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“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「慰安婦」展は「啓発的事業」なのか?

2015-03-25 | Weblog
今日の東京新聞1面トップ記事は、見出しが〈新座市が「慰安婦」展拒否 「啓発的事業」理由〉というもの。
埼玉県新座市の市民団体「にいざジェンダー平等ネットワーク」が「慰安婦」をテーマにした中学生向けのパネル展「中学生のための『慰安婦』展」を今月二十七日~四月七日、市施設のギャラリーで開催しようとしたところ、市教育委員会が内容を把握しないまま拒否したことを報じている。
市教委は、ギャラリーの使用要領で許可しないと定めた「啓発的な事業」に当たるとするが、この要領自体も疑問視する声がある。当然ながら市民団体は「表現の自由を侵害している」などと反発しているという。
内容は十三枚のパネルを展示、「戦後、『慰安婦』たちはどうなったのですか」といったQ&A形式の文章に、図や写真を添え、韓国や中国、フィリピンの元慰安婦の証言も紹介しているという。
一月二十二日、館長がいったん申請を受け付けたが、数時間後に「市教委の許可が必要」と電話があり、求められてパネル展のチラシを提出した。二月十日に文書で「使用要領の『啓発的な事業』に該当するため許可できない」と回答があったという。
市民団体は、使用許可を求めて市教委に請願を提出。市教委は二十四日の定例会で、全会一致で不採択とした。ただし教育長の証言によると、館長や教育長を含む教育委員全員がパネルの内容は把握していないという。どういうことだ?
パネルは、東京都新宿区の「女たちの戦争と平和資料館」(wam)が制作。昨年十月から全国の希望者に貸し出し、公共施設など十七カ所で展示されており、制作者側も「公共施設が開催を拒否したケースは記憶にない。『慰安婦』は一九九七年度採択の中学校教科書に掲載されたことがあり、現在も高校の教科書に登場する。抗議を恐れて市教委が自主規制したのであれば由々しき問題だ」としている。
【新座市民ギャラリー使用要領】第6条は、「庁舎管理責任者は、次に該当する使用については、許可しないものとする。ただし、庁舎管理責任者が特別の事情があると認めた時は、この限りではない。(1)宗教的活動を目的とするもの(2)政治的活動を目的とするもの(3)営利行為を目的とするもの(4)各種事業、行事、活動等の啓発および推進を目的とするもの(5)公序良俗に反するもの」となっている。

昨年十月、安倍首相は国会で「(朝日新聞のせいで)『日本が国ぐるみで性奴隷にした』といういわれなき中傷が世界で行われている」と発言している。首相の立場で国際的批判を「中傷」の一言で切って捨てることができるのか。その物言いも彼の得意な「表現の自由」なのか。
河野談話は吉田証言に基づいて作成されたものではないことじたいは菅官房長官も安倍首相も国会で認めたのだから、そもそも「朝日新聞の吉田証言の誤報によって従軍慰安婦問題が起こった」とする朝日新聞バッシングは根拠が無い。
「河野談話」は閣議決定され現内閣も維持しており、教科書に記され続けている「従軍慰安婦問題」じたいが「存在しない」としようとする安倍首相の独断による「歴史修正主義」は、世界の非難を待つまでもなく自己矛盾している。
「河野談話の維持」が正当であるなら、教科書記載の内容に即した「パネル展」は、「歴史」を学ぶ中学生の正当な教育のためであることは疑問の余地はなく、「政治的活動」はもちろん「啓発」にもあたらないはずだ。
教科書にも載っている内容を子供たちが見てはいけないのか。こうした行政と教育の「自粛」が見過ごされ、定例化してしまってはいけない。
また、そもそも本来の意味での「表現の自由」は、市側の「主観判断」を越えて、尊重されるべきだろう。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015032590070503.html
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