麻生首相は25日午前、横浜市内で開かれた日本青年会議所の会合であいさつし、「日本は65歳以上の人たちが元気だ。介護を必要としない人たちは8割を超えている」としたうえで、「元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは働くことしか才能がない。働くということに絶対の能力がある。80(歳)過ぎで遊びを覚えるのは遅い」と語った。
高齢者に働いてもらい、活力ある高齢化社会を目指す考えを示したものだが、高齢者をやゆしたともとれる表現に批判が出る可能性もある。
どうせ秋には野党になっているであろう人々の発言ですからスルーしようかとも思いました。麻生氏は相変わらずですね。小泉や安倍の時代に比べればだいぶ軌道修正できた部分もあり、方向性は意外とまともだった一方で(むしろ鳩山の方が危ないくらいです)、党内をとりまとめる能力の欠如は致命的、そして生まれながらの特権階級意識と妄言癖が随所に露呈した印象です。曰く「高齢者をいかに使うか」だそうで、要するに人をコマとして考えているのでしょう。この辺の感覚は麻生氏に限ったことではないと思いますが。
まぁ「80過ぎで遊びを覚えるのは遅い」というのは共感できないでもありません。私もそう思います。80過ぎでは遅いです。いかに世界一の長寿国とはいえ、80過ぎではどれだけ余命があるかもわからない、時間と金があっても体が動くとは限らないわけです。もっと若いうちに遊びを覚えておかなければ人生の損です。だからこの麻生氏の言葉が日本のワーカホリックたちに向けられたものであるなら、むしろ評価したいくらいです。遊びを覚えるのは定年を迎えてから、それまでは仕事が第一――そんな人々を揶揄するような発言であったなら、それはそれで「粋」です。
「意図伝わっていない」=麻生首相、高齢者発言で釈明(時事通信)
麻生太郎首相は25日夕、仙台市での講演で「(高齢者は)働くことしか才能がない」とした自らの発言について「意図が正しく伝わっていない。申し上げたいのは、日本に元気で活力がある高齢者が多いということ。社会参加してもらい、働く場をつくる。それが活力ある明るい高齢化社会だ」と釈明した。
首相は、「ぜひそういうところを(報道で)取り上げてもらいたかったが、誤解を与えたと思うので、説明させていただいた」などと語った。
……しかるに、麻生氏の意図は別のところにあったそうです。本人の自己申告によれば、ですが。そしてこのような意図であるなら、言うまでもなく評価できませんね。そもそも「働く」ことばかりを「社会参加」と見なすことに問題がありますし、社会保障の不足や労働賛美の中で、働かずに暮らすことが難しい、高齢者も働かなければ生きていけないのが現状のはず、これが活力ある明るい高齢化社会なのでしょうか。仮にそうであるとしても、そのような意図がどうして「(高齢者は)働くことしか才能がない」という発言に繋がるのかも不可解です。よっぽど破綻した思考の持ち主なのでしょう。麻生氏は「誤解を与えたと思う」と語りますが、当初の発言から麻生氏の意図を読み取るのはエスパーでもない限り不可能に見えます。
さて問題の発言は日本青年会議所の会合で出てきたものです。この日本青年会議所、色々と怪しいというか危ないというか、随所に邪気眼的なものを漂わせている団体ですが、その名からもわかるように比較的若い年代、具体的には20~40歳までの「青年」で構成されている団体です。問題の発言は当事者たる高齢者に向けてではなく、若い世代に向けて、それも高齢者がいない場所で発せられたわけです。ある意味、陰口みたいなセンスを感じますよね。あいつらは働くしか能がない奴なんだ、のうのうと年金暮らしさせてやる必要はない、もっと働かせればいいんだ――と、当事者のいない場所で語ったわけです。まぁ、世代間対立に落とし込むのは、政府や財界に対する批判をそらす常套手段、若者のいる場面では中高年を貶めることで「若者の味方」を演じるのが常套手段なのでしょうけれど。
自民の選挙最前線に居座る爺供をうざいと思っている別働隊たる奴等の本音かもしれません。
『お前らのせいで自民は腐敗した!』と言いたげでしょうが、OBたる麻生氏のやってきたことを考えれば五十歩百歩じゃないかとw
まして各地で『公開討論会』とやらを仕切っているのは、自民との親和性を考えれば中立性に疑問符がつくんじゃないかと。
「うちの会長も働くことしか知らなくて困るよ」って、二代目、三代目のぼやきみたいなものですか。
まあ、こういう言語センスで外交交渉していたとすれば、外務省スタッフはばんばん「意訳」していたでしょうねえ。
その一方、他の野党の反応がまったく出てこなくって、いろいろ想像しちゃいました。ひょっとして、給油の話とか比例区削減案とかで民主党に危機感を感じはじめているマスコミ関係者も少なくないのかも、なあんて。
まあ、自民党サイドが「共産党の存在をアピールすれば民主党の票が減る」と考えたうえでNHKにやらせている高等戦術(?)かも知れませんし、あるいは、他の野党には絵になる画像がなかっただけかも知れません。でも、ああいう報道ネタが増えていけば、ひょっとするとひょっとするかも、なあんて、調子のいいことも想像してみたり。
真梅雨の世の夢(苦笑)。
それにしても、選挙の前にこんな発言しなくてもいいのにねえ。
例えば道案内したとして…
▼ふつうの人
その先の角を左に曲がってまっすぐですよ。
▼うちの総理
その先、角を~ 左、…左…ですからぁ~(←語尾上がる)、行くとまっすぐと、言うことです。
と、こんな具合。
それでも中身がちゃんとしてれば、一つの愛嬌にもなったかもしれんが、立派なのは家だけだったか。豪邸を支える釘一本分の価値もなかったようだ。
(了)
確かに団塊より上の世代は働く事しか脳がないと思われても仕方ない人生を歩んでいる人が多いので、否定はできないです。
日本人は外国のから見ると
「働く事しか脳がない哀れな人種」
と思われてるくらいですから。
麻生はどうしようもありませんが、バーコード(中曽根)や詐欺師(小泉)よりもはまだまともかもしれません。
麻生の数々の失言をもし中曽根や小泉がしても、電通が必死になって揉み消したり、肯定的になるように誘導するでしょう。
一議員の立場なら不問いにされる場合があるかもしれませんが。(それでも、思想や信条、人種等の人権問題に関わる発言は糾弾されるべきですが)
一国の総理大臣になった以上は、べらんめえ調の言葉遣いは公的な場では慎むべきでした。まあ、正直でいいといえばそれも当てはまることは妥当ですが。
政治家の発言は、揚げ足取りではなく、議論を深めたり、発言した政治家の信条や国のあり方を問うためにメディアに取り上げることを望みたいです。
自民党青年部、とはまた別の組織なのでしょうけれど実質的には「身内」ですからね。でもこうした「青年」の前では中高年をコケにするけれど、逆に青年のいない場所では反対のことを言ってそう……
>kuronekoさん
政治ジョークではよくあることですが、もう麻生の言うことなんて無視して通訳だけで外交していた方が良さそうですからね。むしろ首相が英語を介さない方がマシなのかもしれません。
>仲@ukiukiさん
どうなんでしょう、マスコミが民主党の掲げる海上補給や比例区削減に危機感を感じてくれればいいのですが、下手すると、そういう政策を掲げる党だからこそマスコミはより好意的に民主党を取り上げる、なんてことにもなりそうですし。悲観的な予測ではありますが。
>Bill McCrearyさん
つい先輩風を吹かせてみたくなった、みたいなところもあるのかもしれませんね。言わないでもいいことを「うっかり」口にしないではいられない、そんな迂闊さは政治家としてどうかと思うわけですけれど。
>アソタ口さん
単に口調だけならネタで済みましたが、よくわからない話を整理してみると、やっぱりろくなことを口にしていない、そんな有様ですから……
>コンポコさん
えぇ、その辺はエントリの前半部分で述べたとおりですよね。まぁ、不当に高く評価された前任者達らライバルに比べれば「正当な評価」を受けているといえなくもないですが。
>ヒイロさん
まぁ、かの森元首相と同レベルの「正直」ですね。しかし本当に「誤解」なのでしょうか。あの発言はもう、批判されているとおりの解釈しかあり得ないわけで、当人が自己申告しているような意味合いで受け止めることは超能力者でない限り不可能だと思います。
いつも記事を参考にさせて頂いております。
麻生の言を見た時、すぐに頭をよぎったのは、70-80代で互いを老々介護するお爺ちゃんお婆ちゃんたちの姿でした。
なんといいますか、情けなくて涙が出そうです。
ひたすら苦しんでいるお年寄りにも働け働け、でなければ生きてる価値がない、とでも言いたいのでしょうか。いったい、将来の介護制度像をどう考えているのでしょうか、麻生は。
あらためて、酷い奴に政治を任せていたものだと感じました……。