お花畑な先軍主義者にしてみれば、根拠もなく思いこみだけで「誤訳だ!」と退けたくなるようなニュースのようですが……
ロシア軍はポンコツだらけ 領空侵犯飛行もハッタリか(ファクタ)
ロシアの爆撃機が、英領空やステルス機の発着地であるグアム島米軍基地付近を領空侵犯スレスレに飛行したとの報道は冷戦時代を髣髴とさせるが、こうした動きの背景には、軍事大国としてのイメージを何とか維持しようとするプーチン大統領の「ハッタリ」もあるようだ。
英対外諜報機関MI6は、ロシア軍に関する最新リポートの中で、同軍はプーチン大統領が自慢するほどの武力を持ち合わせていないと断定した。100万人強の兵を擁し、中国、米国などに続く世界第5位の規模だが、その実力はもはや冷戦時代のような脅威ではないという。その理由は、第一に刷新すべき旧式の武器が使用されていること。実際、大半の兵器製造年は40年前に遡り、一部の野砲に至っては第二次大戦末期にベルリンを包囲した旧ソ連赤軍が用いた122ミリ榴弾砲のままで、改良されていないのだ。
金属性のヘルメットも、ロシア軍兵士がベルリン包囲の際にかぶっていたもので、デザインはスターリングラードの攻防戦当時のままという。かつて人気の高かった旧ソ連製ドラグノフ(SVD)狙撃銃は44年前に製造されたもので、英国軍兵士が現在、携行している狙撃銃に及びもつかない。また、91年には1389基あった大陸間ミサイルも489基に減少。さらに空母も25年前に就役したもので、随分前から改装すべき状態にあったという。
プーチン時代には多少なりとも持ち直していると思いますが、ソ連時代から相当な無理をして軍拡競争に付き合っていたものが、ソ連崩壊後のエリツィン時代の大混乱で完全に破綻したのが実情でしょうか。元より張り子の虎に過ぎない部分はありましたが、今回イギリスの諜報機関であるMI6はきっぱりと断言しました。「凋落の一途」と。
私のような立場の人間からすれば、見たままを扱えばいいわけですが、別の立場の人はそうも行きません。いかにロシア軍がポンコツであろうとも、それを「ポンコツ」と認めることに躊躇する人、認めたくない人も多いのではないでしょうか。とりわけ反ロシアの立場に立つ人にとっては、です。
嫌いな国だからこそ、大きく評価しなければならない、そんなジレンマを持つ人もいるわけです。なぜなら仮想敵国が脅威でなければ、自分達を正当化できないからですね。仮想敵国が強大であるからこそ、それへの対抗策としての軍備拡張も正当化できるわけで、これがもし仮想敵国が取るに足らない惰弱な存在であったなら、それに対して軍備を増強する必然性は失われてしまいます。それを避けるためには、大嫌いな仮想敵国をより強大なものとして高く評価しなければならないのです。
アメリカが軍備増強を続けるためには、仮想敵国であるソ連が強大である必要がありました。ソ連が強大であるからこそ、それに対する備えの必要性も信用されたのです。20年前でもポンコツはポンコツに過ぎないわけですが、それでも軍事大国としてのイメージを保てたのはソ連側の情報統制もさることながら、反ソヴェト陣営の思惑もあったのではないでしょうか。そして今回、MI6がロシア軍は「凋落の一途」とあるがままの判断を下したことは、ある意味では両国の関係改善を意味しているのかも知れません。
さて、日本の場合です。仮想敵国は中国や北朝鮮でしょうか。北朝鮮と言えば2年ほど前に核実験を強行したわけですが、その威力は60年以上前にアメリカが試作して人体実験した代物の20分の1程度、遥か過去の技術水準であることを露呈させてしまいました。そして北朝鮮の核開発能力が取るに足らないレベルであることに安心したアメリカ政府は、その後しばらく北朝鮮に対する強硬姿勢を強めたわけです。一方、日本はどう受け止めたでしょうか? それでも尚、北朝鮮を現実以上に大きく、深刻な脅威として描き出すことを止めませんでした。
蔑視しているなら、その軍事力も矮小化してよさそうなものですが、その軍事的脅威が小さいと知れてしまうと、脅威を煽って軍拡を必然と印象づけることも難しくなります。嫌いな相手だけれど、軍事優先の正当性を印象づけるためには、北朝鮮なり中国なりを必要以上に大きく、優れたものと描き出さなければなりません。ですから結局、日本ほど北朝鮮や中国を高く評価している国はないし、その原動力になっているのは両国へのヘイトスピーチを繰り返す輩たちでもあるのです。両国が優れていればいるほど、それに対抗する必要性を迫れるわけですから。
その昔、大戦略というシミュレーションゲームがありました。世界各国の軍隊を選択して戦えるわけですが、中国軍の弱いことと言ったら目も当てられませんでした。相手が中国軍ならその時点で「我、勝てり」、プレイヤーに不利な条件のマップでも相手が中国軍ならばユニットの性能差で押し切れることもしばしばでした。その頃は、日中関係もそれほど悪くありませんでしたので。
ところが大戦略シリーズの開発元の凋落ぶりがまた涙もので、今やその開発力は10年前の水準にすら劣ります。売れるレベルの作品、まともな作品が作れません。そこでゲームとして面白いものを作るのはもはや無駄な努力と悟ったのか、媚びることにしました。ちょうどその頃は排外主義者が顧客ターゲットとして魅力的な市場になりつつもありました。そこで「日本が周辺国に攻め込まれる」というタカ派の被害妄想を詰め込んだような設定の「現代大戦略」シリーズを発売、一部の支持を得て命脈を保つ有様です。
で、普通のゲーマーを顧客として想定していた頃の大戦略シリーズでは中国軍が泣けるほど弱かったのですが、被害妄想に酔いしれて止まないネトウヨ諸兄を顧客として売り出した現代大戦略シリーズでは、中国軍がかなり強いです。大戦略シリーズでは「カモ」で兵員の熟練度稼ぎの相手だった中国軍が、現代大戦略シリーズではマジで脅威です。中国軍を侵略者として登場させる現代大戦略シリーズでこそ、中国軍は高く評価されている、リスペクトされているわけですね。
まぁ北朝鮮の脅威があってこそ輝けると言いますか、それがないと支持者にアピールできない人もいますから。北朝鮮の核実験で支持率が跳ね上がり、北朝鮮の沈黙と共に消滅していった安倍政権がその象徴でしょうか。表向きは嫌っているようでありながら、実は必要としている、依存しているとさえ言えるわけで、そういう立場の人が北朝鮮との外交問題を全く進展させることが出来なかったのは必然なのかもしれませんね。
流石に年食ってからはやっていないので、「現代大戦略」については無知ですが・・・
弾道ミサイルや占領におけるゲリラ戦やテロ活動などはどんな風になっているんでしょうか?
また、偵察衛星やIT戦略なんかも現代に置いては重要なファクターだと思うのですが・・・
機会があればまたやってみたいですね「大戦略」
軍備の古い新しいより、思想、教育、政治の問題だ。脅威は、そこにあるのだ。
蛮行を平然と許す精神。大日本帝国や米国と同じだ。だからこそ脅威なんだ。
軍縮にはまず、人間の心を変えなければいけないんだ。
・非本質的な話ではありますが、大戦略シリーズと現代大戦略シリーズという呼称は誤解を招くかもしれません。今日の『現代大戦略200n(nは自然数)』というタイトルの作品群とは別に初代の『現代大戦略』とか『現代大戦略EX』とかがあるわけですから。
・さらに非本質的な話ですが、スーパー大戦略(88版)では歩兵のZOCが空に及ぶので、人民兵でイーグルを雪隠詰めにして落した覚えがあります。実のところコンピュータの中国軍はともかく人間が使う中国軍が弱かったとは思っていません(笑)
私も昔年の大戦略はやりこんだ口ですが、青春を共にした名作シリーズの凋落ぶりは目も当てられないと言いますか、「私の美しい思い出を汚さないでくれ!」というレベルです。大戦略と言いつつ実際は戦術レベルのゲームで、登場するのはトラックの3倍程度の移動力しかもたない弾道ミサイルなど、「戦略」兵器の要素は薄いですね。そうであるからこそアメリカ軍は現実よりも弱く、中国軍は現実よりも強く、より現実を見誤らせる効果があるのかも知れません。
>東方不敗さん
生身の人間にとっては旧世代の兵器も脅威ですが、その脅威をあたかも国にとっての脅威であるかのようにすり替え、そして人間を守ることと国を守ることをすり替えてしまう、そんな論調もあるかと。こうした論理のすり替えを受け容れる愚かさもまた、軍縮の敵の一つかも知れませんね。
>くま(仮)さん
まぁ、過去には真っ当な「現代大戦略」もありましたが、今回はあくまで現行の現代大戦略シリーズと言うことで。穴だらけのルールなので、ZOCさえあればやりようによってはトラックで爆撃機を封じ込められるゲームでもありますが、とりあえず今回の強い弱いは兵器の性能に対する評価を基準にしたものとお考え下さい。
あれも「はったり」なのでしょうか?
何であれ、僕はまずは自国の軍事力(自衛力)の方が気になります。漁労船を粉砕してもまったく気付かないほど巨大な戦艦を日本は持っていますが、実際の戦力はどの程度なのかと。
中国に対してですが、あなたの意見を否定する気はありませんが、日本政府がどのような見方をするかに関わらず、実際中国の軍事力は実態的にも影響的にも数値的にも存在感を増していると僕は思います。
ある種の思惑を持つ人にとっては「ハッタリ」とは認めたくないのでしょうが、MI6のような専門の諜報機関に言わせれば「ハッタリ」だと、そう言うことです。要はその現実を受け容れられるか、それでも相手の脅威を煽る方を選ぶか、そのどっちかです。
>「ハッタリ」だと、そう言うことです。
その報告書はデタラメだったわけですが。
http://obiekt.seesaa.net/article/92595283.html
>要はその現実を受け容れられるか、それでも
>相手の脅威を煽る方を選ぶか、そのどっちかです。
貴方の失敗は「これむしろイギリスのハッタリじゃね?」という点に気付かなかった事。
ヤダヤダ、そんな報告はでたらめなんだい、ボクちゃんは信じないぞ! ということですね。
まぁ、殻に籠もる分にはお好きにどうぞ。そのまま出てこなくて構いませんから。