陸自式典様変わり、民主4人自民ゼロ 愛知・守山駐屯地(朝日新聞)
東海・北陸6県を管轄する陸上自衛隊第10師団の創立記念行事が11日、名古屋市の守山駐屯地であり、政権与党になった民主党の新人衆院議員4人が観閲式に参列し、あいさつに立った。野党側は公明党の参院議員1人だけで、自民党は参列しなかった。
銃を手に迷彩服姿で整列した900人の隊員を前に、新人の民主議員は緊張した様子。野党時代にインド洋での給油活動などに異議を唱えた民主だが、あいさつは協調路線となった。
最初に登壇した橋本勉氏(比例東海)は「災害時はよろしくお願いします」。佐藤夕子氏(愛知1区)は「議員と自衛隊の皆さんとが手に手を取って」。壇上で敬礼した山尾志桜里氏(同7区)は「規律正しい、誇り高い姿を拝見させていただき、本当に心強い」。吉田統彦氏(比例東海)は「国家の根幹は安全保障」と訴えた。
自民党からの出席者は0なんだそうです。変われば変わるものなんでしょうか、党の性格が急に変わったわけでもないでしょうから、与党であるか野党であるか立場の違いが影響しているのかも知れません。軍隊とはすなわち政府を守るもの、今までは与党として自分たちの周辺組織だと思っていた自衛隊を、今度は野党として外から眺めることになったわけで、その辺に戸惑っているのでしょうか。とはいえ方々に愛想を振りまいて名前を売るのは政治家の仕事みたいなもの、新興宗教の集会から地域の学校行事まで顔を出すのが保守系議員のイメージでしたが、自民党はやる気がなさそうですね。
さて誰も出席しなかった自民党に対し、民主党からは新人4人が参列したそうです。まず橋本勉氏は「災害時はよろしくお願いします」とのこと、この辺はハト派からすれば無難な落としどころなのでしょう。軍事力を行使する場面ではなく、災害時のレスキュー活動の方に光を当てることで、ハト派と自衛官の双方の顔を立てた印象です。取りあえず橋本勉氏は合格、と。
次に佐藤夕子氏は「議員と自衛隊の皆さんとが手に手を取って」。ふむ、まぁ具体的なことは避けたリップサービスのようでもありますが、自衛隊もまた公務員、では自衛隊以外の公務員に対して民主党はどのような態度をとっているでしょうか? 「議員と官僚の皆さんとが手に手を取って」みたいなことは決して言わないのが民主党、むしろ正反対なのが民主党です。その辺を鑑みると、公務員全般には厳しいくせに自衛隊だけは依怙贔屓しているようにも見えます。後述しますが、この辺は世論も同様でしょうか。
3番目は山尾志桜里氏で「規律正しい、誇り高い姿を拝見させていただき、本当に心強い」。この辺も適当なリップサービスなのでしょうけれど、上述の佐藤夕子氏の場合と同様、自衛隊にばっかり優しいのではないかという気がしないでもありません。そして最後が吉田統彦氏、曰く「国家の根幹は安全保障」だとか…… う~ん、この人はたぶん、式典が行われた名古屋の市長と同系統なのでしょうね。住民に対する公共サービスよりも、まずは軍隊ありき、この手の議員にも、というよりこの手の議員だからこそ根強い支持層がいそうです。
最後の吉田議員は論外として、佐藤議員と山尾議員もまた自衛隊には随分とお優しいようです。そりゃ、こういう式典の場で面と向かって相手を罵倒するようなことは言わないのが常識と思われるかも知れませんが、自衛隊以外の公務員の場合はどうでしょうか? 例えば大阪府庁の場合を考えてください。公の場で職員を誹謗中傷する、それが称賛を集めているわけです。ならば同じことを自衛隊に対して行おうとする政治家はいないのでしょうか? たぶん、自衛隊以外の公務員を公然と罵れば拍手喝采でも、自衛隊に対して同じことを行えば、逆に非難囂々でしょう。自衛隊とは例外的な、国民から愛されている公務員、ムダだとは思われていない公務員なのです。
自衛隊の活動にも自衛隊以外の公務員の活動にも相応の批判があるわけですが、その「担い手」にまで非難が及ぶかどうか、そこに違いがあります。自衛隊の活動は批判されても自衛隊員まで言われなき誹謗中傷に晒されることはありませんが、一方で自衛隊以外の公務員となるやどうでしょうか? 組織そのものへの批判以上に、公務員という「個」への悪罵が繰り返されているわけです。公務員の給与を引き下げろ、奴らは国民/市民の奴隷だと世間は喧しいですが、自衛隊員の給与を引き下げろ、奴らに権利などない云々と宣う人など皆無でしょう? それだけ、世間は自衛隊員に優しいのです。
自衛隊の活動、例えば米軍の後方支援など、ろくな成果が上がっていないわけです。もちろん膨大な予算が浪費されてもいます。これが自衛隊以外の公務員だったらどうなるでしょうか? 最も象徴的なのは先日も取り上げた橋下の場合です。計上した損失分について、現場の職員へ咎め立てするメールが飛んできたわけですが、同じことを自衛隊にする人はいませんよね。現地の自衛隊員に向けて、責任をなすりつけるようなメールを送りつけるバカはいないわけです、当たり前のことですけれど。まぁ、政治家にも国民にも、自衛隊に接するのと同じような態度で公務員に接して欲しいと思います。
自衛隊員の給与を引き下げろ、奴らに権利などない云々と宣う人など皆無でしょう? それだけ、世間は自衛隊員に優しいのです。
う~ん、よくわかりませんが、一般行政職の公務員のように、他人の権利や利益など“生臭い”事柄を云々しないからかもしれません。
世間のイメージとしてはスポーツ選手みたいなものなのでしょう。日頃はユニフォーム着て練習(訓練)しているだけ…。
もっとも、自衛隊員の場合、試合(戦争)ともなれば、“血生臭い”ことになるのですが・・・。
問題は、その自衛隊の体質が外部にあまりしられていないことにある様な気がするんですが(自浄作用が無いもの問題ですが、自浄作用が無い組織は他にもあるでしょうから、対外イメージのよさゆえに外圧もかからないことが自衛隊特有の現象である様な気がします)、その原因はやはり、マンガや小説やゲーム等の娯楽もふくむメディアにおけるイメージにあるのではないでしょうか?いや、もちろん自衛隊自身によるメディア戦略にも一員はあると思いますが、起源としては自衛隊と別個の、娯楽用のフィクション作品があたえている影響も、それなりに分析にあたいする題材の様な気がします。
(といいつつ、貝枝自身はそれらを十分に分析できていません)
石原、志方、田茂神を始め勝谷誠彦に至るまで軍隊が大好きな諸人に言わせると軍事的政策判断に軍人的経歴の無い背広組が関与する事でさえ不満である一方で、現行法下において災害派遣でも国際貢献でも主体が軍事的組織である限り絶対的肯定で臨み、是非や内容を冷静に判断する事を放棄しています。
例えばアメリカがなんだか凄い性能のF22を開発すれば子供の様にそれを欲しがり、都知事が言っていたから阪神大震災で自衛隊が早く出動すれば2000人助かったに違いないと言う風に、何だかわからないけど多分そうだろう的に受入れられています。
本来、国際貢献の中身が実はアメリカ軍兵士の輸送であった事実など都合の悪い事実には蓋をするといった組織防衛の実例もあるわけで、機密や国際関係を盾にして全てを覆い隠す事が可能な軍事組織の運用と政策判断については相当慎重であるべきなんですが、そういう慎重さは微塵も感じられません。
また彼らの思考経路では憲法9条に始まり現行諸法令、公務員としての身分関係など軍事組織の行動と判断を制約する制度を忌み嫌っています。しかし武力組織の活動や行動をどうセーブすべきなのか理念を含めて一切表明しません。むしろそういう判断を行おうとする人々は左翼とか反日で一絡げですから単純と言うより粗雑な思考回路であるとしか考えられ無いでしょう。
自衛隊自身も組織アイデンティティとしての軍隊的性質を所望し事実行為を重ねては実情追認の形で制度変換を求めています。(その為、かつては存在意義を認めさせる為に災害派遣を声高に訴えていましたが最近は本来任務がかなった為かあまり主張しなくなっています。また砂漠地帯で意味の無い緑地迷彩服を使用していたのも陸軍としてのアピールの一種でしょう)
軍隊大好き君の本質的なところは案外勇ましくてかっこいい物への憧れ(逆に言えば体外的なものに対する恐怖心)なのかもしれませんが、彼らが理想とする軍事組織の姿は、ゴーストップ事件、帷幄上奏にみられる政策上の特別な存在であり、軍隊以外を地方と称していた様に国民の人命も含む全てのリソースを軍隊に隷属させた世界なんでしょう。わかりやすく言えば軍刀の柄に手をかけて政策執行したかつての姿であるように思えます。
あるいは、国民の大半も「国家の根幹は安全保障」ぐらいに思っているのかも知れません。国民のために国家があるのではなく、国家あっての国民と考えているのなら、公共サービスはムダ/国防は最優先事項みたいなことになりそうですから。
>貝枝五郎さん
まぁフィクションにおける「公務員」と公務員の一種であるはずの自衛隊の描き方を見れば、その差は一目瞭然でしょうね。
>さらさん
政治主導/脱官僚と喧しく、そうした方向性に関しては自民党支持層も民主党支持層も一致しているご時世ですが、「官」の中でもやっぱり自衛隊は例外扱いする人が多いのでしょうね。自衛隊だけは政治主導ではなく自衛隊独自の判断で、と考えている人がいるようですから。この辺を突き詰めていくと田茂神等になるのでしょうけれど、まぁ根本的に軍隊が好きなのか、力で押さえつけるイメージが好きなのか……
何なんでしょう、末端の隊員を敵に回して犬養毅のようになりたくないということなんでしょうか。考えすぎ?
あとダブスタってば”無駄遣い”90式戦車とか・・・このへんは赤旗が散々言ってきてますが。
そう、「政治主導」で行くなら当然「文民統制」になるはずなのですが、何事も軍隊は特別扱いなんですよね。公務員でも自衛隊だけはムダではない、いくら出費がかさんでも「国際貢献」なら費用は度外視、まぁ公務員叩きには拍手喝采でも自衛隊員叩きには興味を示さない世論を背泳しているのかも知れません。
>自衛隊の活動、例えば米軍の後方支援など、ろくな成果が上がっていないわけです。もちろん膨大な予算が浪費されてもいます。
いや、ほんと。ふだんから公務員の無駄遣いを批判される方々は、ここぞとばかりにこの米軍の後方支援を批判してほしいですよね。実現性は期待していませんが、でもはかない期待をします(笑)。
余談ですが、ほんと石原のオリンピック東京招致の無駄遣いについても、批判が少ないですよねえ。なぜ(笑)?
なんと言いますか、国民に向けてのサービス的なものより、国外で一悶着起こすような行動の方が世論の理解があるんですよね。ぼろくそに言われるのが通例の天下りでも、鯨研は例外だったりしますし。国民のためではなく国家の威信のためにこそ予算を使って欲しいと、そう思っている人ばかりでもないはずですが……
反対に公務員は「ろくに働きもしない癖に、高給取り」という、日本の道徳上はよろしくない存在だからではないでしょうか。まあ、こちらも作られたイメージの可能性がありますし、実際にそうだとしても、これを基準にしていくべきだと思うのですがね。
なんだか、こうしてみると、見事に対になっていますね。しかし、現実では自分たちが楽になるよりも、苦しくなる方が喜ばれるようで…。毎度のことながら奇妙です。
現実には不祥事連発の疑惑の組織なんですけれど、企業の新人研修先として大人気だったりするわけですから、まぁ軍隊の中に「理想」を見出す人は多いのでしょうね。しかるに自衛隊以外の公務員は、軍隊とは対極のイメージを投影されていて完全に否定の対象だったりする、日本人はサムライですから軍隊が好きなのでしょうけれど……