Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

稽古場への道のり

2013-02-27 | Weblog
片道一時間以上の通勤を短いと感じるか長いと感じるか。まあ首都圏では普通の長さなのだろう。慣れてきたような慣れていないような。森下に通う時より一度乗り換えが多いから長く感じるだけなのか。昨日今日と二日連続して乗り過ごして戻ったからか。この稽古場に通う日々もあと数日。二月はどうして二八日しかないのだろう。ともあれ稽古は稽古。粛々と進めるのみ。……落ち着かない気持ちにさせる周囲の雑事には気を止めず、とゆきたいが、そうもいかないところだ。……稽古場を移った後は劇場に通う日々、となるわけだが、なんと一年八ヶ月ぶり、本当にひさしぶりに下北沢ザ・スズナリの公演。公演終了前日の三月二三日、下北沢の風景が変わる。小田急線地下化により、踏切も駅もなくなる。私が下北沢に初めて来てから三三年、どんな町になってゆくのだろう。……三月になる前といえば、高江では防衛局の工事は二月で終わる。六月末日まで工事はしないことになっている。この期間、ノグチゲラの繁殖期であるための措置であり、何かしようものなら全世界の環境団体が黙っていないだろう。……原発事故由来の放射能被曝による健康被害について郡山市の小中学生14人と保護者たちが集団疎開を求めて起こした裁判がある。北海道の松崎道幸医師が「チェルノブイリ高汚染地域の子どもに匹敵する頻度で甲状腺がんが発生し、今後、激増する恐れがある。福島中通りとその周辺の放射線レベルの高い地域に居住を続けることは、医学的にまったく推奨できない」と指摘しているという。このような事態についてこの国の人たちが追い詰められている現実、それを認めようとしない現実、どちらもが現実だ。不必要に不安を煽るなという意見もあるのは、わかる。しかし、不安感を隠さないこと、不安感を示すことを否定するような空気を作らないことがそれより重要である。人々が追い詰められている空気。そして鈍感さに逃れる空気。稽古場に通うために片道で電車に五回乗るわけだが、その電車の中にもそれを感じる私がいる。……添付は、下北沢の地図。スズナリへの案内図である。
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燐光群最新作『カウラの班長会議』

2013-02-26 | Weblog
いよいよ初日まであと十日である。
九つの場面で構成される劇である。
こういうラストシーンは初めてである。
これまでの私の戯曲ではやっていない試みが多々ある。
考えてみるとスタッフはかなり豪華である。
出演者はじつに三十八人。
アフタートークはかつてなく豪華に7名をお招きしてお送りする。
今後もまた情報をお伝えしていきたい。

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燐光群 創立30周年記念 第一弾
『カウラの班長会議』作・演出○坂手洋二

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3月8日(金)~24日(日)
下北沢ザ・スズナリ

「生きて虜囚の辱めを受けず」
大日本帝国の兵士に、捕虜は一人もいない。
つまりこれは亡霊の夢だ。
じゃないと説明がつかない。
今までこんなに穏やかで、
楽しかった日々はないんだから。

歴史から、いまを見る。
『天皇と接吻』に続いておくる、「戦争の時代」と「映画」が交錯する青春群像。

1944年、8月5日。
第二次世界大戦中のオーストラリア。
ニューサウスウェールズ州・カウラの連合軍捕虜収容所。
捕虜になった日本兵545名による、史上最大の脱走計画。
日本兵たちは、選挙によって選ばれた代表による「班長会議」で、
計画を実行するか否かの多数決投票を行った。
戦時下、極限の選択を迫られる兵士たちの真実に、現代を生きる女性たちが迫る。

John Oglevee Benjamin Beardsley 円城寺あや 
鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 水津聡 
杉山英之 鈴木陽介 武山尚史 小林尭志
東谷英人 今井淑未 小寺悠介 櫻井麻樹 城田将志 
鈴木穣 松田光宏 三宅克幸 山村秀勝
中山マリ 松岡洋子 樋尾麻衣子 横山展子 
田中結佳 福田陽子 永井里左子
石川久美子 大内慶子 勝田智子 佐次えりな 清水さと 
長谷川千紗 布施千賀子 真鍋碧 水野伽奈子 渡邊真衣

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
美術○島次郎
衣裳○宮本宣子
振付○矢内原美邦
舞台監督○高橋淳一
演出助手○城田美樹
文芸助手○久保志乃ぶ
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
制作○古元道広 近藤順子

<14時の部>3/10日・3/13水・3/16土・3/17日・3/19火~3/21木・3/23土・3/24日
<19時の部>3/8金・3/9土・3/11月~3/16土・3/18月・3/19火・3/21木~3/23土

以下のゲストと坂手洋二によるアフタートークあり。
9日(土)ロジャー・パルバース
(作家・劇作家・演出家 東京工業大学世界文明センター長)
10日(日)オーブリー・メロー(ラサール芸術大学シニア・フェロー)
11日(月)山田真美(作家)
13日(水)19時の部 中園ミホ(シナリオライター)
14日(木)緒方明(映画監督・日本映画大学教授)
19日(火)19時の部 高遠 菜穂子(イラク支援ボランティア)
23日(土)19時の部 すずきじゅんいち(映画監督)

他、託児サービス(要予約・有料)、リーディング&トークあり。

詳細は燐光群HPまで

http://rinkogun.com/Next.html
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シンポジウム「日韓演劇交流の現在」

2013-02-25 | Weblog
安倍首相は、米国訪問中の2月22日、CSIS(戦略・国際研究センター)で政策スピーチ。なぜここで? そして何が「Japan Is Back」だ。昨年の同研究所のアーミテージ・ナイ報告書を呑むというだけのことだ。TPP、原発推進だけではない。この国はアーミテージ・ナイの「提言」を三度にわたり呑んできたことの愚かさに気づいていない。安倍は「日本は二級国家(tier-two nation)になるつもりか」という恫喝に怯え、自分自身の保身により、この国を売り渡した。……自分の公演で身動きとれぬまま、シアタートラムでの二年ぶりの「韓国現代戯曲ドラマリーディング」には一度も顔を出せずにいたが、とてもうまくいっているということは伝え聞いている。新世代も活躍。ここ数年間の根回しは功を奏しているとも言えるが、本当に日韓の演劇関係の交流は開かれてきたし、「国立劇団」を演劇人が運営できていることも含め、ここ二、三年の韓国演劇人の努力と達成を見る限り、今は確実に日本側が韓国に学ぶべき時だ。最終日に行われたシンポジウム「日韓演劇交流の現在」にだけは出席。というか、司会なのだ。そもそも私はこのイベントを主催する「日韓演劇交流センター」の副会長なので、こればかりは、「マストです」と事務局の太田さんにも念を押されていたのだ。といっても、パネラーは、韓国の親しい仲間たち、キム・カンボ、ソン・ギウン、通訳してくれた木村典子、石川樹里、そしてパネラー松本祐子といった、もはや身内である各氏。なんだかんだ楽しく意義のある話ができたと信じている。カンボがとても充実した顔をしている。昨年韓国史上かつてないくらい賞を総なめしたこともあるだろう。なんだか私との仕事の予定に「とても大きな隠し球」があると宣言。まあなんだか見当はついているのだが。というより、何年かかってもやるということで、諦めず動いてくれていたのだ。韓国から他にも大勢の仲間たちが来日してくれている。。映画化された『王の男』の作者キム・テウンが、自分に直接関係のあるプログラムがないのに来てくれているので思いがけず再会を喜ぶ。彼は今、済州島に住んでいる。俺も近々に行こうと思っている、と話す。というか、一年前の春、行こうとして果たせなかったのだと思い出す。
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取り返しがつかない

2013-02-24 | Weblog
安倍は日本を売るか捨てるかするつもりなのか。とにかくTPP参加は日本という国の自殺行為。いろいろあるが、端的には、たとえば国民皆保険を捨てたら、弱者斬り捨てになるのはもちろん、結果として国力は著しく衰退する。マイケル・ムーアの映画『シッコ』で知る人も増えたが、アメリカの低所得者が医療と隔絶されている現実は厳しい。もう十五年も前、アメリカの知人たちが日本の国民皆保険をどんなに羨んでいたことか。「アメリカ並み」になってしまうことは、日本の美点を捨てることだ。ひどい。小泉政権以降、たった十年ちょっとでここまで破壊してしまった。戻すにしても何倍も時間がかかるだろうが、国全体がそのモチベーションを持っていないことが気になる。滅ぶなら滅べと国民自身が思っているかのような、国がどうなっても自分自身は何とかなると思っているらしい、奇怪な国家。本来、一番の働き手であるエネルギーがあるはずの層が、自分が食べていくためだけに時間も体力も費やさざるを得ないという、悪循環のジリ貧。自ら潰れるつもりのように見える社民党も含めて、政党というものが全て利権集団の様相を呈していると思われている現状。政権の者たちは誤魔化すことしか考えていないが、この間に人の命も心も奪われていることを、どうして真剣に考えないのか。……森雅子少子化担当相は東電福一原発事故による「風評被害を払拭するため」、県産品の販売促進を目的とした法律の制定を検討する考えを示した。「福島産食材を買いたい人は多いのに扱ってないお店が多すぎ」、よって「県産品の販売促進について法制化を目指す」そうだ。法案の概要は「本県を特区に指定し、国は小売店に対して、その地域の産品を扱うように命令したり、店頭で販売した店舗を優遇することができるようにする」ということで、「命令」、つまり「義務化」である。……上の二点を見ても、日本は全体主義国家になって弱者を斬り捨てないと生き残れないと、現在の権力層が思っているということだ。国民は、しらけている場合ではない。取り返しがつかないことになる。……昨日今日と、久しぶり矢内原美邦マスターによる振付指導。相変わらず無理難題に応えていただいている。……稽古前に新聞取材もあって、「新聞を見ていると酷いニュースばかり」と言ってしまい、なぜか謝られる。ニュース内容が酷いのは新聞のせいではないですよ、もちろん。だが責任は重大なのは確かと実感している人も多いのだろう。もちろん、他人事ではない。
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チェルノブイリ原発倒壊の危機

2013-02-23 | Weblog
27年前に事故を起こし、コンクリートの『石棺』に覆われたチェルノブイリ原発で、4号機の屋根と壁の一部が倒壊。老朽化した壁のあちこちに亀裂が入っており、建物の屋根が雪の重さに耐えきれず、約600平方メートルにわたって崩れ落ちたという。放射性物質が外に漏れ出す危険があり、既に80人の作業員が現場から逃げ出したという。耐用年数100年の新たな鉄製シェルターが建設中で、さすがに事故から四半世紀を越え、その体験をもとに確実な対応をしているなと思っていたのだが、老朽化の進行は、人間の対応のスピードを待ってくれなかったということか。このまま倒壊が進み、中に残された200トン近い使用済み核燃料が露出してくると、たいへんなことになる。チェルノブイリ原発が、「廃炉まで100年以上かかる」と言われていた、その「廃炉」というのが、どのレベルまで問題が解決した状態を言っているのか詳細にはわからないが、福島原発事故処理の未来を思うと暗澹とする。仏紙ルモンド等には出ているというが、今ひとつヨーロッパで大騒ぎになっていないのが不思議だ。日本にそれが伝えられていないだけなのか。しかし、あれから二十七年とは。あの頃、チェルノブイリ事故直後、放射能の影響を予測して「ズブロッカが駄目になるよ」と言って、一箱買い占めた女子がいたが、(私も一本もらってしまったが)、印象に残っているのは、当時の環境派の人達も含めた、「見えない」「遠い」という、つかみどころのなさだった。「見えない」「遠い」出来事に、どう対応するかという認識に於いて、我々は進歩したのだろうか。極めて近くにある福島原発事故について「見えない」「遠い」と決めつけてはいないだろうか。チェルノブイリのデータを福島に当て嵌めて考える言説を幾つか見たが、多くの人たちがそのデータを真剣に受け止めようとしていない空気を感じる。他者と歴史に学ぶことは、人類に与えられた「智恵」のはずなのだが。……島根県主催の「竹島の日」式典に島尻安伊子内閣府政務官が初めて政府代表として出席。政府関係者として初めての要職者出席。過去最多の国会議員が参加。で? これからどうする? 今までやらなかったことをやるからには、考えと覚悟がいるはずだ。だが、何もないと思う。安倍内閣が何も考えていないということを、あらためて露呈しただけだ。今週末、日韓演劇交流センターによる「韓国現代戯曲ドラマリーディング」で、韓国の仲間たちが来日しているだけに、胸が痛い。
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まだ黒船時代にいる日本、招待客を拘束するアメリカ

2013-02-22 | Weblog
安倍晋三首相はアメリカに発ったか。ホワイトハウスで22日に開かれる日米首脳会談で、安倍・オバマ会談後に開く予定だった共同記者会見は見送られることになったという。異例な措置だというが、米側が日本の環太平洋経済連携協定(TPP)参加についての消極的な態度に不満なのが原因という。これじゃ対等じゃない。黒船時代と同じだね。安倍は何か悪あがきをするつもりか? 沖縄のことでヘンな動きをするなよ。……それにしてもアメリカは粗くなっているのか相変わらずなのか。米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞候補の映画監督・パレスチナ人のイマード・ブルナート氏と家族を、24日の同賞発表・授賞式のため招待しておいて、「本当に招待したかどうか確認できない」として、空港の入国管理当局で約1時間半、拘束したそうだ。失礼にも程がある。昨秋「非戦を選ぶ演劇人の会」の我々と交流のあった(写真)、今回の候補作にもなっている『壊された5つのカメラ』の、あのイマードである。賞の候補にしておいて拘束するというのは、ほんとうにひどい。家族も一緒ということはあの自慢の奥さんも、映画の中でも元気な姿を見せるあの息子たちも、一緒に拘束されたのか。ニューヨークでの上映会の時の、奥さんと子供たちと一緒にマイケル・ムーア監督なんかと一緒にうつっている写真を、本人から直接スマートフォンで見せられた。きっと彼にとってアメリカに行くということは、いろいろな意味でスペシャルなのだ。家族たちも思いがけない、しかし期待の大きい旅行であっただろうに。イマード、こうなったらアカデミーが賞をくれなきゃ割に合わない。もらって念願のフィクション・エンターテイメント作品を作ってくれ! やっぱりイスラエル+アメリカとパレスチナの関係に於いては、どちらが加害者=侵略者なのかを、世界じゅうに、明確に認識させなくてはならない。
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裁判所が環境破壊を容認

2013-02-21 | Weblog
普天間基地の名護市辺野古移設に向けた環境アセスのやり直しなどを求めた裁判で、那覇地裁は20日、原告の訴えを退けた。国が普天間基地の辺野古移設に関して実施した環境アセスについては、住民の意見を述べる場がなかったり住民生活や環境に影響が出ると思われる情報を後で出してくるなど、アセス本来の趣旨目的を捻じ曲げた不正な運用が指摘されていた。県内外の市民ら621人がやり直しを求め提訴していたが、住民の意見陳述権は守られず、アセスの違法性も認められなかった。裁判所は行政・事業者の立場に寄り、「原告らに訴える権利はない」としてやり直し請求を却下、市民を排除した。これでは市民の意見表明を単なる事業主体のための「情報収集」にしか過ぎないと軽んじていることになる。行政判断がない限り「法律」は覆せなくなる。これが民主国家か? ……午前中、パレスチナからのお客様、ムハンマド・イサ氏(写真)とミーティング。パレスチナ西岸地区ヘブロン在住。青少年をターゲットにした演劇団体イエス・シアターに立ち上げ初期から参加し、アドミニストレイティブ・マネージャーを務める人だ。何か面白いことができるといいが。
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八ッ場ダムの遺跡を守る

2013-02-20 | Weblog
保坂展人さん(現世田谷区長)と八ッ場ダム建設予定地に初めて行ったのはいつだったか。河原湯温泉もずいぶんさびれてきていると聞く。……時間的に余裕がなくて大した手伝いはできていないが、<八ッ場ダムの遺跡を守る文化関係者のアピール>賛同者を募っている。正確に言えば、『ダム検証のあり方を問う科学者の会』の要請を支持する文化関係者のアピールである。このアピールは2月28日に文化庁長官と国土交通大臣に向けて賛同人の名前とともに届け、科学者の会とともに記者会見を開いてメディアにも発表することになっている。
私以外のアピール呼びかけ人は、森まゆみ(作家)、アーサー・ビナード(詩人)、野田知佑(カヌーイスト) 加藤登紀子(歌手)、金原瑞人(翻訳家・法政大学教授)、きくちゆみ(著述翻訳)、永井愛(劇作家)、中村敦夫(俳優)、田中優(未来バンク代表)、中川李枝子(作家)、といった皆さま。

『ダム検証のあり方を問う科学者の会』の要請を支持する文化関係者のアピール

 吾妻(あがつま)渓谷(群馬県長野原町)八ッ場にダムをつくるという計画は1952年に始まり、1986年に閣議決定されてから四半世紀がたちます。1947年のカスリーン台風の千人以上の犠牲と首都圏の発展のなかで、ダムをつくって利根川下流の治水と利水を計ろうとしたものです。しかし時代が変化し、治水効果はほとんどないというデータが出ており、水道の漏水対策、節水機器の普及や工場の移転で利水面でもいらなくなりました。その八ッ場ダムに毎年、国民の税金がブラックボックスのように注ぎ込まれています(関連工事や利息も含めれば一兆円近く)。

 いらないとわかっていても自民党政権下では政策転換が図れず、民主党政権になって前原誠司国交大臣によって中止が言明され一躍注目を浴びましたが、それもなし崩しに「中止の中止」に追い込まれました。しかもダム中止後の地元住民の生活再建を支援する法整備がありません。そのため住民はダム事業なしでは生活できない状況に追い詰められています。60年間をダムに振り回された地元の方々の辛苦は想像するにあまりあります。
そして再度の政権交代が起るなかで、ダム本体工事がはじまりそうな気配です。

 このダム計画は「ずり上がり方式」での住民の現地生活再建をめざしていましたが、安全とはいいがたい高価な代替地に移る住民は、当初の予想より大幅に減りました。代替地、付け替えの国道、鉄道などの膨大な工事は地形をずたずたにし、軟弱な地盤のダムに水を貯めれば、地すべりなどの災害を引き起こしかねません(東日本大震災では福島県内のダムの決壊によって死者も出ており、奈良県の大滝ダムでは、ダム湛水による地すべりで多数の住民が移転を余儀なくされました)。

 以前から八ッ場ダムが国の名勝である吾妻渓谷の美しい風景を損なうこと、国の天然記念物である川原湯岩脈を水没させることなど、文化財保存の立場から愁える人々は少なくありませんでした。ダム建設がきっかけで行われてきた群馬県の考古学調査で、水没予定地には江戸・天明の浅間山噴火による集落の貴重な遺跡があることがわかりました。泥流の堆積によってほぼ完全な形で当時の生活文化が保存されており、これはまさに『日本のポンペイ』といえるものです。そのほか縄文、弥生、古代から近世までの遺跡が層になって埋もれている歴史の宝庫です。

 私たちは歴史の証人であるこれらの遺跡の破壊を望みません。ここがダムではなく、歴史のフィールドミュージアムを中心に、豊かな温泉資源を活かした地域として再生することを願っています。
 八ッ場ダムの本体工事を中止し、遺跡保存による地域の再生を求める『科学者の会』の別紙の要請に、日本の歴史と文化を守る立場から呼応、協力したいとかんがえます。

 以上のアピールに賛同者になっていただければ幸いです。このアピールは2月28日に文化庁長官と国土交通大臣に向けて賛同人の名前とともに届け、科学者の会とともに記者会見を開いてメディアにも発表したいと思います。
 賛同人になってくださる文化関係の方は、yamba@yanesen.com に、ご連絡ください。
 ご返信の際、お名前、肩書、メッセージなどを御書きください。

2013年2月6日

以下で、八ッ場ダム周辺の映像が見られます。
http://www.youtube.com/watch?v=fqem0a-UGUI&list=UU-xnCRxBtuzGOq945ccdIBg&index=17
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歴史を知らないと責任を語れない

2013-02-19 | Weblog
『カウラの班長会議』、舞台美術打合せ。模型を見て話が進む。……稽古場近くのファミレスで仕事をしていると、近くに座る人たちの会話が耳に入ってくる。何者なのか。どういうグループなのか。彼らにとって何をしている時間帯なのか。どうしても耳に入ってくる以上、この社会にこのように人間が生きているのだ、と感慨深く聞いてはいる。たまたま隣席に座った、ほとんど言われている言葉を理解できない三歳以下の子供に、とうとうと中学生にさえ難しいかもしれない言葉で同じ事を繰り返し繰り返し叱っている神経質な父親には、呆れた。自分のストレス発散と、同席している義母にいいところを見せようとしているつもり、の混合のようだ。義母の困惑に気づいていない。この家は虐待も家庭内暴力もあり得るだろう。全てのことには原因がある。……「ピースおおさか」の「南京大虐殺」展示撤去の話は、ひどい。展示を「空襲などに特化」だそうだ。私は「自虐史観」というコトバが嫌いだ。歴史を捏造してはいけない。被害者でいることを強調するのでなく、加害者であったことを認めることの方が重要だ。自分が被害を受けたとすれば、それがどのような経緯の結果かを知ることが必要だ。「責任を取ること」「正しく歴史を知ること」を、誰が遮ろうとしているのか。この「責任」は過去のことばかりではない。誤った歴史認識を放置していることは、「現在の責任」だ。……五十年前にできた「茨城県民の歌」、歌詞と曲を公募して一九六三年に制定されたというその三番は、当時、次世代のエネルギーと期待された原子力を「世紀をひらく原子の火」と直接礼賛する。そして「このあたらしい光」で「あすの文化をきずくのだ」、と高らかに歌う。福島での原発事故の後、歌詞を問題視する声が相次いでいるという。公募に提出された当時高校教員だった人によるオリジナルの歌詞では「原子」という言葉を用いていないという。当時の審査委員会が原子力賛美を強調する手直しをしたらしい。というか、震災による福島の事故を契機としてでなく、十四年前、まさにご当地というべき東海村事故のさいに、この論議が出るべきだった。いずれにせよ県は「県民に長く親しまれてきた歌」として「歌詞を変える予定はない」としている。県当局の思惑とは別に、将来の人たちは、「歴史を知ること」はできるだろうが、この時代の人たちが「責任を取ること」からはほど遠い対応をしていたことも、知ることになるだろう。未来の人から見られたときに恥ずべき行為は行いたくない、というのは、自然と人間に備わるべき「常識」であってほしい。ごまかしと捏造は、見苦しい。……『カウラの班長会議』にあらわれる「カウラ事件」も、「戦陣訓の教え」から「帝国軍人に捕虜はいない」とされていた戦時中はもちろん、戦後長い間、日本国民に知られることはなかった。以前よりも知られるようになったことには、オーストラリアと日本のさまざまな人たちの努力がある。感謝と敬意を表したい。
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「道徳」でいじめも体罰もなくならない

2013-02-18 | Weblog
政府は「教育再生実行会議」で、「いじめ対策として、規範意識を醸成する」ため、小中学校の「道徳」の「教科化」を提言するという。小中の道徳は原則週1時間の必修だが、正式な教科ではなく、第1次安倍政権の「教育再生会議」も教科化を提言したが見送られた経緯がある。しかし「いじめ」や「体罰」への対抗策としての「道徳」、という考え方には、違和感があるどころか、むしろ真逆だと言いたい。私の感性では、「道徳」は、体制側であり、個人を抑圧する。安倍政権が「道徳」名目に画一的な人間関係の規範を押しつけるつもりなのは疑いの余地がないし、それを利用して「愛国心」を訴えてくる気なのも間違いない。……新大久保で「反韓デモ」が行われたという。実行者たちを過大評価することになる不毛故に何も記さないが、「反・反韓」の人たちが、それに対抗したことを讃えたい。しかしこのままでは日本は、「差別肯定国家」として、本当に世界的に孤立するはずだ。……午前に宮本宣子さんと衣裳打合せ。すばらしいアイデア。そして群像劇の楽しさ。……電車の接続の悪さのことを昨日に書いたせいか、帰り道が特にどの電車の接続も全部目の前で扉が閉まる最悪のアクセス、片道だけで三十分のロス。ひどいものだ。
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鉄道と生活

2013-02-17 | Weblog
ほぼ毎日の笹塚駅ホームでの乗り換え。京王線と新線の待ち合わせ接続が噛み合う時刻表の設定になっていない。とくに鈍行がいつも待たせすぎ。寒い日は嫌なものだ。……今日は慣れぬ路線の地下鉄で電車を乗り過ごして大回りして帰った。ろくでもない。……私は中学から十八歳まで自転車通学だった。電車はない地域だったし、とくに高校の時にはバスにも乗ったことはない。自転車ぱかりだった。今でも自転車オンリーの日々が続くこともあるが、毎日の生活の中で電車に乗っていると、不思議だと思うこともある。田舎者なのだ。……しかし明らかに最近は鉄道関係の人身事故が多すぎる。本当にただの「事故」の場合もあるだろうが、そうではなさそうだ。何ヶ月か前、自分の乗っている電車が急停止。某駅で、ホームとずれた位置で停まる。もちろん初めてのことだが「人身事故」の当事者となった。乗っている私たちはそのまま降ろされることなく、扉を開けてもらえぬまま一時間、車内に閉じ込められた。救急車が来て、一命を取り留めたが怪我をした人は救急員と会話し運ばれていったという。私は一両目にたまたまいたが、目撃した方によると、高齢の男性がホームに荷物をきれいに揃えておいての覚悟の飛び込みだったらしい。……いま目の前のことに集中したいのに、一つ別な仕事が残っていて、前夜はそれが明け方までかかった。今夜も時間勝負だが翌朝が早い。
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「本心と違う行動をする」総理大臣

2013-02-16 | Weblog
自衛隊の名を「国防軍」に変えたくて仕方のない安倍晋三首相に対して、高市早苗政調会長が「靖国神社参拝」を求めている。それを受けて伊吹文明衆院議長は「安倍さんも行きたいが行けない。党三役である者が『期待している』などと公言しては、政権与党として非常に困る」と言った。さらに靖国参拝について明言を避ける首相の心境を「我を通せば外交上の不利益を被る場合、心の中で手を合わせても行動に出せないこともある」と説明した。こういう発言は、どう受けとめられるか、わかっているのだろうか。この国の総理大臣が、「外交上の不利益」を考えて、「本心と違う行動をしている」と、ごく近いところにいる者が発言したことになり、せっかくの首相の「我慢」も、「ばれてしまっている」ことになる。まったく誰に向いて発言しているのだろう。自分のリーダーである人を「嘘つき」「二枚舌」と言っているに等しいのだから。日本の政治は、こういうことが多すぎる。あまりにも無防備で、おそろしくナイーヴだ。そもそもこういう「選択」の対象になるということは、靖国神社など参拝してもしなくても同じだということが露呈している。だったら世界の趨勢から鑑みても、遠慮するのが筋というものだろう。……稽古。捕虜たちの場面、着々と進む。男だけの場面が続く劇というのは、久しぶりというか、以前にもあったのかな。……観たい芝居や映画試写もあるが、まったく身動きがとれない。
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苦いか甘いか

2013-02-15 | Weblog
アメリカ西海岸で行われている日米共同の大規模な上陸訓練で、陸上自衛隊員が米海兵隊の兵士と共にオスプレイに乗り込み、「自衛隊初のオスプレイ訓練実施」という既成事実を作った。日本がオスプレイを購入するための布石のつもりか。……オスプレイが来てしまった普天間基地のある宜野湾市が、観光振興協会に委託する同基地に隣接する市民駐車場の入口左側フェンスに、「表現活動」に関する行為を「禁止事項」とした新しい看板を設置したという。そしてこちらは、宜野湾市議会議員桃原功さん撮影による、その市民駐車場に何枚もあるという「米軍への抗議行動の車輌は駐車ご遠慮ください」という看板(写真)。「これじゃあオスプレイに反対する41市町村長、議長は駐車するなってか? 宜野湾市長、言動が違うよ」ということで、桃原さんは、市民を分断させる看板は撤去するよう、抗議に行くことになっている。……自民党石破幹事長は、北朝鮮が核実験を行ったことに関連して、「北朝鮮のミサイル製造はやめなければならないが、不幸にして完成する可能性もある。その際、仮に北朝鮮が『日本にミサイルを撃つ』と宣言し、発射台にミサイルが立てられて、燃料が注入され始めれば、日本に対する攻撃に着手したと評価することができる。自衛権が発動できて反撃できるのは、着手をしたときだという考え方になっている」と発言。つまりこれは「現憲法上で戦争をしてもいいことにしよう」という提言である。なぜみんな非難しないのだろう。たった十五年くらいの間に、「平和」は「常識」でなくなり、「平和」を訴えると「アカ」と呼ばれる世の中になったということか。何かの間違いだから、最低限でもまずそこは元に戻そう。……今日、日本は世界一の農薬使用国だという話も聞いた。なのに疑いもせず「国産」をブランド扱いにしているって、要は国家主義的発想だっただけなんじゃないか。……しかしチョコレートは原料の国産はしないだろう。バレンタインデーはしぜんと国際交流デーでもある。どうも今年は巷の各所で例年よりはるかにチョコレートが飛び交っているらしい。……そしてパソコンの調子がすこぶる悪い。
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「都民の不安」「福島の子供たちの不安」

2013-02-14 | Weblog
北朝鮮が核実験。猪瀬直樹東京都知事は抗議コメントを発表、「都民の不安解消のために放射線測定体制を強化して、情報公開する」そうな。福島の原発由来と核実験由来をどう分けられる? 核実験よりはるかに高い放射能による被害があり、つまり既に被害者がいるはずなのに、新たな言い訳の材料を探しているようにしか見えない。都は「都民の不安」を解消するために今まで何をしてきたというのか。……福島県郡山市の小中学生たちが勇気を持って、「年1ミリシーベルト以下の放射能から安全な場所で教育を」と裁判を起こしている現実。昨年の甲状腺「福島県民健康管理調査」で、13市町村の3万8千人の子供たち35%に「のう胞」が発見され、さらに福島市の4万2千人の子供のうち43%に「のう胞」が見つかった事実。それらを前に、言い逃れだけを繰り返していて、大人として恥ずかしくないか。そして今年、福島県で新たに2人から甲状腺がんが見つかったことが、県民健康管理調査の検討委員会で明らかになった。県立医大は、「原発事故の影響の可能性は低い」としているらしいが、なぜそう言えるのか、明確な根拠を示してほしい。「福島の子供たちの不安」は、誰が解消してくれるというのか。……とにかく、「不安解消のために」と言われると、「不安を持っていること」が「不自然で無理解なこと」だと言われているような気がしてくるのだ。……雪が降る降ると脅されてじっさい降らないのはありがたいが、風が強いのはいただけない。井の頭線に乗っている時間が妙に長く感じられる。体調のせいか? 久しぶりに梅ヶ丘BOXでの稽古の日々。夜は座高円寺で、今年度最後の劇作家協会の戯曲セミナー、二時間余りを喋り倒す。
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ファミリーのためのオスプレイ見学会!

2013-02-13 | Weblog
沖縄の米軍普天間基地に配備されているオスプレイについて、米海兵隊は来月3日、沖縄県民を対象に、安全性などを説明する見学会を開くと決めた。反発が続く地元の理解を少しでも得たいそうな。題して、「ファミリーのためのMV-22見学会 オスプレイを沖縄県民に公開!」。説明文には、「第三海兵遠征軍及び海兵隊太平洋基地は沖縄在住の子供たちと保護者の皆さんを、オスプレイの沖縄への配備、 日米同盟や日本の安全保障における役割、性能や安全性などについて知っていただくために、普天間海兵隊航空基地で、2013年3月3日、ファミリーのための見学会を開催します。ご参加のご家族の皆様には、オスプレイの実機を見学の上、機能を説明し、パイロット、乗員、専門家らに直接質問する機会を設ける予定です。この見学会は、ユニークで高性能な航空機、オスプレイについて、県民の皆様に直接ご説明することを目的としています。」とある。そしてオスプレイの機能データ表を自慢げに飾っている。さらに、「見学時間は約1時間で、事前の申し込みが必要です。申し込み者多数の場合、先着300名様に限定させていただきます。」。時間割は午前十一時から一時間毎に五回。そして、「参加希望のご家族(保護者及び20歳以下の未成年)全員のお名前、年齢、住所、電話番号(携帯も)、メールアドレス、ご希望の時間帯(第一希望と第二希望)を下記のメールアドレスまでお送りください。」とある。さらに、「選ばれたご家族には、見学時間帯、駐車場、集合時間・場所などの情報をEメールでお送りします。普天間航空基地を訪問する方々や車両は、憲兵や警察による検査の対象となる場合があることをご了承下さい。」と書き記すことも忘れない。……オスプレイについては、人口密集地の上空の飛行を避けるなどの運用ルールが守られていない。見学会では、機体の安全性や性能、それに日米同盟と日本の安全保障にオスプレイが果たす役割などについて説明するほか、訪れた家族がパイロットや乗組員などに直接質問する機会も設けるということだが、どなたかしっかりと「なぜ運用ルールを守らないのですか」と、訊いてほしいものだ。……東村伊集村長は、高江のヘリパッド建設現場に立ち入り調査に入ったが、「専門的なことは分からないが、防衛局がやっていることなので大丈夫なのではないだろうか」という、ぼけた返事。土砂崩れ、赤土流出という自然破壊の現状が平気なのだろうか。防衛局の言いなりは困る。……どうにもいろいろな出来事のピントが合っていない。……そして、福島第一原発2号機の温度が物凄い勢いで急上昇中。プラントパラメータによると、昨日の23時頃から2号機圧力容器の温度が240度から270度に。何かやばいことになっているのではないかと思うが、テレビや新聞のニュースにならない。どういうことか。自分たちの身はおのれで守らなければならないということか。……現実に背を向けることも、ぼけることも、さめることも、お断りだ。写真は「劇王」の別役実さんの言葉の掛け軸だが、「劇王」の「劇」を「激」と受け止め、「劇王は 激発し 激情し 激突し 激怒し 激笑する」とした別役さんの「熱」を、私たちも共有したい。
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