「危機管理なってない」=電話通じず横浜市批判-新型インフル対応で・舛添厚労相(時事通信)
舛添要一厚生労働相は1日の閣議後記者会見で、新型インフルエンザ感染が疑われる患者が出た横浜市の対応を厳しく批判した。
厚労相によると、4月30日午後、患者の検体を遺伝子レベルの詳細診断で調べた横浜市から「解析不能」だったとの結果連絡を受けた。そこで、厚労省が問い合わせたところ、長時間電話が通じなかったという。
厚労相は新型インフルエンザ対策について「中央政府だけではダメで、地方自治体がしっかりしてもらわないと困る」と強調。その上で「横浜市長、神奈川県知事にこの情報が上がっていたのかどうか。もし上がっていなければ危機管理態勢はなっていないということだ」と厳しい調子で非難した。
つくづくこの人は、トップとしての自覚がないのだなぁ、と思います。意図してそう振る舞っている部分も多々あるかもしれませんけれど、根本的な性格がそうなのでしょう。氏が最高責任者として君臨する厚生労働行政においても不祥事や問題は少なからず発生するわけですが、その都度、彼は真っ先に己の管轄区である厚労相を非難してきました(参考)。今回もその例外ではなく、率先して自治体を非難しているようです。
なんだかんだ言って会社の社長は舛添よりはマシな部類に入るのか、もうちょっと己の責任に対して自覚的です。自分の会社が不祥事を起こしたからと言って、マスコミを集めては「うちの社員どもは本当にどうしようもない、役員だけではダメで、社員がしっかりしてもらわないと困る」などと喚き立てたりはしません。内心ではどう思っているか知りませんが、形だけでも頭を下げるものです。それもトップの役目ですから。
ところが、それすらやらないのが舛添です。トップとして責任を取る素振りなど微塵も見せることがありません。代りに、大臣として責任を負わねばならない所轄官庁等を非難することで、自身を安全地帯に非難させるわけです。「私の率いる組織」が失態を犯したのではない、「私」とは別の「官僚達」がヘマをやらかしたのだ……と。同じことを企業の社長がやったならば非難囂々でしょうけれど、舛添はこれで何度となく難局を乗り切っています。
普通に構えていれば当然、非難を「受ける」側に立たされるわけですが、機先を制して非難「する」側に回ることで、自分自身や所属政党、内閣を非難の対象から切り離す、逆に非難の対象となる嫌われ者たち(厚労省の官僚や、横浜市の職員など)の反対側に立ってみせることで、あたかも「国民の側」にいるかのごとく振る舞う、舛添の必勝パターンですね。世襲でないにもかかわらず党の要職にあるのは、そうした抜群の責任転嫁能力を評価されてのことなのでしょう。
……で、連絡が取れなかった件ですが、これは当然、厚労相サイドにも問題があります。中央政府こそ、しっかりしてもらわないと困ります。電話が繋がらなかっただけで右往左往しているようでは、それこそ大問題です。メールだってあるでしょうし、もとより連絡体制の必要性がわかっているなら、ホットラインなど用意せずとも携帯電話の番号くらい相互に伝えてあるべきでしょう。長時間電話が通じなかった云々ということですが、本当に急ぐならダラダラ電話をかけるだけではなく、他の連絡手段を使えるようでなければ話になりません。その程度のことも出来なかったとしたら、厚労相サイドの問題解決能力には深刻な疑問が投げかけられてしかるべきですね。最初から人のせいにすることしか頭になく、他のことは何も考えていなかったのでしょうか。有権者向けのパフォーマンスとしては、それで済むのかも知れませんけれど……
横浜市の中田宏市長は1日の記者会見で、舛添要一厚生労働相が新型インフルエンザ感染が疑われる患者が出た同市と長時間電話が通じなかったと批判したことについて、「国民に落ち着くよう呼び掛けているのだから、まず大臣自身が落ち着いた方がいい」と述べ、不快感を示した。
中田市長は30日夜に電話が通じなくなった理由について、「市と厚労省が打ち合わせをしている最中に(テレビで横浜市の男子高校生が感染の疑いとの)テロップが流れ、(市に)電話が殺到して連絡がつかなくなった」と説明した。
こちらは、まぁもっともな意見です(舛添と比べれば企業経営者すら責任感が溢れているように見えるわけで)。「まず大臣自身が落ち着いた方がいい」と。大臣が徒に危機を煽ることで、住民にも動揺が広がる、それによってインフルエンザとは無関係なところから被害も発生するわけですから(先日の記事を参照)。しかるに落ち着いて対応するよりも、国民に安全を訴えるよりも、脅威を訴えた方が内閣の支持率は上がります(例えば警察だって凶悪犯罪の減少を伝えるよりも、微罪を含めた検挙数の増加を訴えることを好むわけですし)。住民ではなく政府を守るためなら、舛添の言動は理に適っているのでしょう。
公務員に対する非難の常套句「民間じゃ考えられない」はその親方たちにも全く同様に当てはまるようで…
下っ端役人より、知事だ大臣だの方が本質的にはるかにひどいのですが、その連中へはきわめてゆるい批判しかしないという典型ですね。
さて、トラックバックされているElekt_ra さんのブログで知ったのですが、あの花岡という人間のクズはほんとにひどいことを書きますね。神経を疑います…って、当然といえば当然ですが。
そう、組織のトップが自分の組織の問題なのに被害者面して非難する側に回る、それこそ「民間じゃ考えられない」自体なんですよね。ところが、不思議と叩かれるどころか支持を集める有様で……
>Bill McCrearyさん
非難の声は必ず、トップの手前で止まりますね。どうしても聖域の壁を越えようとしない。ちなみに、櫻井よしこはソマリアの海賊を指して「首相に使命を果たさせるべく天が用意した危機だと思えてならない」と言ったそうですが、その筋の人は本当にどうしようもありませんね。
http://georg-agricola.seesaa.net/article/114396084.html
連休なんで、鳥取県K市に遊びに行ってきたら、ヌリカベとネズミ男のツーショットのポスターが方々に掲示されているんで、「さすが、水木しげるさんの出身地だなあ…」と思ってよく見たら、農林大臣と厚労大臣でした。
冗談はさておき、ヌリカベ氏はお父様が県知事だったよって、職員や市町村長に頭下げたり気を使ったりしてきてたのを目にしていたと考えられます。
一方、ネズミ男氏は、テレビ芸者兼東大教官から議員にまっしぐらですから。人目につかん所で、前夫人にはビシビシやってたみたいだし。
外ヅラだけで(介護経験をわざとらしく吹聴したりして)一部に人気があったようですが、化けの皮はがれるのは仕方ないんでは。
ま、横浜市長も、大差ないアレな方ですが。
でわ。
横浜市長も普段の言動はアレな用ですが、にもかかわらずまともに見えてしまうのは、それだけ比べる相手が……ということなんでしょう。世襲議員の害悪もさることながら、中には世襲議員以上に労せずして地位に就いた人もいて、それだけ驕りも強いのかもしれませんね。
ごもっともです。
ただこういうと、「そんなもの言い分けだ」と非難する輩が出てくるんですよね。うちの会社もその好例です。
別に処分を甘くしてもらおうと言うつもりでもないのに。
事情の説明すら許されず、一方的な非難を浴びせられることってよくありますよね。ダメな上司の典型例ですが、意外にこういうタイプが外からは評価されたりもするのでしょうか。舛添の例を見るに……
やっぱりというか、メディアへの露出が多い人間や、敵を作り上げて大声で非難する連中が人気なんですね。
ほとんど「首相にしてはいけない人ランキング」かと見紛うような順位ですけれど、そのテの人は有権者のウケも良いんですよね。これからの政治家は問題解決能力ではなく、責任転嫁能力、「敵」を作る能力を磨いた方が良さそうです。
> その筋の人は本当にどうしようもありませんね。
自分に被害が及ばない他人事を評しての「天の意思」「ついている」だという点が最低ですね。