薄気味悪い絵葉書
普通、ネクタイの発祥地は?と問われれば、フランスとかイギリスとか答えるだろう。
しかし、
「”ネクタイの発祥の地はクロアチア”ということをご存知でしたか?」
と日本語で書いてあるクロアチアの絵葉書を貰ったのである。
くれた韋駄天さんは古い友人で、同じ会社に勤めていた頃は、はっきり言ってちょっと敵わない人だった。
今でも敵わないのだが、会社を止めれば利害は対立しないし、お互いカドが取れた。だから今ではごく親しい人になっている。
韋駄天さんは退職後、一年発起。英会話を習得し、ニュージーランドでホームステイをしてから後、世界の僻地を東奔西走している。
つい最近は旧ユーゴスラビア諸国を見てきたところで、絵葉書はそのお土産。
クロアチア国ドゥブロブニク(Dubrevnik)市の「SALON CROATA」というネクタイ専門店が作ったものだそうだ。
絵葉書に英語、クロアチア語、日本語の説明文があるように、同市は矢鱈に日本人観光客が多い街だそうだ。
絵葉書によると、350年以上前にクロアチアの兵隊が襟巻きを着けて、フランスに進駐したらしい。
それが格好いいのでフランス人が真似をして、ネクタイに進化し、世界中の6億人の首を絞めているぞ、どうだい、の由。
それは恐れ入りました。
でもね、今手元にある世界地図にはクロアチア共和国なんか載っていない。
韋駄天さんによると、旧ユーゴスラビア諸国は貧しいが、クロアチア共和国、中でも首都のドゥブロヴニク市だけが美しく整備され、安全でもあるそうだ。
絵葉書の日本語は、どうも要点がはっきりしていない。
韋駄天さんもそれを認めているから、在日大使館に忠告するようけしかけたら、とっくに実行済み。
アドリア海に面した美しい街は、微妙な均衡の上に成立していて、絵葉書の文言さえあちこちに気を配るため、ぼんやりした記述になっているそうだ。
ドゥブロヴニク市旧市街
と書いてから、念の為にウィキペディアを調べたら、クロアチア共和国の首都はザグレブでした。
あれれ、ドゥブロヴニク市は、ボスニアヘルツゴビナ共和国に分断されて、飛び地になっている。そして世界遺産に登録されている。
やはり、世界地図を新調しなくちゃな。
50年代、今のようにデザイナーブランドのネクタイなぞ無く、専ら国産品のネクタイばかりで、裏地には「CRVAT」と刺繍した布切れが付いていた。
あの頃気になっていたことを思い出して、電子辞書で調べてみると、
cravat <古語>男性用首巻き クラバット
<英商用語>ネクタイ 米では necktie の気取った語
とある。
首巻とは可笑しいが、ネクタイの気取り語だったとは.......。
本当はネクタイをお土産に欲しかった。しかし考えてみればもう20年も、葬儀用の黒いネクタイしか使ってないのでした。
猫額亭の押入れにはまだ20本はあるかな。
だから、絵葉書と新知識だけでいいや。
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