Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

イタリア演出家講座終了

2012-07-31 | Weblog
時差ぼけが治らず午前5時に目が覚めたまま、午前はもろもろの日本の雑務を。合間合間にあれこれ持ち込み仕事を続けていたわけだ。午後、ファディルの講座も終了。ぼんやりと午後を過ごしたいところだが、受講生たちの総反省会(とは銘打っていないが)は我々講師二人は遠慮し、もう誰も使わなくなった天幕つき野外舞台に、ビール(一本だけだよ)片手に寝っころがって本を読むと、雲一つない陽気、四十度の気温でも、風が抜けて気持ちいい。ここではなかなか本も読みにくいというわけではないが、何を読んでいるか聞かれて次回作のための資料を読んでいると正直に答えたら、若い受講生が「私たちはカンパニーなのよ。ほかのことしないで!」と、すねたりする。野外で一人の時間はいいものだ。……街に降りて土産を買い、スポレートフェスティバル関連企画として、私とファデルの公開レクチャー。ビデオ紹介と講演、質問を受けたりする。日伊英3カ国語が飛び交うが、司会・通訳ともスムースで、「この手の講座にしてはいつになくいい話、いい運びだった」とデビッドに言われる。『屋根裏』『だるまさんがころんだ』はイタリア語で出版されているので、会場には読んでくれている人もいる。……終えて、今回の演出家養成講座の総打ち上げ。本拠地を離れ、レストラン野外で。ラ・ママ関係者、現地スタッフ、受講生たちみんなが長く繋いだテーブルに座る。クロスを掛けると、まさに長い一本のテーブルなのだ。五十人以上はいる。白ワインの炭酸割り(スプリッツァ)を飲む。こちらでは一般的にみんな愛好しているのだ。……受講生ともいろいろ話した。学生もいるが、現役の演出家や講師が混じっていて、それぞれの思いが伝わってくる。「相手を活かして自分を活かす」という方法、時に厳しくあっても同じ目的に向かっていれば必ず思いは重なり合う、という認識は、とくに大人には伝わるのだ。……ともあれ、仕事は終えた。翌朝は早い。……写真は、受講者の一部との、歩行訓練。
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風の強い午後

2012-07-30 | Weblog
午前から、受講生に第二次発表をしてもらう。詳細は、またいずれ。というか、仕事上の評価等はこういう場所には書けないものだ。質疑応答と、私自身や劇団の話。明日に二つのミーティング、取材が控えてはいるが、私単独の講座を全て終え、記念撮影。……当地在住の粉川妙さんが来てくれる。いろいろ話。夕刻、また山を下ってスポレートまで出て、結城座が上演した劇場の内部を見せてもらう。彼女は結城座『宦官』当地公演の通訳をしたのだ。そのさいの舞台監督は我らが森下紀彦であり、共通の知人の話題で盛り上がる。『宦官』の作者クォ・パオクンのことをイタリアで思い出すのは奇妙だが、因縁というか無常を感じる。受講生にはシンガポール系も二人いる。……妙さんの旦那・絵描きのロベルトと合流、街を歩いているといろんな人と声を掛け合っている。人口二万人のこの町で、確実に互いに顔の見える「町の人々」の暮らしがある。素晴らしい。ご夫婦をラ・ママ拠点にお連れし、皆で食事。この施設の管理人兼料理人エリーザさんお手製の料理は、イタリア人にとってもかなりランクが高いようだ。ここには石窯もあって、デビッドも料理をこなしている。ほんとうによく働く人たちだ。……雨が降りそうで降らなかった日、けっきょく晴れて、夜空の星はすごいスケールだ。……写真は、野外ステージでの第一次発表の一組。シンガポールのリーさん熱演。ウエンディは語りと演奏。マイケルは狂言的ワキを務めた後、演奏。
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離れて思うこと

2012-07-29 | Weblog
朝9時から、また山を下ってスポレートまで出て、フェスティバル関連企画として、ネット上の画面どうしで繋がった、韓国での演劇を学ぶ高校生たちの合宿の中での発表会について、講評する。こちらはフェスティバル・ディレクターのアンドレアと、ビリー、ポルトガルの演出家と私。高校生の発表するエチュードをモニター画面で見るのである。私たち四人の姿も韓国の会場で映しだされている。ネット電話を活用した方法。私の英語力では不安であったが、韓国側の会場に旧知の日本語のわかる演劇人がいて、向こうで日本語から通訳してもらい、助かる。それにしても韓国の演劇教育への力の入れ方には驚かされる。で、終了後、韓国側のカメラが逆サイドに動くと、私たち「スポレート4」の姿がなんと大勢が見られるように二百インチに拡大されて映写されていたことがわかる。そりゃないよ。ポケットの中をがさごそしたり辞書引いたりしているのが、そのサイズでかよ。後の祭り。……戻って、またファディル・ジャフ氏のワークショップを覗く。理論的にもフィジカルワークにも私と共通点があるなと思っていたら、ファディル自身が合間にそう囁く。ベジタリアンなのに体格のいい彼はイラク出身なのだが「私は自分が前世では仏教徒であると気づいてもう20年間肉は食べていない」と言う。よくわからない理屈だが彼はそうなのである。……昨夜のフリンジに出ていた人達も来て、混じって昼食。第二部でダンスをしたトリノ出身の男女と一緒に食べ話す。もうカップルで八年踊っていて一日二十四時間×八年間いつも一緒なのだと。ある意味、愛嬌で勝負するところもある、やたらと何度も裸になるダンスであったが、ふだんはストリートダンスもしていて、15箇所の風景をもとに踊る趣向はその経験も入れてとのことだと聞く(写真)。下半身を捲って丸出しにしたり、観客に懐中電灯を渡してすっぽんぽんになって、見たい人は光を当てて見ろ、というのもあった。ストリートでは裸はやっていないと思うが。第一部でちょっと頭でっかちなワーク・イン・プログレスを見せてくれたゲイのコンビも来たが、彼らも七年いつも一緒なのだといちゃつく。そうですか。……午後の講座は、特定の感情に基づいてムーブメントを作らせる。『現代能楽集イプセン/チェーホフ』『荷』でもやったやり方だ。後は『屋根裏』のビデオを三十分見せる。……気温は日本より少し高いくらい。湿度は日本よりはましだがヨーロッパでは最悪に湿度のある場所なので、身体を動かす受講生たちもけっこう疲れが溜まっている。彼らはいろいろな所から来ている。国費留学や奨学金で来ている人もいる。……夕食後、アンドレアが見せたい劇場があるというのでその見学も兼ねて出かける。十時から野外コンサートでジャズを聴く。典型的なトリオ。好感は持てるがまれに、あれっと思うリズムの狂い。隣の劇場の下見が終わって、ラ・ママの応援スタッフの一人の誕生日で、会場に持ち込んだ酒類で乾杯しているのに加わる。珍しくイタリア人が好むというカンパリソーダなどいただく。少し踊る。……ともあれ施設もスポレートの町も素晴らしく、ラ・ママの皆さんの懐の深さ、ホスピタリティに、日々感謝。……ところで、この間、日本からのニュースで深刻だったのは、東電福一事故の収束作業に携わった長崎出身の元作業員男性が、下請け上位の日栄動力工業を職業安定法と労働者派遣法に違反する多重派遣をしていたと東京労働局に訴えた件。原子力産業に寄生する幾つもの会社によって、「下請け」「孫請け」どころかもの凄い数の会社を経由していたのだ。東電からどこかを経た上で「日立プラントテクノロジー」→「日栄動力工業」→「大和エンジニアリングサービス」、この段階で危険手当+日当で二万四千円から五千円が作業員一人の日当として計算されていて、さらに「創和工業」→「福田工業」→「前田工業」→作業者で、最終的に手渡される日当は一万一千円だという。その約束された日当も支払われず、なにしろ「危険手当」が危険でない人達によってピンハネされているという許し難さ。二十キロの鉛板を入れたリュックを背負い、防護服に全面マスクで、線量計の警報が鳴りっぱなしの中、1号機原子炉建屋の急階段をビル六階の高さまで駆け上がるのだという。建屋内にいたのは十分弱なのに、一般人の年間被ばく上限の二倍以上もの二・四ミリシーベルトの被ばく。福一での一ヶ月の作業の間に計約一二・三ミリシーベルト被ばく。原発作業員の上限は五年間で一〇〇ミリシーベルト、年平均二〇ミリシーベルトが作業員の手持ち線量。わずか一カ月で半年分を使った。下請け会社は自社社員が線量を使い切ってしまうと具合が悪いので臨時の作業員を雇うケースがあり、雇われた人間が自分が短期集中の高線量要員だったことを後で知るというケースも少なくないという。ひどい話だが。この国ではこれからこのことがずっと続くのだ。この国を実務として動かす立場の人間がそれをわかっているようには見えない。……劇団は仙台公演を終えていったん帰京。おつかれさま。
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普天間だけでなく高江も守らなければならない

2012-07-28 | Weblog
報道によれば、米空軍F22ステルス戦闘機12機(1個飛行隊)が約6カ月間、嘉手納基地に暫定配備される。飛行中にパイロットが低酸素症とみられる症状を起こし意識を失うなどのケースが多数確認され、米空軍が昨年から飛行停止している機種である。「危険機種」はオスプレイだけではない。なんにせよ野田首相は「配備自体は米政府の方針で、どうしろこうしろという話ではない」、つまり「属国なのでなんでも追従します」と言ってしまった。彼は「私自身がオスプレイに試乗して地元の不安を払拭したい」とも言っているわけで、きっとこのステルス機にも乗るつもりなのだろう。加えて野田首相は衆院で「尖閣諸島の周辺で領海侵犯などの不法行為があった場合、必要に応じて自衛隊を用いることも含めてきぜんと対応する」とも言った。いつからこの国は自衛隊にそんな任務を可能にさせたのだ。この発言への非難が少ないこともジャーナリズムと世論の濁りと停滞を感じさせる。……米国防総省が米議会に提出した米軍再編の第三者機関評価報告書で、普天間飛行場の辺野古移設の代替案として、あらためて那覇空港や伊江島補助飛行場などへの移設検討を提言しているのは、この間のオスプレイへの反対の気運について、問題の争点を誤魔化す目眩ましである。配備が予定されている普天間基地がある宜野湾市の佐喜真淳市長は「普天間飛行場返還合意の原点は、危険性の除去であり、地域住民の負担軽減だったはず。市民・県民の生命と財産を守るため、オスプレイの配備を許さず、一日も早い返還の実現を訴え続ける」というが、普天間に来なければいいという話ではない。オスプレイを許すことは海兵隊の存在を許すこと、基地の固定化そのものの容認を証明してしまうということについて、本気で皆が認識し、断固として拒否しなければならない。オスプレイパットの工事が強行されている高江のある東村・伊集村長はオスプレイ配備を「絶対に容認しない。県民大 会開催の意義を日米両政府に訴えないといけない」というが、まずは自分の管轄である高江に作られつつあるものがオスプレイパッドであることを明確に認め世論に伝えるべきだ。オスプレイに反対する沖縄県民大会は8月5日午後3時から宜野湾市の宜野湾海浜公園多目的広場で開催される。仲井真知事はこの県民大会への参加について「検討中。一般市民の集会にあえて出る必要はあるのか」とのたまっているらしい。高江を見殺しにできる者なら、沖縄、この国の市民も、みんな見殺しにするだろう。沖縄の県民大会を、明確に高江と連帯するものにしなくてはならない。……文楽協会への補助金凍結を表明、片方で不可能な条件を突きつけ非公開での面談を求め、協会側とのすれ違いが続いていた大阪・橋下徹市長は「二度と見にいかない」と言っていたはずの国立文楽劇場で、「曽根崎心中」を鑑賞。「古典として守るべき芸だということは分かったが、新規のファンを広げるためには台本が古すぎる」と言う。とんちんかんにもほどがある。呆れたのは「一番の素朴な疑問。なんで人間国宝の人形遣いの皆さんは、顔を出されるのか。文楽は人形の芝居のはず。心中の最後のクライマックスで、人形遣いの皆さんの顔が、人形の横にあると、舞台に入り込めない。集中できない。人間国宝以外の方は、皆黒子として顔を隠す」という発言で、想像力というものが欠如しているのと、「人間国宝」という権威に弱いことを露呈している。内田樹さんは「(橋下市長のような)自治体の首長が予算執行を経営者感覚(=無駄の削減)で行っていることじたいが変だ」「〈費用対効果の高い政治〉を徹底的につきつめると最適解はたぶん〈アメリカの51番目の州になる〉というあたりに落ち着く」という。「そうなれば、中国との尖閣問題でも、北方領土問題でも、円高問題も、TPPも、もう日本人は自主的には何も考えなくてよくなる。すべての懸案は日本人の肩から取り払われる。全部ホワイトハウスが私たちに代わって処理してくれる。沖縄における〈外国軍隊の不法占拠〉状態も一気に解決する(だってアメリカ軍は自国軍隊になるのである。彼らが基地外で市民に対して犯した犯罪は日本州警察が所轄し、オスプレイだってもちろん自国民の上に飛ばしたりはしない)」という。ブラックにも度が過ぎると思われるかもしれないが、現実の奇っ怪さは既にその段階に来ている。……イタリア滞在4日め。また時差ぼけがぶり返す。午前には生徒たちに発表してもらう。4組。後はまた、講義。夕方はファディル・ジャフ氏のワークショップにつきあう。思いがけずメイエルホリドの勉強をさせていただける。夜はスポレートの町でフェスティバル・フリンジ参加のワーク・イン・プログレスの短い作品を観る。
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フィジカルワークショップ、そして仙台

2012-07-27 | Weblog
時差ぼけに悩みつつ、午前中はファディル・ジャフ氏のワークショップに途中からつきあう。前日の私の講座を見て、受講者たちの集中力が長時間の座学に向いていないといちはやく見抜いたか、ファデルは一時間半ほどでフィジカルワークに突入。ロシア式対面型メソッドの面白さ。……私も今日は更に山の上に登ったところの吹き抜けのオープンステージで、やはりフィジカルワークショップ。俳優兼任の者もいるものの、受講者は基本的に演出志望者たちで身体派ではないから、まあ、やりやすい形にしてゆく。身体を動かしながら昨日の理論を裏付けていくので、当然説得力がある。後半は私もかなり動いてみせる。引っ込み思案だったり悩みやすかったりした一部の受講生とも皆コミュニケーションがとれて、やりやすくなる。明日への課題も出す。……その後、もともと仲良し同志だったというイタリア各地を中心としたアーティストたちが今年になって再集合したというチームが私たちラ・ママ関係者に見せたいとして、『アンティゴネ』独創版野外劇を、なんと「出前」で見せに来る。野外、日の長い当地で午後八時半過ぎから夕暮れの借景で上演。9月に完全野外劇を上演する予定の身としては、いろいろ刺激的であった。そのメンバーたちも交えて、夕食。食後は音楽劇カンパニーであるゲストの彼らによるミニコンサートが続き、おそろしく贅沢である。中にイランから来ている女優がいて、終演後の挨拶の最中にそのことに触れ、涙ぐんでいた。この感覚は島国日本だとなかなかないものだ。一緒に飯を食べている時は彼女も元気を取り戻していたが、そこで交わし合った演劇人どうしの相互の信頼に対するある種の感覚も、日本には乏しいものだ。日本では我が儘や自分本位が許されすぎていて、自分の狭い視野で相手を裁断して思考停止する人達が多いし、殊に被害者意識の過剰に強い者のほとんどは自我を成長させることを止めそれに自覚がないということも関係しているだろう。……ミネアポリスで自分の劇団を二十年つづけているという受講生ウェンディが、〈指輪ホテル〉の羊屋白玉と合作「Mesujika 雌鹿 DOE」を作っているトリスタ・ボールドウィンの知り合いとわかり、また盛り上がる。……その羊屋を「世界が注目する日本女性100人」に選んだことのある米週刊誌ニューズウィークが、完全ネット化される見込みという。紙媒体はもちろん一般書籍も今後の運命は厳しい。「新聞はもう十年余、ネットでしか読まない」という友人は、アメリカに先に多かった。こういう変化にビビッドだったはずの日本が鈍感な昨今である。全面ネット化した方がいいとは思わないが、この「遅れ」じたいに今はマイナスの意味がある。……韓国では釜山郊外の古里原発1号機で2月に起きた全電源喪失事故が1カ月以上隠蔽された事件で、隠蔽を主導し原子力安全法違反の罪で在宅起訴された当時の運用責任者に懲役1年の実刑判決が下る。原発関係者のモラルの低さがしっかりと糾弾されている。振り返って日本を見ると恥ずかしいばかりだ。……そして日本人の昨年の平均寿命は女性85・90歳、男性79・44歳で、女性の平均寿命は一昨年まで26年連続世界一だったが、香港の86・7歳を下回り2位となった。日本人男性も4位から8位に順位を下げた。厚労省は「多数が死亡した東日本大震災が大きく影響している」「10万人当たりの自殺者数が特に20代で高まった」等と説明している。……なんだかいろんなことがあるが、とにかく今を生きる。……燐光群チームは仙台の<せんだい演劇工房 10-BOX >に入っていて、十二時間後には幕が開く。「屋根裏」「『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に 改題されたか あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか」に続く、三回目の10-BOXでの上演。仙台の皆さま、どうぞお楽しみに。(写真は<せんだい演劇工房 10-BOX >地図)
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ワークショップ始まる

2012-07-26 | Weblog
朝食のカフェ(営業しているわけではないよ、そう呼ばれているエリア)に行くと朝食可能時間四十分過ぎているのに私が第一号だという。受講生はみんなよく寝ている。午前中は、そのままラ・ママの責任者デビッドに誘われ、私と並行しての講師ファディル・ジャフ氏とも連れだって、最寄りの(といっても徒歩では行けない)スポレートの街へ。水やらを買い出し。ついでのように小さいが坂の多い町の中心街を少し散策。最大高八十メートル、長さ二百メートルの「棟の橋」に驚く。上から谷を見下ろしても自分が高所恐怖症かどうかがわからなくなるくらい、ただリアルに「高い」のだ。アーチの多い街。品格あるモザイク絵のあるドゥオーモ、リベルタ広場の野外劇場など駆け足で見る。六階層のボックス席がある古式のヌオーヴォ劇場にバックステージから入れてもらう。そこをメイン会場に、ラ・ママはこのスポレートでこれから9月まで大規模なフリンジ・フェスティバルもやっている。そのパンフレットが重く厚くて驚く。……ファディルはイラク出身、スウェーデン在住の演出家で、メイエルホリド論を中心に講義するという。私と同じく最初は座学にするらしい。私と同じく十九歳の息子がいるとわかる。……ワークショップ一日め。やはり言葉の問題がたいへんだが、通訳に来てくれたペルージャ在住のなおこさんのおかげでなんとか終える。大丈夫だったか心配だったが、終えて熱心に話しかけてくる2名がいて、特に現役の演出家で教師でもある一人が夕食後、「あなたの話にインスパイアされて自分の中にどんどん構想が湧いてきた」と言って興奮して話し続けるその内容がこちらの意図をしっかり捉えたうえで独自性も持って面白く、つまり、通じるところは通じているらしいと、安堵。……提供される食事は賄い。敷地内でとれたばかりのトマトにオリーブオイルとバジルを掛けたのをいただいたが、それもすごい。正真正銘、イタリア家庭のイタ飯。……せっかく買ったビデオカメラだがパソコンに繋いでもOSの問題で開けない。今日のところは写真を撮る気も失せる。……合宿生活に違和感なく馴染んでゆく。やはり合宿の旅である我が劇団ツアーはそろそろ盛岡公演を終えたはず。……高江では防衛局の動きはないが、米軍が弾薬を搬入したとの報。報道では、「高江止めてもオスプレイ止めることに直接つながらない」と、県幹部の発言。だから黙認するのか? 玄葉外相は高江でのオスプレイの使用の可能性に言及。ただ追従しているだけ。毎回ころころ言うことを変えても構わないと考えている人達だ。
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ラ・ママ・ウンブリアでのワークショップ

2012-07-25 | Weblog
乗り継ぎ入れて羽田から17時間の飛行を経て、空港でしばらく待ち、ラ・ママのビリーが迎えに来てくれる。ローマから車で二時間でスポレート。しかし国道沿いに山火事があったとかで、道なき道を辿って、山奥のラ・ママ・ウンブリラの施設に入る。すごい自然だ。岡山でオリーブ園には馴染みがあるが、こんなに壮大なオリーブの林立は見たことがない。授業は明日から。車で1時間のアメリアの町で古い城塞を観て、夕食。……この「演出家のための国際シンポジウム」はニューヨークのラ・ママのボスだったエレン・スチュアートさんの発案で始まった。「ラ・ママ」はまさにイタリア語で「母親」の彼女の存在から名前を取った劇場だけに、ニューヨークにあるけれどイタリアがルーツなのだ。「スズキもテラヤマも私の息子」と言っていたエレンは私に1999年に『くじらの墓標』のリーディングをさせてくれたことがあるが、ちょうどその90年代の後半は彼女が気に入ったスポレートの外れに一軒家を買い、助成金がもらえるたびに少しずつ工事し、部屋やスタジオを足していった最初の時期だ。これぞ「アーチスト・レジデンス」の拠点である。もう16年前の夏からこのワークショップは開催されている。立派なカフェも併設されているが、「冬は寒くて話にならない」ということで、施設全体が夏の三ヶ月だけ使用されている。ワークショップはセッション1、2に分かれていて、私は「2」の後半を担当。これまでの講師には、アン・ボガード、リサ・クロン、ピンチョン、メレディス・モンク、ロメオ・カステルッチ、リチャード・シュクナー、チャック・ミー、オン・ケン・セン、プトゥ・ウィジャヤと、私が知っているだけでもすごい顔ぶれだ。日本人講師は過去にはヨシ笈田氏と人形の田中純氏、川村毅氏。私が四人目ということだ。で、川村毅氏滞在時には当地にいたラ・ママスタッフの藤藪さんがいないので、私の言語問題はかなり深刻である。……ともあれ、緊張しつつ開始を待つ。……と思ったら、世界では、いろいろなことが動いているようだ。高江には十トンの砂利が入れられてしまった。くやしい。……イチローはなぜかヤンキースにいてマリナーズ相手にヒットを打っている。……劇団は盛岡公演、無事に初日をあけることができたという。よし。
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皆は盛岡へ、私は羽田へ

2012-07-24 | Weblog
溜まっていた雑事を片付けるうちにどんどん時間が経つ。各方面でまさかの事務仕事のし残しがあったりする。なぜ早く言わない!? 文句を言っている暇もない。劇作家協会に顔を出そうかとも思っていたがとても無理だった。……今さらでもなんでも、アメリカに対してオスプレイに「待った」をかける人間が出てくることは、いい。でも与党・前原に、結果として八ッ場ダム中止を宙ぶらりんに戻した同じ人間に、ちゃんと最後までやれるのか。責任をとれるのか。与党内でも「そろそろ選挙」の囁きが著しいとされる昨今、「俺は一味違う」と宣伝したい選挙対策ではないのか。けっきょくは「カネと利権」に流されてきたあなた方を誰が信じるというのだ。……盛岡に着いた燐光群メンバーは老若男女みんな神社の大広間に宿泊。食事は自炊の賄い。お米はお客さんがご厚意でくださったものだ。80年代に国内ツアーを始めた初歩の方法に完全に戻った。助成金のいっさいない厳しい旅だが、中身には自信がある。暑い夏に屈さない民間自立劇団の底力を観てほしい。……日本に名残を惜しみつつ地元の最近味が落ちたラーメン屋で麺を啜り、大慌てに、柚木さんのマイズナーテクニック・ワークショップ初日の梅ヶ丘で新作戯曲の資料をピックアップし、あたふた羽田へ向かう。……ヨーロッパ便が羽田から。しかも深夜発。とても不思議だ。みんながんばれ。俺もがんばる。と、待合ロビーで未明の搭乗を待つ。……写真は、盛岡・風のスタジオでの、仕込みのすんだ状態。舞台監督デビューの西川くん撮影。東北公演、残席がまだあります。盛岡、そして次に仙台公演もあります。東北の皆さま、ぜひお運び下さい。
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事態は悪化するのみ

2012-07-23 | Weblog
琉球新報の沖縄中部支社Oさんの取材を受ける。ふだん沖縄中部にいる方を相手に長い時間話をしていて、ほんとうに、沖縄に対するヤマトのこれまでの仕打ちを思い、憤りと切なさを新たにする。二十年近く前、この中部支社にもいらしたMさんにお世話になった。この間、ジャーナリズムの方々にも、いろいろなことを教わり、さまざまな人々を紹介していただいた。あの頃、いくら何でもこれ以上悪くなるはずがないと思ったことが、確実に、悪くなっているのだ。過去を思い出す時、常に苦い思いが滲むのは、そのためだ。殊に、政権を得た時に「最低でも県外(に移設)」と言った与党が、その普天間基地にオスプレイを導入しようとしていることは許し難い。そして、オスプレイの問題の核心は、「それが危険な飛行道具であるから」ではないということを、忘れてはならない。……ついにデジタルビデオカメラを買う。……「無印良品」にも系列別ブランドの百円ショップができていて、驚く。帽子とか、旅行携行品を買う。「これが百円で買えてしまう世の中なのか」と思う品もあって、唸る。デフレの現実。消費税アップとの組み合わせ。狂った循環に馴らされている。……旅行携行品を用意しなければならないのは、イタリアでキャンプ形式のワークショップをする場所が山奥の村で、宿舎が民家を改造した「合宿所」であるらしく、フラッシュライト、傘、虫よけ、帽子、サングラス、はさみ、日焼け止め、といったものを持参するよう伝えられているからだ。はさみを何に使うのかは、定かでない。……そんな間にもオスプレイは岩国に近づいている。そのオスプレイは、ほうっておいたら、沖縄に上陸し、いずれ高江にも飛んできてしまうのだ。……高江の写真は、昨年2月のN1内。フェンスの内側に土嚢を入れる手配を取ろうとする作業員たちと防衛局員。土嚢の中身は県道からヘリパッド(オスプレイパッド)への道を造る工事に使われようとしていた。こちらの工事は現在も止まっている。
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あたふたした一日

2012-07-22 | Weblog
午前、梅ヶ丘BOXから劇団車に荷積み。荷台ぴったりに詰め込めた。みんな翌日から東北ツアーに出るのだ。打合せ等。……芝居を見にに行こうと思ったがいろいろやっているうちに時間が合わなくなる。今月は本隊を離れて私だけイタリアに行くので、なんだか寂しい。デジタルカメラを買おうかと思って、うろうろ。なかなかぴんと来ない。……八月五日の震災イベントのニューヨーク側の立役者がジェームズ八重樫さんだが、彼が警官役で出ている『崖っぷちの男』を観る。ちょうど時間が合った。……高江の写真は、昨年2月のN1内。作業員と防衛局員に侵入されてしまった日。この道の向こうにヘリパッド(オスプレイパッド)がある。N4地区同様に道路からヘリパットへの道を造る工事を行おうとしているのだ。
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与党の元総理が反体制デモに出る不条理

2012-07-21 | Weblog
金曜夕方、9万人の総理官邸前反原発抗議デモに鳩山元総理が参加したという。「どう考えても、この時点での再稼働は無理です。やめるべきだと私も思っています」だそうだ。そう話した後、官邸内へ。野田総理は九州の豪雨被害視察で不在のため、藤村官房長官にデモ参加者と面会するよう申し入れただと。デモに出なくたって首相には会えるのだろうから、この人が「デモに出る」意味はない。完全な選挙対策の自己宣伝だ。愚かだ。あるいは、党の中で自分の意見を通せないでいる無能さを宣伝しているわけだ。まず自分で責任をとれ! ……沖縄防衛局は高江への工事強行について事前説明をするとの約束を反故にした。抗議の電話をかけても、あーうー、とかわされるだけで話にならないという。今回の強行工事の前に住民に説明したのかと聞くと「してない」と。なぜですかと聞くと「しても同じだから」と答えるそうだ。資材は19日にトラック一台分入れられてしまったそうだが、膠着状態が続いている。……「宇宙みそ汁」「無秩序な小さな水のコメディー」梅ヶ丘BOX公演終了。……取材数件を受ける。いろいろと人を紹介したりで、夕方は電話しっぱなし状態。……梅雨は終わっているようだ。しかしこの冷気はなんなんだ?
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「私の村から戦争が始まる」終了、高江のたたかいは続く

2012-07-20 | Weblog
非戦を選ぶ演劇人の会リーディング『私(わん)の村から戦争が始まる ~沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの~』、千秋楽。だが、件の高江では、正午に防衛局・作業員・警備員100名が住民の守るN4ゲートを襲撃。10トンダンプをゲート前に横づけ場所を確保。いつ搬入されたのかわからない北部訓練場メインゲートを通って搬入されたらしいクレーン車がゲート内から現れ、住民の抵抗を遮ってオスプレイパッド建設用の砂利を搬入しているという情報が入る。東京で高江をテーマにしたリーディングをしている日にそんな強行をするとは。怒りに燃える。……非戦会場は、ミニライヴ、HiROとZABADAKの共演に、興奮。プログレと三線はよく似合う。アフタートークで宮城康博さんをあれこれあおったのだが、考えてみれば人のことより自分のこと、これからの時代、俺たちはどう生きるのか。クレーン車が引き揚げたという情報に安堵するが、今後のことが気になる。……高江、沖縄という、海外でも過去でもない現実と向き合うリーデイング、沖縄出身者の参加もあって、打ち上げの空気も素晴らしい。HiROさんに続いて津嘉山さんも歌う。三線に合わせて皆で舞い、未来への思いを共有して、打ち上げる。
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「私の村から戦争が始まる」スタート

2012-07-19 | Weblog
非戦を選ぶ演劇人の会リーディング『私(わん)の村から戦争が始まる ~沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの~』仕込、舞台稽古、本番。……超満員、補助椅子も全部埋まる。なんとかうまくいったと思う。ひらたよーこ、HiROのミニライヴ、糸数慶子さん、与那嶺明彦さん、宮城康博さん、私とのトーク。
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「私の村から戦争が始まる」初日前日

2012-07-18 | Weblog
夏は暑いのは当たり前ですって、はい。雲一つない日でした。本日も昼過ぎから夜まで、非戦を選ぶ演劇人の会リーディング『私(わん)の村から戦争が始まる ~沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの~』リハーサル。……表面に見えない諸々の事項、制作的なあれこれに、苦闘。……本日から登場の藤木勇人さん、さすがの存在感に助けられる。ガレッジセールのゴリさん、あえてそういうふうに見せないけれど、凄い集中力。HiROさんの三線と唄声に痺れる。私は今回は応援役だが、ともあれ鵜山仁さん、清水弥生に、時折りあれこれ呟きながら、つきあう。……演劇人で最初に高江に行ったのは、おそらく私なわけだが、こうして活動がいろいろな人に広がり、リーディングとしてさらに浸透していくことは嬉しい。昨年2月の厳しい攻防時、自分で撮影した写真を一枚。だけど何の証拠に使われるかわからないから、人間が写っているものは載せられない。これは、N4ゲートの中の、半ば完成しかけているヘリパットの姿を、立入できないフェンスというかゲートの外から。この表に、今年7月10日、防衛施設局によって二台の作業用トラックを置かれてしまったのだ。もちろん高江住民はそのトラックも身動きできないようにして囲い、新しいバリケードを構えている。撮影していた時は、お昼休み的な時間帯、某政党の街宣車の上にかってに上がらせていただく。傍らでミュージシャンNaccaさんが「防衛施設局の皆さん、皆さんは恥ずかしくないですか」と、涼やかな声でメガホンで語りかけていたと記憶している。……この公演、ほんとうに、まだまだ席に余裕があります。とくに19日の昼2時の回が平日の昼とあってかなかなか動員に苦戦している。皆さま、どうかお誘い合わせの上、いらしてください。詳細情報は、以下の通り。
http://hisen-engeki.com/information.htm
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「私の村から戦争が始まる」リハーサル始まる

2012-07-17 | Weblog
午前中から演出者協会理事会。終えて、喫茶店で書き仕事。「宇宙みそ汁 / 無秩序な小さな水のコメディー」昼公演終了後の梅ヶ丘BOXへ、沖縄から朝に到着した宮城康博さんと連れだって移動。代々木公園近くの南新宿駅に停まった小田急線車内まで代々木公園の反原発集会の喧噪が聞こえてくる。二十万人集まったらしいと聞いて納得。……80年代には慣れ親しんだ町、椎名町へ。非戦を選ぶ演劇人の会リーディング『私(わん)の村から戦争が始まる ~沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの~』リハーサル。……昨年に続き、鵜山仁演出・永井愛演出補というコンビ。この上演、作者の清水弥生の役を同じ燐光群の安仁屋美峰が、もう一人の作者瀬戸山美咲の役を占部房子さんが、劇中に登場する円城寺あやさんを市毛良枝さんが演じるというのが、不思議というか、面白い。徳之島の唄者であるHiROさんに劇中では沖縄の唄も弾いていただくことになる。大鷹明良さん、大谷亮介さんらがさっそくユーモア豊かに場を盛り上げてくださる。新井純さん、寺田路恵さんらベテランの参加が嬉しい。リーディング初参加・中川安奈さんのコスズ教授もいきなり大受けであった。……終えて、津嘉山正種さんの誘いで、宮城さん、大谷さん、重田千穂子さんらと与論島出身の方のお店に寄る。……この公演、まだまだ席に余裕があります。とくに19日の昼2時の回が平日の昼とあってかなかなか動員に苦戦している。皆さま、どうかお誘い合わせの上、いらしてください。詳細情報は、以下の通り。
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