非国民通信

ノーモア・コイズミ

Sin After Sin

2008-11-22 22:51:51 | ニュース

 昨今は大麻汚染だの何だのと喧しいわけですが、カフェイン並みの毒性しかない大麻などとは違う、本当に危ないハードドラッグが市販されていた時代もありました。通称ヒロポン、軍隊で支給されたりもしていましたね。本物のヤク中が大量に生み出されていた時代に比べれば、今はおとなしいもの、というより過敏なだけです。

 記録に留められた件数と、実際に起った件数は一致しません。例えば人数当りの強姦件数、栄光の1位は洒落にならない治安状態と統計を取るだけの経済力を兼ね備えた南アフリカですが、むしろ上位に名を連ねるのは欧米の先進国、それも南より北、東より西の、より経済的に発展した国の方だったりします。そして日本は最下位グループに属しますが、この日本よりも強姦件数が少なく記録されているのは、イスラム教国ばっかりです(参考サイト)。

 要するに、その社会の意識次第なのです。配偶者や友人の間でも性暴力は強姦として扱う国ほど記録される強姦件数は増加し、「女性にも非があったのではないか」などという国は最下位を争う、「誘惑した女性の罪だ」などと考える国ではインチキ臭いほど低い数値しか出てこないわけです。ゴマカシの利きにくい殺人件数などは概ねその国の治安に比例するものと考えられますが、逆に強姦件数などは治安を表すよりも、むしろ人権意識の水準を表すものと見た方がよいでしょう。では大麻のような、国によっては合法ですらあるソフトドラッグ絡みの立件件数は?

小学生の暴力事件急増 我慢覚えず口より手(産経新聞)

 平成19年度に全国の小中高校で発生した暴力行為は5万2756件で、前年度より18%増え、過去最高だったことが20日、文部科学省の「児童生徒の問題行動調査」で分かった。小学校で37%増加するなど低年齢化が進み、高校では校内暴力があった学校が初めて半数を超えた。いじめの認知件数は10万1127件で2万件以上減少したが、文科省は「認知できていないだけの可能性もある」と慎重な見方を示している。

 暴力行為が増加した理由について、文科省は都道府県教委の分析として、児童生徒が自分の感情をコントロールできない▽規範意識の低下▽コミュニケーション能力の不足-を挙げている。

 暴力行為の内訳は、生徒同士が2万8396件で最も多く、器物損壊1万5718件、対教師6959件など。警察の補導など関係機関の措置を受けた小学生は80%増の182人、中学生が8%増の3872人、高校生が14%減の648人だった。

 さて、校内暴力の 認 知 件 数 が増えているそうです。日教組の組織率は低下する一方ですが、校内暴力は増加傾向だとか。これはもう日教組を官民挙げて支援して、その組織率が高かった頃に戻してもらうしかありませんね――などという話ではなく、単に認知件数が増えただけです。「俺の子じゃない!」と強弁しても通用しなくなったのでしょうか、過去に比べて認知される割合が増加した結果として認知件数が過去最高を記録したものと考えられます。

 校内暴力が発生した学校は高校で53・6%(前年度比5・6ポイント増)に及び、比較可能な9年度以降の統計で初めて半数を超えた。

 だいたい、校内暴力ぐらいはどこの学校にだってあるはずです。落ち着いた学校であっても何百人も生徒がいれば必ず何人かは問題を起こす子もいます。ただそれを認めるか認めないか、そこが変わっただけです。私の経験がどれだけ一般的かは知りませんが、刃物で斬りつけるぐらいは日常茶飯事、恐喝や窃盗は周りの見ている中で堂々と繰り返されていました。リンク先の産経記事には「今の学校がどんなに酷いか」が書き連ねてありますが、皆さんの小中学校時代と比べて、そんな違いはありますかね?

 窓ガラスを割る、消化剤をまき散らすなどの器物破損もいつものことでしたが、その週の全体朝礼では必ず、「生徒がやったことではありません」「外部の犯人の仕業です」と宣言されていたことを覚えています。間違いなく当時の校内暴力・器物破損の認知件数は「0」だったはずです。それが昨今は「なかったこと」にするよりも認知する方を選ぶ割合が増えた、結果として過去最高の認知件数を記録するに至ったのでしょう。

 凶悪犯罪が減り続ける中、微罪による検挙を増やすことで犯罪件数を稼ぐ動きも見られます。そしてあたかも、治安が悪化しているかのような印象を作り出そうとする傾向もまた根強いもので、政府は「犯罪に強い社会の実現のための新たな行動計画」なんてものを考えているようです。ふ~む、殺人件数が戦後最低を記録しただけでは満足できないのでしょうか。

 じゃぁ、逆転の発想です。凶悪犯罪が減って犯罪不安が叫ばれるようになったのなら、犯罪不安が叫ばれなかった時代、今よりも凶悪犯罪が多かった時代に戻しましょう。特に深刻なのは若者の犯罪です。青少年の犯罪が激減したと同時に沸き上がってきたのは何だったでしょうか? そう、若者叩き、俗流若者論の隆盛です。きっとそう、若者がおとなしくなって怖くなくなったから、若者が弱いものイジメの標的にされるようになったのです。ならば危険な若者に戻りましょう。何をするかわからない、若者が本当に恐れられる存在になったなら、若者叩きに血道を上げるような人々はよほどの命知らずだけになるでしょう。悪い冗談? 一概にそうとも言えないかも知れません。モンスター~だってそうです、今よりも個人として権利を主張することが当たり前だった頃には、こんな言葉はありませんでした。しかし、個人として権利を主張する人が減った、少数派に転落したとなると、途端にバッシングの対象となったではありませんか。犯罪もそうです。犯罪が減って、それが日常的なものから異常なものへと転落したからこそ、不法行為を過度に恐れる社会になったのです。ならば不法行為が増えて、それが大して目立たない社会になったなら、国民の犯罪不安は消えるのかも知れませんよ、と。

 

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8 コメント

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金八時代 (GO)
2008-11-23 00:06:53
わたしが中学生であったころ(いつや!?)武田鉄矢の「金八先生」というのがありまして(今でも時々やっているか)その当時は「校内暴力」というのがすごーく問題視されておりました。そりゃ、ガラスは割れるわ、教師は殴られるわ、大変な時代だったと思いますよ。それに比べりゃ、今のガキどもは・・・おとなしいもんですね~(^^)/
3K新聞にしろ、Y売り新聞にしろ、A日新聞にしろ、あのころの大騒ぎを忘れてしまっているようで、ある意味、情けないですな~。
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Unknown (ベースケ)
2008-11-23 11:01:16
やはり、皆「野武士」へ解脱すべきですね。執拗に「サムライ」(笑)を連呼する“隷属したい気持ち”を持ち続ける限り、「国際競争力」(笑)も失われたままでしょう。
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Unknown (ノエルザブレイヴ)
2008-11-23 11:22:47
「戦前の少年犯罪」の作者さんが出ていたインターネットテレビで「新聞記者は日々のヤマを追うのに精一杯で昔のことを振り返る暇が無い」というような話が出ていまして、案外そんなものなのかもしれません。

思いますに、人間の本質は百年二百年そこらでは急変したりはしないのではないかな、と。例えば「学校裏サイト」にしても手口こそハイテク化していますが陰口をやめられない人間の性が受け継がれてきたことがその本質であるように思われるのです。
仮に懐古主義者をタイムマシーンに載せてその理想とする時代で数年過ごさせたとしたら案外「こんなはずではなかったのに…。」という感想が返ってくるのではないでしょうか。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-11-23 15:35:21
>GOさん

 まぁ「昔はよかった」幻想もあるでしょうか、あたかも現代だけが問題で、昔はそんな問題はなかったかのような言論が多いですね。私の小中学校時代は谷間の世代なのか、校内暴力が話題に上ることなど滅多になかったと記憶していますが、それでもガラスを割ったり斬った刺したは日常風景、何を今さら大騒ぎするかという印象です。

>ベースケさん

 「公」に管理された「さぶらうもの」から、管理されざる「野武士」への移行も一つの手ですね。枠から外れることを学びませんと。

>ノエルザブレイヴさん

 まぁ政府与党も目先の問題に延命措置を施すのが精一杯で、長期的なビジョンなど皆無ですから、新聞記者も似たようなもの「今」を追うだけで限界なのでしょうか。仰るように技術的な「手段」に変遷はあれども、人間のやろうとしていることに大きな違いはないと思うのですが、それでも尚モラルの低下など精神論を説く人が後を絶ちませんね。
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Unknown (TAMO2)
2008-11-24 21:01:49
おひさです。昭和53年の頃の中学校のユカイなひと時。今なら 報 道 ま ち が い な し 。

ギロチン:上下移動する窓枠に人間の胴体を挟んで、足側を殴る、蹴る、場合によっては(何か恨まれていたりする場合)ズボンとパンツを下ろしてち●こ(失礼)を剥き出しにして皮をズル剥きにしたり。

チューリップ:女の子を数人で囲み、スカートを捲り上げて上でロープなんぞで縛る。これもまたパンツをずり下ろしたり。これ以上は書けない。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-11-24 22:44:15
>TAMO2さん

 まぁ、小中学校ならよくある光景ですね。それが時代によって大仰に取り上げられたり、なかったことにされたり。昨今の子供の方がむしろおとなしい、「いい子」志向が強いような気がしますが、その割に問題視されるのは、例えば生活保護の不正受給などがそうであるように、稀少なケースほど大騒ぎされるものだからでしょうか。
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Unknown (GX)
2008-11-27 16:56:31
 私の頃はTAMO2さんのおっしゃるようないじめはありませんでした。担任の先生から一回だけその先生の中学校時代にそんないじめがあったという話を聞いただけです。いじめもありましたが、それと比べると大したことがないように見えます。(もちろんいいことではありませんが・・・。)そもそも、私たちの世代は「内申書」というものがありまして、何かしら問題を起こすと、高校へ進学できなくなり、その後の人生も悲惨なものになるというシステムがあったので、基本的にはめったなことはできないんですよね。

 しかし、文科省的には「モラルの低下」という説が有力なんですよね。調査の方法が変わったために量が増加したとの指摘もあったのですが、こちら方が「誰かを服従させるルール」を作る口実にもなるので、都合がよさそうです。
 モラルの低下と言う人々は思い出が美化されているのでしょうか。あるいは平和な現在が「普通」になると、今の状態でも満足できなくなってしまうとも・・・。そうなれば、非国民さんのおっしゃることも「校内暴力の低下」に貢献するような気がします。ただこれは解釈次第で「今以上を求めると・・・」と職業等での不当な待遇も正当化してしまう恐れがあるため、注意が必要です。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-11-27 23:48:17
>GXさん

 内申書による「脅し」が効いているところと、そうでないところで別れそうですね。どっちもどっちで問題なのですが。

 いずれにせよ、教育行政サイドとしてはモラルの低下や問題の深刻化を印象づけたい、今が「非常事態」であると見せかけたいのですよね。非常事態ならば、平時では許されないような介入が正当化されるわけで。
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