非国民通信

ノーモア・コイズミ

ダイヤモンドの夢と日本の現実

2011-10-20 23:02:35 | 雇用・経済

 外国人を差別の対象とするものだけではなく、偏見に乗じて福島に関わるあらゆるものを排除しようとする言論もまたヘイトスピーチであるように、戦前戦中の日本像を塗り替えようとするものだけではなく、比較的近い年代における日本の記憶を歪曲しようとするものもまた歴史修正主義の一つではないかという気がします。案外、自分たちの生きていた時代のことでも誤って伝えられていたり、勘違いが重ねられたまま実態とはかけ離れたイメージが構築されているところはないでしょうか。

 少なからぬ日本人が忘れているように思えるのは、「リストラ」という言葉が流行り始めた時代のことです。不況が始まって真っ先に人員削減の標的とされたのは、相対的に給与の高かった中高年でした。この特定の年齢層を狙い撃ちとした首切りの横行とともに、リストラという言葉が一般に広まったわけです。しかるに、この中高年が犠牲にされた時代の記憶は、とりわけ経済について知ったかぶりをする人ほど忘却の彼方に追いやっている傾向があるように思います。

 日本人から失われた記憶のもう一つは、年功序列型の賃金体系や終身雇用制度が、限られた時代の限られた会社における男性正社員に限定されたものであったことです。それは出世への道を閉ざされた非正社員や女性にとっては昔から縁遠いものでしたし、明日をも知れぬ中小零細企業においてもまた同様だったわけです。そして、今となっては大企業においても廃れて久しい。にも関わらず年功序列批判、終身雇用批判が止むことはありません。それは共産主義を実践しようとする国や政党が絶滅危惧種と化した現代においても反共主義が衰えないことを彷彿とさせる、時代錯誤精神の発露と言えるでしょう。

経済学の常識からみると
派遣社員の賃金は正社員より高くすべき(DIAMONDonline)

 最近何かと話題の「格差」については、規制緩和や市場原理がその原因だとよくいわれますが、これはまったくのデタラメです。ボリュームの点で、日本における重大な格差は、大企業の中高年正社員や公務員と若年層の非正規社員との格差で、これは市場原理が働かないから引き起こされています。

 さて、今日は久々にお笑いダイヤモンドを読んでみましょう。まぁ、相変わらずと言うべきか進歩のない内容ではありますが、ツッコミどころには事欠きません。「派遣社員の賃金は正社員より高くすべき」と、おそらくは編集スタッフが付けたと思われる見出しにはもっともなことが書かれていますけれど(負わされたリスクの分だけ報酬は上乗せされてしかるべきですから)、どうも引用元の作文で著者が言いたいことは別物のようです。なんでも「規制緩和や市場原理がその原因だとよくいわれますが、これはまったくのデタラメです」とか。

 にも関わらず、同じ段落で「大企業の中高年正社員や公務員と若年層の非正規社員との格差」が問題視されているのは不思議な話です。まず、そこで挙げられている非正規社員の急増は、まさに規制緩和によって生み出されたもなのですが。公務員と民間企業との賃金格差は数値のトリック(常勤の公務員給与と、パートタイムを含めた民間企業全体の給与が比較されている等々)でしかないので無視するとして、では本当に差があるもの、例えば大企業と中小企業の従業員の格差などは気にならないのでしょうか。それはもちろん、市場原理によってもたらされたものです。


 そもそも派遣社員というこの日本で問題になっている雇用形態は、コストの面で見れば企業にとってそんなにいいものではありません。なぜなら派遣会社にピンはねされるからです。手取り20万円の派遣社員を雇うのに企業は40万円ぐらい負担しないといけません。

 それでもなぜ派遣社員を使うかというと、景気が悪くなった時に解雇できるからです。企業は派遣社員を使うことによって人件費を変動費にすることができます。そのためには少々割高な費用でも割に合うわけです。

 先だって、上記作文の著者が具体的に非正規雇用にどのようなイメージを抱いているか見てみましょう。何でも派遣会社にピンハネされるから、派遣社員は安くないのだとか。う~ん、エメラルドの都ならぬダイヤモンドの都では、そういうことになっているのかも知れませんね。では日本の場合はどうなのでしょうか? まず派遣会社もまた立場は弱いことは認識しておく必要があります。基本的に派遣会社は派遣先企業の言いなりですから。一方的に派遣契約を打ち切られては、派遣社員だけではなく派遣会社だって収入のアテを失う、大損害を被るわけですが、それでも黙って引き下がるのが派遣会社と派遣先企業の一般的な力関係です。謂わば労働力という在庫を本社に変わって引き受ける下請け企業のような立場、というのもまた派遣会社の一面です。そんな派遣会社が、手取り20万円のために派遣先企業に40万円も請求するみたいなボッタクリが可能なのでしょうか。下請けに厳しくコスト削減を求めておきながら、派遣会社には言われるがままに支払うとか、そんな馬鹿な会社経営者がいるとは流石に考えにくいです(身内が偽装雇用のための派遣会社を経営してるなんてケースもありますけれど)。

 派遣社員と派遣会社の取り分は7:3が相場です(一般的な職種の場合どこも談合しているかのように7:3で、派遣社員側の取り分が多いことを売りにする派遣会社というのは激レアです)。手取りが20万円なら額面は23万くらいですから、派遣会社の取り分は10万程度になります。日本で手取り20万円の派遣社員を雇うのに必要な市場価格は33万円です。もし40万円も支払っている会社が実在するなら、その会社は無知に付け込まれてぼったくられています。ちなみに一般的な派遣社員(規制緩和によって増加した専門性の低い派遣社員)の給与水準は、だいたい派遣先企業の新入社員と同じくらいです。そこで手取り20万円の正社員を雇った場合の人件費はどれほどのものでしょうか? 人件費は給与だけではありません。従業員の社会保障費の事業主負担分もあれば、交通費や諸々の福利厚生費だってあるわけです。結局、手取り20万円の正社員を雇うには30万程度の人件費は必要になります。それに加えて正社員なら採用活動のためのコストも掛かる、真っ当な企業ならボーナスも出すでしょう、そして社員を会社に引き留めておきたいのなら、僅かなりとも昇給させてやる必要がある、マトモな企業ほど正社員は高く付くのです。

 一方で、いわゆるブラック企業、社会保障費を払わないような脱法企業すらありますし、そうでなくとも福利厚生は最低限、退職金も賞与も昇進も実質0みたいなところも少なくありません。確かに、この手の企業にとって派遣社員は割高なのでしょう。とりわけホワイトカラーの場合、ブラック企業ほど直接雇用が多かったりするものです。しかるに福利厚生の充実した優良企業ほど、そうした給与外のコストを投じないで済む派遣社員は安上がりになります。派遣社員の方が自前の正社員より切りやすい、という感覚もまた存在しますけれど、結局のところそれもまた人件費削減という目的に集約されるわけです。どう言い繕ったところで「働く人の取り分を減らす」ことが主眼になっていることには変わりがありません。

 尚この辺は個人的な体験に基づく話ですが、派遣社員が雇い止め(=クビ)にされてそのまま、というケースは全くと言って良いほど見たことがなかったりします。決まって、前よりも若い人が新たな派遣社員として補充されますね。目の当たりにしてきたのは不況だから派遣社員を切る、というより「トウが立ってきたから」切るケースばかりです。ある意味、究極の「若者に雇用機会を与える」制度なのでしょう。中高年になる前に解雇して、若い人を新たに雇い入れる、そういう目的で使われている部分も少なからずあるはずです。しかし若者もいずれは年を取るもの、中高年になったら切られることが確実な仕事には就きたがりません。そんなわけで規制緩和によって若者向けの雇用が増えたにも関わらず、新卒者は中高年になっても働き続けられそうな仕事に殺到するため競争は激化するばかり、規制緩和は若者に全く希望を与えていないことがよくわかります。(参考、若者優遇はもう終わりにしよう


 一見、解雇規制がきびしい方が労働者にはやさしいしくみに思えますが、労働市場の流動性がなくなるので簡単には転職できませんし、一生懸命働いて会社のためにお金を稼いでも、中高年のノンワーキングリッチの人たちの給料に多くが消えていってしまうために若年層の給料が非常に安くなりがちだったりと、長い目で見れば労働者にとっても悪いことの方が多いでしょう。

(中略)

 きびしい解雇規制というのは、じつは新卒の学生に一番不利なしくみなのです。中高年の正社員をひとり解雇できれば、新卒を3人雇うことができても、正社員の権利は法律で固く守られているのでそのようなことは起こらないのです。

 さて日本で働いたことのある人であれば鼻で笑ってしまうような文章が続きます。言うまでもなく、若年層よりも中高年層の方が速いペースで給料が下がっており(世代間格差が縮小しています!)、逆に上昇したのは何かと言えば経常利益であり役員報酬であり、株主配当だったりするわけです。「中高年のノンワーキングリッチの人たちの給料に多くが消えていってしまう」なんてのは、まぁ決算書や統計という以前に数字すら読めない人の妄想でしかありません。そして解雇規制が緩いことになっているアメリカで今、何が起こっているかを考えてください。労働市場の流動化とやらで若年層や労働者階級が我が世の春を謳歌しているでしょうか?

 アメリカの場合は日本と違って差別的な理由での解雇が厳しく制限されており、日本で行われているような特定の年齢層を狙い撃ちにしたリストラのようなものはやりにくい、むしろ差別を受けにくい人(つまり就職面で有利な人、再就職しやすい人)の方が解雇対象として選ばれる傾向もあり、解雇規制の強さのために流動化に結びつく部分もあります。にも関わらず国内の経済格差は大きく、職にあぶれた人が大規模なデモを起こしているわけです。一方、日本で転職ブームが起こったのは、今のように規制が緩められてはいなかったバブル時代でもあります。結局のところ労働市場の流動化、というより転職のしやすさは偏に景気に左右されるものでしかなさそうです。不況期では人は切られるだけ、解雇規制が緩んだ分だけ社会に失業者が溢れて社会保障費が急増し、国内消費の低迷に拍車が掛かるだけのことにしかなりません。

 引用元には「中高年の正社員をひとり解雇できれば、新卒を3人雇うことが」と書いてあります。ただし、中高年の正社員を1人解雇して代わりに新卒を3人雇う企業というのは、流石に現実的な想定ではないでしょう。まぁ、作文の著者である藤沢数希の頭の中では人件費は固定費なのかも知れません。人件費は一定で、どこか(中高年の取り分)を減らせば、その分が代わりの誰か(新卒雇用)に使われると、そう想定しているようです。ただ現実の企業は人件費を筆頭としてコスト削減に血道を上げているもので、必要もなく人を雇ったりはしません。もし解雇された中高年が本当に働いていない「ノンワーキングリッチ」であったなら、新たに人を採用する必要もまたないわけです。誰かを解雇した分、人件費をカットするだけの話です。人を減らしても人件費を一定に保とうなんて考える馬鹿な社長はいませんから。まぁ、解雇対象の中高年が若手3人分の能力を持った実力者なら、新たに3人を雇う必要も出てきますけれど!

 ともすると日本の解雇規制は厳しいというファンタジーがあり、一方で新卒者の就職難がある(既卒者はもっと大変なのですが)、この両者を恣意的に結びつけた結果として、若年層に味方する風を装った解雇規制緩和論もまた出てくるわけです。端的に言って「風が吹けば桶屋が儲かる」的な代物でしかないありませんが、まぁ若年層にとっては自身の置かれた苦境を中高年という他人のせいにできる、企業側の応援団みたいな人たちからすれば雇用主の責任を被雇用者の側に転嫁できるということで、ある種の人々にとっては使い勝手の良い世界観なのでしょう。

 ところが、労働や雇用関係の法律を守る姿勢すら見せない、いわゆるブラック企業が幅を利かせ一方的な解雇が横行し、中高年になる頃にはもれなく首を切られる非正規雇用の割合が増大した、解雇規制が急速に弛みだした21世紀は若年層にとって希望の時代だったのでしょうか? むしろ反対に、失望が深まるばかりの時代だったはずです。

 例えば社員の平均年齢の低さをアピールする、若さが自慢の会社も少なくありません。若い人に雇用機会を積極的に与えている、素晴らしい会社なのでしょうか? ところが、そういう企業は往々にしてブラック臭がするなどと言われて新卒者から敬遠されています。なぜ? 結局のところ真面目に仕事を探している人ほど、自分が中高年になっても働ける職場を求めるものです。中高年になっても出世しない(=会社からは無能と見られている)と、整理解雇の対象にされることが必至の職場なんて、よほどの自惚れ屋以外は見向きもしないわけです。当たり前のことですが平凡な新卒者は中高年になったからと首を切られそうな会社は避けるもの、結果として少ない椅子を争うことになります。

 近年の不況で一時的な下落はあったものの、規制緩和で若者向けの雇用は増えました。中高年がリストラされ、トウの立った非正規が追い出された分だけ、若者には仕事が回ってきます。ともすると解雇規制の緩みは若者に利益を与えているように見えるでしょうか。しかるに問題は、若者もいずれは年を取ると言うことにあります。今の若者も非正規なら10年後、正規雇用でも20年後には「若者に雇用機会を与えるため」との錦の御旗の元、会社からお荷物とみなされ、追い出される日がやってくるわけです。こういう未来を若者は望むでしょうか? 少なくとも新卒者がどういう企業を志望しているかを見れば、中年にさしかかった社員を次々と追い出し、どんどん若い人ばかりを雇い直している企業を避けていることは火を見るより明らかです。規制緩和で増えたはずの若者向けの仕事は、若い人に歓迎されていません。若い人に優しい社会は、いずれ年を取る人には優しくない社会でもあります。

 

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18 コメント

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Unknown (amanojaku20)
2011-10-21 00:28:43
釣り師と名高い藤沢数希の記事は相変わらず突っ込みどころ満載で、読んでて頭がクラクラしますね。

賃金を決めるのは経営者であって、経済学の常識とやらが決めるのではありません。

日本の雇用規制が厳しくて採用を抑などと言ってますが、ブラック企業と言われる企業は大量に人を雇いますよね。

雇用流動化論者は雇用規制が強いから、新規産業に人が移らないのだと言いますが、
40代50代くらいの全く畑違いの業界で働いてた人が華麗に新規産業に転身って現実味の無い話ではありませんか?

最近の新規産業と言えばIT業界になるんでしょうが、大抵どこも平均年齢が低いですしね。
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Unknown ()
2011-10-21 00:59:13
この記事の後半で引用されているダイヤモンドの記事ですが、ひどい矛盾を起こしてますね。本当に労働市場に流動性が起きるためには、辞めた人・辞めさせられた人が比較的容易に就職できないと意味がないわけです。ですが、この引用記事には解雇されるべきとする人の再就職について何も触れられていません。解雇されてそこで終わっています。

労働者の視点から見たときの労働市場の流動性というのは、自己都合で転職するという判断を下すのも比較的容易で、なおかつ仮に解雇された場合でも再就職先が見つかりやすいというもののはずです。ですが、この「ダイヤモンド的労働市場の流動性」では、自分が解雇された分の席は新卒が取って、自分の再就職先はないままです。これではうかうか退職できませんから、労働者の視点から見た流動性はむしろ悪化します。企業はクビを切りやすくはなるでしょうが。
結局、この記事の言ってることは「企業は労働力は安いほうがいいから解雇規制を緩和しろ」でしかないですね。若者に媚を売るように「新卒」と書いてますが、結局は「安い労働力」を「新卒」に言い換えてるだけと言えそうです。
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Unknown (のびたろう)
2011-10-21 20:49:08
>日本の解雇規制は厳しいというファンタジー

ファンタジーではありません。厳然たる事実ですよ。

OECDが調査したデータに興味深いものがある。各国の“正社員”の「解雇の難しさ」だ。数字が大きいほど難しくなる指数だが、デンマーク1・20、イギリス1・40、アメリカ1・67に対して、日本は3・80と倍以上になっている。またOECDは、「日本はOECD諸国の中で実質的に最も解雇規制が厳しい国のひとつ」「正規雇用への保護が手厚すぎる」と指摘している。
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20100819-00003300-r25
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Unknown (非国民通信管理人)
2011-10-21 23:32:45
>amanojaku20さん

 そもそも人が移らないという以前に、既存の産業構造を維持すべく新興国と張り合おうとしているのが、日本の政財界ですからね。むしろ経営権を握っている人の方が、新規産業に目を向けられないでいるように思います。それでも尚、経営側の責任を他所に転嫁しないではいられない人がいるということなのでしょう。

>毛さん

 結局、風が吹けば桶屋が儲かると力説しているだけで、そこに至るまでの必然性は完全に欠如した話なんですよね。中高年を解雇した分、新たに中高年を雇い入れるという必然性があるなら流動化とも言えますが、代わりに新卒を安い給料で雇おうというのですから、要するに若者を慮る風を装った人件費削減案でしかありません。

>のびたろうさん

 そのOECDのデータは、数多項目がある中で日本がOECD中のトップに来るものをピックアップしただけですよね? しかもその項目では「中国の正社員が最も保護されている」ことになっているはずですが、本当にその項目「だけ」で雇用規制を計るのが適切だと思いますか? 総合的な項目では日本の正社員保護は中位ですし、政府の経済財政報告でも常用雇用については中位となっています。ただし、法律論上の名目的な規制なら中位でも、日本の監督機関がいかに労働関係の不正を黙認しているかを鑑みれば、実態は自ずから明らかです。
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Unknown (amanojaku20)
2011-10-21 23:52:23
日本は雇用規制が強すぎる」なんて説は鵜呑みにしない方がいいでしょうね。労働組合の無い企業が日本ではかなりある訳ですが(作ろうとしたら退職を強要されたり、左遷されたりなんてザラです)、その現状で雇用規制が強いと言われてもね・・
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Unknown (amanojaku20)
2011-10-22 00:24:38
のびたろうさんは日本は解雇規制が強くて解雇がし辛いと仰られていますがそれは正しくないし、デンマークにしても制度的に容易に解雇できる訳ではありませんよ。管理人さんも仰られていますが実際の制度がどんなものか知らずして、1つの項目の数字だけで日本は解雇し辛い、欧米は解雇しやすいと判断するのはいかがなものかと。
濱口先生のエントリーを読む事をお勧めします。

解雇自由と解雇規制と解雇禁止
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-739f.html

hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

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我々はカイロなのか (ヘタレ一代)
2011-10-22 10:05:54
ここまで来ると大企業には国内雇用させるよりむしろ外へ出ていってもらって(最もこんな無茶ぶりが日本以外で通じるとは思えませんが)税金だけしっかり取った方がいい気がしますよね。若者を育てる事をせず使い捨てる一方で、せっかく様々な経験を積んでいる中高年労働者に実力を発揮できる場も見合った報酬も与えず邪魔者扱いする。こんな企業がでかい顔されてもまともな雇用形態が維持されずかえって悪化するだけです。

国民にとってなんらメリットのない企業に減税や消費税の恩恵を与えるくらいなら、彼らからばっちり負担すべきものを負担させて、雇用をしてくれる企業(無論ブラックは除きますが)を育てて、製造業以外の新分野開拓を後押しした方がいい気がします。
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解雇規制緩和論者の狙いは、中間層の破壊と上位1%による富の独占 (中間層)
2011-10-22 17:31:20
日本は世界にも稀な、トヨタ、パナソニックを始めとする中間層に属する従業員が担い手のビジネスが経済界の主役を占める国。
このような中間層が上位1%層とは別個に存在し自立している状況は、日本経済の中心に君臨し日本の富を独り占めしたい上位1%層とその代弁者には都合が悪い。よって上位1%層とその代弁者は、日本の中間層破壊に必死になる。
中間層は1対1では上位1%層に勝てないからこそ、大人数で長期間に亘り固く結束し、少数の上位1%では担い切れない大規模で複雑なサプライチェーンを要するビジネスを可能とする事によって生計を立てる。
上位1%層とその代弁者が解雇規制緩和を必死に唱えるのは、雇用流動化で中間層が結束する場を奪い、日本から中間層及びそのビジネスを消滅させ、日本をアメリカのように上位1%層のためだけのビジネスが主流の国に作り変えたいからこそ。
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Unknown (非国民通信管理人)
2011-10-22 23:56:34
>amanojaku20さん

 その筋の人は日本だけではなく外国の解雇規制に関しても曲解しているフシがありますね。濱口氏が指摘するように解雇規制が緩いということになっている国でも決して自由ではありませんし、ましてや法制度上の保護はあっても日本では組合が弱い、訴訟へのハードルが高い、監督官庁の黙認傾向が強い等々、社会的に保護されていない部分が強いですし。

>ヘタレ一代さん

 製造業は「モノ」を新たに購入しようとしている新興国でやるべきであって、モノが行き渡った新興国では廃れていくのが宿命であるように思えるのですが、それを存続させるべく働く人の給料を削ろうと血道を上げるのでは、まぁ本末転倒ですよね。国内の労働者を締め付けて利益を確保するような企業を日本に残すより、もっと他の道を探るべきではと常々思います。

>中間層さん

 元々、中間層の厚さが日本の強みと言いますか、社会の安定の元だったんですよね。その中間層を破壊し続けているのが近年の改革であり、その結果として経済全体の衰退をも招いているはずですが――それに無反省な人が多いのは何とも言えません。
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Unknown (amanojaku20)
2011-10-23 01:15:50
第三次産業が発展すると言う事は生活の質の向上の欲求が増していると言う事なんですが、日本の場合サービスがどんなに良くなってもそのサービスを提供する労働者にきちんと対価を払う事をしないし、払おうとすると怒る人が居ますし、給料以外でも労働者を保護する制度が機能してないので、ちっとも豊かになった気がしないのでしょうね。

生活の質の向上には当然コストも増える訳ですが、企業も個人もそれを負担するのを屁理屈こねて嫌がってきました。それに対して政治が迎合する限り日本が豊かになる事は100年経ってもあり得ないでしょう。
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