最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

覚せい剤の取引は前受け金も没収対象

2019-12-22 10:16:43 | 日記
平成30(あ)437  覚せい剤取締法違反被告事
令和元年12月20日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  名古屋高等裁判所  金沢支部

 覚せい剤譲渡の約束に基づき支払われた代金全額が「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」に当たるとされた事例

報道ベースでは出てこないので判決文を読んでいきます。
1 被告人は,Aとの間で,覚せい剤100gを代金80万円で譲り渡すこと,覚せい剤は80gと20gに分けて引き渡すことを約束し,代金全額を被告人名義の預金口座に入金させた。被告人は,その約束に係る覚せい剤の一部として,覚せい剤78.76g(以下「本件覚せい剤」という。)を,Aの住居宛てに宅配便により発送し,Aに覚せい剤を譲り渡そうとしたが,その目的を遂げなかった。

覚せい剤の通販して、途中でばれたのでしょうか。

2 原判決は,被告人が薬物犯罪である本件譲渡未遂により得た財産は,本件覚せい剤の代金相当額に限られるとし,被告人は,約束した覚せい剤100gのうち,その8割に相当する分として本件覚せい剤を発送したと認められる。

3 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下「麻薬特例法」という。)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」は64万円であり,既に費消されて没収することができないので,同額を追徴すべきものとしている。

随分長ったらしい法律名ですね。こんなのがあるとは知りませんでした。2条3項では、
3 この法律において「薬物犯罪収益」とは、薬物犯罪の犯罪行為により得た財産若しくは当該犯罪行為の報酬として得た財産又は前項第七号に掲げる罪に係る資金をいう。

要するに、麻薬そのものだけでなくその売買に使う金、あるいは使われた金は没収しなさいという趣旨のようです。80万円受け取って8割分の覚せい剤を送ったので、64万円は没収でしょうというのが原審の判断ですね。先ほどの法律の後半である「罪に係る資金」をどの範囲までとするのかが争われたようです。

で最高裁は、
被告人は,覚せい剤100gを代金80万円で譲渡するという約束に基づき,代金の支払を受けるとともに,本件覚せい剤の譲渡の実行に着手したもので,代金全額が,その約束に係る覚せい剤の対価として本件譲渡未遂と結び付いており,本件譲渡未遂を原因として得た財産といえるから,麻薬特例法2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」として薬物犯罪収益に該当するというべきである。

未遂も含め、覚せい剤の代金として受け取った金額なのだから全部没収ということのようです。主文が全員一致でした。

裁判官三浦守の補足意見
前払代金を得ながら,その約束の一部の規制薬物の譲渡が行われ又はそれが未遂に終わった場合も,犯罪行為に係る約束に基づいて財産を得た上で,その約束に沿う犯罪を行ったという点では基本的に同じである。この場合,犯罪行為の範囲と財産の範囲に差異が生じるようにもみえるが,この財産は,その約束に係る規制薬物の対価として一体的に犯罪行為と結び付いており,その財産の全体について犯罪行為により得たものということができる。

ん?これは他の裁判官と同じですよね。一通り三浦裁判官の補足意見を読んでみましたが、他の裁判官の意見と何が違うのか分かりません。敢えて言うまでもないことを繰り返しているようにしか思えませんが。

裁判長裁判官 三浦 守  当然
裁判官 菅野博之  当然
裁判官 草野耕一  当然
裁判官 岡村和美 当然