何かとムダ削減が好まれる昨今ですが、じゃぁムダ扱いされないものって何なのでしょうね。必要なものであっても、周囲の理解が得られなければムダ扱いされますし、政府筋に目を付けられて事業仕分けの対象にでもされれば、それこそよほど弁の立つ人間を用意できなければ即座にムダ認定されるわけです。どうも現政権や前政権、そして国民から「ムダ」と見なされているものの大半は、一概にムダとは言えない、単に政府与党や国民が必要性を理解できていないだけのものであるような気がしてならないのですが……
日本人は水と安全はタダだと思っている、みたいな言説も多々ありますけれど、この辺は甚だ疑わしいところです。たとえばホラ、税金を上げると言えば「その前にやることがある」と反発を買い、税金を下げれば微々たる影響しかないであろう低所得層からも絶大な支持が集まる一方、水道料金が政策上の争点になるようなことはほぼ皆無なのではないでしょうか。水道料金はどこの世帯でも払わされるにもかかわらず、目立った不満の声が上がることもなく、これを大きく取り上げる政治家も滅多にいないはずです(水不足の地域では事情が違ったりもするのでしょうか?)。してみると、水に対して対価を支払うことには国民は納得している、水はタダではないとの感覚が浸透していると見た方が良さそうです。
安全もまた同様です。凶悪犯罪が減少し、かつ公務員削減が強行される中でも治安関係は逆に増員されてきましたが、これだけ公務員叩きが盛んで、政府与党を含む少なからぬ政党がいかに公務員を減らすかを競い合っているにも関わらず、治安関係の公務員増が世間の批判を浴びることは、これまた皆無に近いわけです。つまり行政職の公務員に対価を支払う(税金が使われる)ことを国民は嫌悪するけれど、治安関係の公務員に対価を支払うことには国民は納得している、安全はタダではないという意識を強く持っていることが窺われます(私にはどうも、現在は安全のために過剰な対価を支払っている、もう少し支払いを減らしても日本なら十分な安全が保たれるように思えてなりませんが)。
一方で民主主義はタダだと思っている、という辺りが日本人に当てはまりそうです。民主主義には議員や政党に支払われる金(国や自治体の財政規模からすれば微々たる額にすらならないにせよ)、議会運営に費やされる時間というコストが掛かるわけですけれど、この辺は特にムダだと思われがちなのではないでしょうか。人気のある政党は挙って議員定数の削減を掲げ、議会を無視して独断で物事を推し進める首長が各地で絶大な支持を集めるのは、この民主主義のコストを支払うことに国民は納得していないから、行政はタダであるべきと思っているからとも言えます。自らの給与をカットしつつ、何事も議会に諮らずに一人で決定してしまう、そんな金と時間の掛からない行政を、ムダのない姿として理想としているのが多数派の民意なのかも知れません。
確かにカンパしたくなる政党が不在というのも問題なんですが。小生は年間4万円を超えないところを目途に、いくつかの政党にカンパしています。政策や主張は必ずしも一致しませんけど。
民主主義を言うなら、銭を出せ、と。100円でも構わない。
このお方、「裁判」の控訴理由書で「命令と服従は行政組織の基本」「本判決が覆らないとしたら、原告と市職労が市長の命令を無視し続け、今後ますますの抵抗勢力となる」と主張されたそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20100724-OYT8T00049.htm
そういえば、わたしうん年前に入札用設計積算書の審査なんて仕事してたんですが(当時最先任平…主任ともいう)、直系上司(ちなみに相当偉い人、人事権持ち、今本省かな?)と審査のやり方について議論したことがあります。
内容としては、
上:「同じ作業やらすのに、積算方法なんで3種類もあるんじゃい、1つの方法でまとめるように指導しろ」
私:「3つのうち2つはまとめれますが、最後の1つは私らじゃ無理、市町村が議会議決付きで関わってる話だから四則計算の適否までしか私は言えない」
上:「2つはまとめれるんだな?」
私:「1種類の方法を指定して課長名の文書出せば、もう1種類の方法は私のところで弾けます」
上:「それなんで3つ目にも使えないんだ?」
私:「さすがに議会の仕事を役所の人間かケチつけるわけにいかないじゃないですか…さすがに四則計算間違えているようならこっそり直す交渉とかできますけど、考え方までは無理です」
上:「それはそうか…なら3つ目に関しては「お前ら」みなくていいぞ」
私:「ではそういう風に文書出します」
上:「その文書、課長名だと弱いからおれの役職名で出してくれ(この上司の役職名で出すとかなり強烈な指導文書になってしまいます)、文案は任せるが出す前に見せろ」
(上記はかなり端折りの意訳、この件で2時間絞られました)
この時の私って「服従」してませんよね…というか、このときにその上司に言われたのが「上司は利用するもの、命令は実態と法律と基準に合ってなければ噛みついて良しというか噛みつけ」と…
まあ、その後その上司に回るような書類の場合ちょっと厳しめに見るようにはなりましたが…
(その後、その上司に呼ばれる積算者がほんの少し減ったのは良いことかな?)
>議会運営に費やされる時間というコストが掛かるわけですけれど、この辺は特にムダだと思われがちなのではないでしょうか。
ということは、無駄がない効率的な民主主義は「民主集中制」ということになりますね。しかも、旧ソ連型の議会も行政も裁判所も、すべて時の政権に集中するタイプで。
「民意は一つ」「民意=政権」なのだから、与野党間の調整や議論は不要。裁判所や官僚が時の政権と違った意見を言うこともない。
折衝や調整が不要になればなんと効率的なことか。
・・・いうまでもなく、民主主義の自殺ですね。それどころか、「民意は一つ」だから、
「民意」に反する民意はありえない、非国民あるいは精神病ということになってしまいます。
あるいは、低所得者(=納税額の少ない人)ほど減税を説く首長を支持していたりもしそうですね。
>こっぱなお役人さん
前々から公務員は"Constitution"に仕えるものであって、首長や与党の命令よりも優先すべきものがあると思っているのですが、阿久根の竹原や、彼を生んだ世論にとっては違うのでしょう。何でも「上」の命令通りに実行することが求められているようですが、そんなことをしたらなおさら行政が機能不全に陥ってしまいますよね。
>おおいけさん
民主党は社会主義的ではなく「社会主義政権的」と書いたことがありますが、国民の考えもそれに近いのかも知れませんね。全てが同じ方向を向いた民意という名の独裁を、少なからぬ国民が望んでいるような気がします。
例えばこちらの場合は西部の大久保コーチ(元コーチになりそうな感じですが)の強権的な行為や自主練習に罰金を課す行動などがむしろ批判的に見られている模様です。上司の命令であっても理不尽であれば「お言葉ですが~」と返すことも大事、あるいは「首長や与党の命令よりも優先すべきものがある」とは私も思うところでありますが、方向性が近いはずの大久保コーチへの批判的コメントが何か不自然で首を傾げたくなるように見えるのは何故だろうな、とも思うわけです。
立場の強さ、弱さもあるのかも知れませんね。大久保の場合は、組織内で偉ぶっているだけ、井の中の蛙に過ぎませんし、往々にしてファンは選手やスタッフに対して上から目線になりがちなので、大久保も「下」の人間が粋がっているように見られている気がします。これが本当に立場の強い、特定チームの選手だけではなくもっと幅広い層に命令できるような立場の人間であったなら、評価は逆になりそうですし。
つい最近警察庁が大要「食い逃げや万引きその他の軽微な犯罪もきっちり事件とするようにしたい」みたいなことを指示した記憶がありますが、これなんかもしそうならはたしてどんなもんか否というところですよね。日本の治安にそんなに問題があるのなら、食い逃げや万引きより違うことに集中したほうがいいに決まっているわけで。そんなことを指示しているようでは、けっきょく日本の治安は概ね良好であると警察(とそれを指導する検察庁)はたぶん考えているんだろうなと(勝手に)考えます。
警察なんて給与は行政職を含む他公務員よりも高めに設定されているはずですが、誰も問題視しません。
田舎で都市部と比べて比較的治安の良い地域での交番や派出所は本当に必要なんですかね。誰も突っ込みませんけれど。
行政職国家公務員削減も強く唱えられていながら、同じ国家公務員である自衛隊と海上保安庁の削減はあまり唱えられません。
公務員の人件費で我々が苦しめられてると主張するやふーwの方々も当然、自衛隊や警察はスルーですからね。
公務員として叩かれるのは行政職と教員がほとんどです。
如何に今の公務員叩きが安定した職への妬みでしかないことがわかります。
そういえば、これらの組織も倒産がなくリストラもない集団ですが、仕事をしないだのぬるま湯の世界だの言われませんね。不思議です。