非国民通信

ノーモア・コイズミ

議席はそれほど減っていないけど

2008-02-23 22:51:58 | ニュース

自民党員10年連続減 ピーク時の2割、110万人に(朝日新聞)

 自民党は22日、07年末現在の党員数を公表した。前年同期比7.5%減の110万2460人で98年から10年連続減。ピーク時の約546万人(91年末)の約2割にとどまった。党組織本部は「業界団体の自民党離れに歯止めがかからない」と見ている。

 98年から10年連続減だそうです。国民の所得と同じようなものですね。減り方は比べものにならないほど激しいですけれど。98年と言えば消費税増税で橋本内閣が大コケした年だったでしょうか? それなら党員が減るのも自然ですが、その後は自民党党首として戦後最高の高い支持を記録した総理が登場、選挙でも大勝を収めたにもかかわらず、党員は一貫して減少を続けているようです。

 自民党組織本部は不安視しているように見えるのですが、その割には党の議席獲得数は減っていないような? 党員の組織票が激減した分を、いわゆる無党派層がしっかり穴埋めしているわけですから党員減少の影響は今のところ目立ったものではありません。これは自民党離れが進んでいると言うより、自民党の支持層が変化したと見るべきなのでしょう。

 組織票の存在を強調する人もいるわけですが、確実な動員が期待できる党員の数は昔年の5分の1にまで落ち込んでいます。自民党なり自民党が後援する自治体の首長なりが選挙で勝利を重ねているのは、組織の力ではなく無党派層の手によるものだと認めるほかありません。今や自民党は特定集団の政党ではなく無党派層の政党なのだと。

 海の向こうでは党員投票による選挙戦が盛り上がっていますが、日本ではどうでしょうか? 日本において党員とは限られた一部の人たちでしかありません、党員とそうでない人の間には大きな溝があり、その投票傾向もまた違っています。先の自民党総裁選でも、自民党員は福田支持が多数派でしたが、非党員の自民党支持層は麻生支持が強かったわけです。

 政治に対して主体的に関わっていくことを道徳的に否定し、政治に対して距離を置くことを健全と考える、「政治」の指し示すところが具体的であればあるほど、その傾向が強まるのではないでしょうか。特定政党に属さないなど、政治から距離を置く、そして政治に関わっている人の決断に対して、自分達の責任ではないと考える、「奴ら」が密室で考えたことだ、と。

 自らを「中道」だと盛んに強調する人は、自分の偏りに無自覚であり、その人の独善性を強調しているに過ぎません。では特定政党への関わりや支持を持たないことを強調せずにはいられない人は? 自分は○○党の党員ではない、○○党の支持者ではないと、わざわざ断り書きを添えたがる人もまた少なくないわけですが、それは他人に披露するようなことなのでしょうか?

 政治に主体的に関わっていくのであれば、どこかで自分の立場を見つけなければなりません。その一方で、政治の「外」に立とうとする人が多い―――責任を負う覚悟のない人が多いわけです。しかし、軍事独裁政権が力ずくで今の日本を築いたわけではありません。国民の選択の結果としてこうなってしまったのだと言うことを、我々は意識する必要があるでしょう。

 自民党支持層にも自民党政治がもたらした結果を歓迎しない人が圧倒的に多いわけですが、そこへ至る選択をしたのは誰なのか? 組織票を理由に、自分達の意思とは無関係にそれが行われてしまったと、そう思いこむのは簡単です。しかし、今や天下の自民党でさえ党員数の激減に歯止めがかけられず、無党派層の浮動票が頼みの綱です。そして、そうした無党派層の票に支えられて権力を得た政府が今を作っています。その政府がもたらした結果を引き受ける覚悟が持てないから、与党に投票しているのに党員にはならない、そんな人が増え続けているのでしょう。

 

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4 コメント

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Unknown (Bill McCreary)
2008-02-25 21:39:09
日本の政党で、党員という存在にある程度実態があるのは、今も昔も共産党だけかと。

そのあたりの賛否はともかく、別に自民党も現在そんなに絶対数としては投票されているわけではないわけですよね。国政選挙だって6割くらいの投票率だし。数えてはいませんけど、自民党に投票している人って、全有権者の4分の1くらいかな。そういえば、この間の大阪府知事選挙だって、投票率は半分以下ですよね。

選挙だからしょうがないんですけど、逆にいえばその程度の支持で延々自民党政権が続いているということを私たちは認識しなければいけませんね。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-02-25 23:19:00
>Bill McCrearyさん

 ともすると日本で政党らしい政党は共産党くらいと言われるほどですから、自民党の党員となりますと、諸外国で言う政党の党員のイメージとはあまり重ならないのかも知れませんね。応援団みたいなものでしょうか。ともあれ、全有権者の4分の1でも、それが他党の票数を上回っていさえすれば議席数では圧倒できるのが小選挙区制度、この小選挙区制が導入されたのが、自民党政権が一時的に途絶えた時期というのが何とも……
返信する
そもそもの矛盾 (kuroneko)
2008-02-26 13:39:50
ときどき政治談議もするネタブログのkuroneko
です。
いつか書こうと思っているんですけど(あるいは類似のことをもう書いたかもしれないけど)
小選挙区制導入の時に、くっきりした二大政党による政権交代が望ましいということで、政策立案能力のある政党を作るよう、選挙制度改革をしてその方向へドライブすべき(とは言わないけど)ような論調でした。朝日新聞はじめマスコミはそういう傾向。
で、一方で、マスコミは「無党派層」をさもいいことのように言うのですね。
片方では社会システムとしての「政党」の重要性を指摘し、片方ではそれにコミットしないことのほうが、党員や支持者よりも視野の広い政治意識のように言いなす。この辺がどうにもちぐはぐな感じで、「二大政党による政権交代」論を全面的には首肯できません。
この、一方では機能的な政党を渇望し、他方では政党活動へのコミットを胡散臭く思う傾向は、メディアだけでなく広く日本人一般にあることだと思います。
制度としての政党を使いこなせるようにみんなでしていければいいと思うんだけど、多くの人はそもそもこの食い違いに鈍感なんじゃないかと思います。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-02-26 23:37:43
>kuronekoさん

 なるほど、アメリカにあるような二大政党制を称揚する一方で、有権者の政党離れに歯止めがかからない、このチグハグな、反対を向いた状態に無自覚、無批判なところはありますね。特定の政党に属することをある種の偏りとして否定的に見ながら、特定の政党に議席を集中させようともする、矛盾が残ったままです。やはり有権者自身が変わることが必要だと思うのですが、まずは自覚からですね……
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