝に放送する番組で、中北徹東洋大教授が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」「安全確保の対策や保険の費用など、原発再稼働コストの世界的上昇や損害が巨額になること、事前に積み上げるべき廃炉費用が、電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」「廃炉費用が将来の国民が負担する、見えない大きな費用になる可能性がある」「即時脱原発か穏やかに原発依存を減らしていくのか」「現状では原発稼働がゼロでもアベノミクスが成果を上げている。原発ゼロでも経済成長が実現できることを実証した」などとコメントする予定だったことに、NHK側が難色を示したという。担当ディレクターは「東京都知事選の最中は、原発問題は絶対にやめてほしい」と言い、中北教授は「趣旨を変えることはできない」と拒否したという。
安倍政権の意向を汲んで放送内容を変えようとしたなら、「中立・公平」とは決して言えないはずだ。高い受信料を払って、偏った内容の政府広報を聞かされるのか。「都知事選中」を理由にしているなら、なおさら許されるべきではない。選挙民には知るべきことを知る権利がある。

さて、安倍首相は集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更については「国民の理解が進むよう努力する」と答弁した。
政府の有識者懇談会は、外国の潜水艦が領海からの退去要求に応じないなど、武力攻撃に至らない侵害に対しても自衛権を行使できるよう、報告書に法整備の必要性を盛り込む方向で調整を進めることになっているという。
武力攻撃を受けたり明白な危険が迫っている場合でなくても攻撃していいとなると、これは明らかに憲法違反である。
「事態発生の直後から組織的で計画的な武力攻撃かどうか判別がつかず、対応が間に合わなくなる可能性があり、差し迫った事態に対応するため自衛権の行使は可能とすべきである」という考え方は、都知事選に出馬しているタカ派候補(名前を記す気さえしない)が「軍が自立していないと国家ではない」と言う狂気と共通している。
安倍首相は「解釈改憲」だけでなく、自民党がまとめた憲法改正草案に関し「しっかりと着実に改正に取り組みたい」と憲法改悪への意欲も見せている。
自民党の石破幹事長の質問は「人気取り」「拙速」を戒める異例の内容になったというが、内ゲバ的な会話をやっていても余裕綽々なのだろう。翌日の代表質問では、自民党の溝手議員が総理に「初夢」について聞いている。野党の質問ははぐらかし子供じみた早口で読み上げたり雑な反応なのに、ゆっくり真面目に答えて一休みする機会を提供したということなのだろう。

安倍首相は自分の言動について「右傾化などでは決してない。国民を取り巻く現実を直視した責任ある政治にほかならない。レッテル貼りは世の常だ」と開き直り、「自民党には右に偏った政治も、左に偏った政治もない。あるのはただ、現実の国民によりそう政治だ。しっかりと説明すれば、国民には必ずやご理解いただけるものと確信している」という。自分本位にも程がある。
靖国参拝は世界的に見て、間違いなく極端な「右」である。バイデン米副大統領に事前に電話協議で自重を促されていながら無視、その結果、米国務省が「失望した」との声明を発表。その後も異例ともいえる批判を受け続けながら、「日米両国は協力して世界の平和と安定に貢献していくと表明してきた。日米同盟は揺るぎないものであり、本件参拝に影響されることはない」というのは、「君の足を踏み続けてぐりぐり痛いところを痛めつけ続けているけど、君とは友達だよ、動揺なんかしているはずないよね、どうして冷静にならないんだい」と言っているに等しい。
首相としての参拝をめぐって「参拝では不戦の誓いをした。中国、韓国の人々の気持ちを傷付けるつもりはまったくなく、各国には謙虚に礼儀正しく誠意を持って真意を説明する」と言ったが、そんな「不戦」「傷つけるつもりはない」は、口先だけに過ぎないことなど誰にだってわかる。
そして高校での日本史の必修化は自分本位の「近現代史」を未来の子どもたちに刷り込もうという陰謀である。
本気で日本に誇りを持たせないなら、ちゃんとした人間が、丁寧に動かす国にしなけりゃ、むりだ。
中国と韓国、北朝鮮の国連大使は29日、第1次世界大戦勃発100年に合わせて開かれた国連安全保障理事会の公開討論で、安倍晋三首相による靖国神社参拝を批判し、周辺国を侵略したことを否定するような歴史認識を正すよう日本政府に要求したという。
日本の保守勢力は「中韓による昨年末の安倍首相の靖国参拝後、各地で日本非難のキャンペーン」などというが、正当な批判をされているとちゃんと受け取らないことが、この国を世界の中で更に孤立させている。
参拝を「反ファシズム戦争の勝利と、(第2次大戦の)戦後の国際秩序に対する挑戦だ」「日本の指導者は隣国を含む国際社会の信頼を勝ち取るため、侵略の歴史を認め、誤りを行動によって正すべきだ」「日本指導部が帝国主義時代に何が起きたかについて、ゆがんだ認識を持っていることが主な原因だ」「(慰安婦問題について)日本政府はいまだに責任を取っていない」というのは、中韓両国だけの認識ではない。
安倍首相の「侵略の定義は確立していない」という発言は、「侵略」の過去を認め、独立した国としての自立を果たしてきた先人たちの努力を無にしている。
「武器輸出三原則の見直し」もまた、右傾化を示すことでしかない。言っているととやっていることは繋がっている。そう受け取られるのは当然だ。
安倍首相が設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が2月4日に会合を開き、座長の柳井俊二元駐米大使が、集団的自衛権行使の容認に向けた憲法解釈変更の必要性を明記した報告書原案をメンバーに提示する方向で最終調整に入ったという。
原案は、憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を容認するよう政府に提言するものだ。
これが「右傾化」でなくて何なのだ。

安倍首相は「米国をはじめ相手のあることだが、普天間飛行場の5年以内の運用停止を含む仲井真知事からの要望に、政府を挙げて実現に向けて全力で取り組む」というが、これは辺野古の工事を進めるための方便だ。彼らは五年でなくたって構いやしないと思っている。過去を見ればわかる。日本政府は何度約束して何度それを反故にしてきたのだ。そもそも米国防総省筋によると、米側は県が日本政府に求めた米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止の可能性について「実行可能ではない」と否定している。
自民党石破幹事長は「名護市長が今後、移設を阻止する行動を取るとしている。しかしそれは、その思いとは異なり、普天間の固定化をもたらすものだ」と言った。辺野古移設を認めないことを選んだ名護市長選の結果を無視、民主主義を蹂躙するものだ。「名護市長選で、なぜ辺野古への移設なのか十二分に説明できなかったことを反省している」などと言うが、そんなことはもともと説明不可能な不合理なのだ。「(普天間飛行場の)墜落の危険と騒音被害を回避するには、滑走路を市街地から離隔して造成することが必要だ」というが、辺野古の集落へも大きく立ち退きを強制しておきながら、どの口が言っているのだ。
「騒音は100分の1までに減じられる」というが、辺野古集落は新たな騒音被害に晒されることは間違いなく、「成田空港や中部国際空港などの例を見ても分かるとおりだ」と言うが、結局現在は羽田空港を拡大し国際便を増設している現実を、どう見るのだ。
「滑走路ができることで、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫と海兵隊の一体運用ができるからこそ、嘉手納より南の海兵隊6基地の返還が前進する」という説明は、SACO合意以降の認識をねじ曲げている。「辺野古移設が進まなければ基地負担軽減が進まない」「辺野古固定化に繋がる」は、米軍基地の撤退という至極当然のことを求める人たちに対する、信じがたく陰湿な「脅迫」である。
稲嶺市長がいうように、2012年4月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)共同発表で「嘉手納より南の返還」などが「普天間移設」のパッケージから切り離されたはずだ。石破幹事長の辺野古移設が進むことで嘉手納より南の返還が前進するとした発言は稲嶺市長に「自己矛盾じゃないか。おかしい」「民意がはっきりと表れたにもかかわらず、(辺野古移設に)執着、固執しているのは、国民主権や民主主義国家として、あってはいけない」と批判されて当然である。
安倍首相は日米間で交わされた核持ち込みに関する「密約」について、「ずっと国民に示さずにきたのは間違いだった」と述べ、歴代の自民党政権が長期間、存在を否定し続けてきたことは誤りだったとの認識を示した。
ならぱ特定秘密保護法などやめればいい。「間違いだった」と未来に判断するという残念な結果を認めるのだったら、理解できるはずだ。未来ではなく、今、進行中のさいに判断すべきことだからだ。
秘密指定の監視機関として「保全監視委員会」「情報保全監察室」を設置するが、いずれも政府関係者で構成されるため、機能を疑問視する声が強い。それに対して「首相である私が、正しく行政機関が秘密指定をしているかどうかを、国民の代表としても見る」などと言うが、首相を信用できないからこそ、皆が疑問視しているのだ。

沖縄の人たちの粘り、冷静な視線が、「政府に理不尽を認めさせること」の前例を作っている。
しかしこれは沖縄の人たち自らの功績である。
ヤマトは、そして東京は、自分でたたかい、選択しなければならない。

都知事選についての「選挙に行こう」などというキャンペーンは、私はしらけてしまう。「無関心層に訴える」などという言い方も納得できない。無関心な動きをしている人たちがいる理由を見極めなければならないだけだ。「選挙に行かざるを得ない現実」「投票によってかえられることのリアリティ」という具体性でこそ、人は動くのだ。
とくに山本太郎に「投票に行こう」などと言われたくない。天皇に直訴するような大ボケの輩に「名護は市民が意思表示した。東京はどうだ」などと言われるおぼえはない。名護のことを自己宣伝に使うな。余計なお世話だ。ちゃんと国政をやりなさい。

現状認識をまとめるためのブログでもあるが、あらためて、誰一人として日本の孤立を止める気がないように思えてならない。冷静に考えれば都知事選どころじゃないのだ。
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