低額カット店に洗髪義務付け、「意味あるの」反論も…群馬(読売新聞)
低料金で髪のカットのみをする理・美容店に対し、群馬県は、洗髪設備の設置を義務づけることを決めた。
新規出店の店が対象で、関連条例の今年度中の改正を目指し、施行は来年秋ごろになりそうだ。県衛生食品課は義務化の理由を「公衆衛生の向上を重視し、総合的に判断した」と説明している。義務化の是非を議論していた県の検討委員会は5月、「緊急を要して義務化する必要はないとの意見が大半」と提言していた。
この議論は、個人営業の店が主体の県理容生活衛生同業組合と県美容業生活衛生同業組合が、カット専門の理・美容店に対して洗髪設備の設置義務化を求める請願を県議会に提出し、昨年3月に採択されたのが発端だ。
1000円前後のカット専門の理髪店、多いですよね。最寄りの駅前にコンビニは1軒しかないのに、この手の低額カット店は5軒もあります。その中の1店を私も利用しているわけですが、別に安値に惹かれたからじゃありません。家の近所の床屋が廃業してしまったからです。取り立てて近所の床屋と親しかったわけでもないので廃業の理由は不明ですが、まだ50歳ぐらいでした。仕事に嫌気がさしたのでしょうか、どこか患ってしまったのでしょうか、あるいは店を続けても客が入らなくなってしまったからでしょうか。確かに、いつも空いている床屋でした。そして最後に散髪に行ったとき、急増している低額カット店に関する愚痴を延々と聞かされたものです。店主の苛立ちが言葉の節々に現れていたせいか、客としてはかなり不愉快だったのですが、まさかその翌月に廃業してしまうとは……
さて、そんな急増する低額カット店にも洗髪設備の設置を義務づける条例ができるとか。「意味あるの」という反論もあるそうですが、取りあえず建前とは違った意味があるような気がします。ダム建設も地方に金をばらまくという面では意味があるのと同様、この洗髪設備設置の義務化も低額カット店の進出を抑え、既存の理髪店を低価格攻勢から守るという意味では決してムダではないのでしょう。本音の方を表に出さない、出せないから話が錯綜して見えるだけで。
そこで先日のエントリで取り上げたことなのですが、値引き販売を禁止するコンビニ本部を相手に、値引きに踏み切ったコンビニ経営者が訴訟を起こしているわけです。こちらの判決がどうなるかはまだわかりませんが、低価格理髪店を巡る論議と似たような構造を持っているのではないでしょうか。ひとたび価格競争に火がつけば後は地獄への一本道、経営体力のないところからどんどん潰れていきますから、値引きの自由を認めるかどうかは慎重に判断されなければなりません。販売価格、サービス価格を引き下げれば、短期的には自店舗の売り上げ増に繋がるかも知れませんが、業界全体で見ればお互いの利益を削り合うばかりです。共存共栄を目指すなら、低価格攻勢から既存店を守る、価格をキープできるような環境作りが必要です。その手段の1つがコンビニ本部からの規制であり、自治体による規制だと思いますが、しかるに一方的な規制には異議がつきものだったりするわけです。
理髪店の場合、世論がどちら側につくのかちょっと予測しかねるところもありますが、コンビニ業界の場合はある意味「予想通り」でした。コンビニ業界の場合、「本部=暴利を貪る悪」「店舗経営者=搾取される被害者」みたいな図式があって、その辺で思考停止している人が結構いるようです。まぁ両者の力関係に著しく問題があるのは間違いのないところで、それはそれとして改善が図られるべきなのですが、だからといって一部経営者側の主張が常に正しいというものではありません。しかるに、それでも自動的に店舗経営者側に靡いてしまう人が多いみたいです。
個人事業主ならば値引き販売によって「一時的に」売り上げを増やすことができるでしょうけれど、販売価格が下落すればいずれ業界全体の首を絞めることになる、この辺を無視してはいけないと思います。しかるに勧善懲悪の世界観がやっぱり強いのか、その辺の値引き販売の是非をまったく無視して、「本部=暴利を貪る悪」「店舗経営者=搾取される被害者」の図式そのまんま、店舗経営者側に声援を送るようなコメントも目立ちました。「コンビニ」という言葉を聞いての脊髄反射でしょうか、本部と店舗経営者の力関係の問題を得意気に語り出す人もいました。
今でも八ッ場ダム建設推進派の自宅や事務所には誹謗中傷の電話やメールが殺到しているそうです。この辺もたぶん、勧善懲悪の世界に生きている人々の仕業なのでしょう。「建設反対派=善」、「建設推進派=悪」みたいな位置づけで物事を論じようとするからこうなるような気がします。片方が正義で片方が悪だから、その片方のいうことは全て間違っている、顧慮するに値しない、そういうノリを感じるんですよね、八ッ場ダムを巡る論議だけではなく、コンビニの値引き販売を巡る論議も。
コンビニの問題はちょと観点が違うと思います。
消費期限ごの廃棄処分と原価負担の本部の押しつけが問題視されている。
再度お調べください。
一説によれば、床屋が洗髪のサービスを始めたのはインドが始まりのようですが、毎日入浴する習慣のない国の人にとっては結構なサービスだったのでしょう。
そう考えると、洗髪などというものは必要なサービスではないのかもしれません。散髪なんて余計なサービス抜きでサッサと済ませるにこしたことはないですからね。
とはいえ、新たなサービス形態で新手が参入してくるわけですから、既存の理容店にとってはその生態系が乱される由々しき事態ということなのでしょう。これは、生活に関わる問題なので「善」とか「悪」とかいうものではないですね。
どこの店も、技術料は都内とあまり変わらない金額ですが、健全な経営のためと考えれば当然なのでしょう。消費者も何でも値引きを当たり前と思い込んだツケは、今も回ってきていると思います。
nobusukegouさんが念頭に置いているであろう事情は重々承知しておりますが、その問題を強調することで価格下落による悪影響を「なかったこと」にできるとは思えません。むしろ、ある問題によって別の問題を無視しようとする、そうした考え方こそが新たな問題を生むことでしょう。
>源内山人さん
普通の床屋だって、カットだけ頼めば済む話ではないでしょうか。床屋に散髪を進められたら断れないくらい気弱な人なら話は別ですけれど。いずれにせよ既存の理髪店にしてみれば低額チェーン店の進出は死活問題、私みたいに中小企業に冷淡な人ならいざ知らず、中小企業保護に熱心な人にはもう少し意識してもらいたいところです。
>2823さん
私の近所の床屋は3000円ほどでしたが、別にぼったくり価格ではないはずですからね。企業努力が足りないから1000円にできないとかではなく、それくらいの料金設定にしなければ床屋だって生活が成り立ちませんから。いつの間にやら貧困国の低賃金労働、あるいは日本国内の低賃金労働に依存した低価格での商品流通が当たり前になってしまいましたが、この流れをどこかで断ち切らなきゃいけないと思うわけです。
美容院とかも、いい場所で経営しているのは厳しいみたいですね。
でもまぁ、食っていけると言っても1日4人ではそれこそ日雇い派遣並みの収入ですから、これを続けるのは色々と大変な気もします。平均的な世帯所得と同程度に稼ごうとしたら、美容院と似たような価格設定が必要になってしまいますし、結構厳しい業界なのかな、と。
隣の街に行きつけの床屋さんがあります。
ここはとても腕がいいし、とても丁寧にやってくれるので4200円でやって貰っても納得してます。
問題は安いカットの店で雇われて働いている人達が納得しているのかと言う事です。労働環境が悪過ぎるので仕方なく勤めてる人が殆どでしょう。
管理人さんが仰ってる様に、安売りでお互いに首を絞めてる部分もあると思います。髪を切る事自体は子供でもできます。その専門家としての技術を尊重して支払われるべき当然の報酬で、その額は妥当な線を保証すべきと考えます。
それと私の行っている床屋さんの言うには、1000円カットのお店は非組合員の様です。組合はむやみな安売り競争を避ける為、最低価格を決めていますが、それに従いたくないと考える新しい勢力の様ですね。なにやら、この業界でも自公の終盤に規制緩和の法案があった様です。これについては詳しく知らないのですが、更にこの業界で働く人達を競争に晒そうとした動きがある様です。
そして、1000円と聞いた時、私の行きつけの美容院は3000円程でしたので、贅沢しすぎかと思ったのですが、前者のほうが安すぎるだけのようですね。安心しました。しかし、両者が混在する現状では、後者に通った場合「贅沢してる」と生活保護等の際に非難の対象になってしまったりするのでしょうか。今はそうでなくとも、いずれはなっていくのではないか。そして、1000円が「平均」になるのではと危惧しております。杞憂かもしれませんが…。今回の改革が歯止めになることを祈っております。
格安の商品やサービスというものは、低賃金労働によって支えられているのが大半ですからね。1000円の床屋にしたところで同様のはず、既存の理髪店と1000円カットの店の従業員の双方が貧しくなる結果に繋がる気がします。それでも競争による価格低下が、無批判に歓迎されていたりするのは何とも頭の痛いところです。
>GXさん
一度1000円が標準になってしまうと、正当な価格であったはずの散髪代3000円すらも贅沢になってしまうのでしょう。放っておくとどんどん異常な安値の方が当たり前になって、かつて妥当な金額であったものを支払うことが、いつのまにか贅沢あるいはムダと呼ばれるようになるんですよね。
いろいろと話しを聞いてみました。
自公の終盤に提出しそうになった法案とは、理容、美容の混同です。
ご存知の様に、美容室ではかみそりを使う事を禁じています。
それを両方やっても良くしちゃおうと言う法案だった様です。
幸い自公の終焉と共に通らなかった様です。
しろうとの私にも分かり易い説明は、例えば椅子だそうです。
美容室の椅子は、華奢で不安定なのでかみそりは使えないんだそうです。
理容、美容の住み分けが過当競争を避けて、技術の低下を防いでいたと言う事の様です。