非国民通信

ノーモア・コイズミ

国から捨てられた街

2006-11-23 17:31:13 | ニュース

夕張市再建案に市民ら悲鳴・怒り 「出るも残るも地獄」

 360億円を約20年で返済する――財政破綻(はたん)した北海道夕張市がまとめた財政再建計画案が、波紋を広げている。厳しい再建案に、地区ごとに連日開かれている説明会では、住民の不満が相次ぐ。しかし、「第2の夕張」を防ぎたい総務省は、計画をさらに削り込む構えだ。

 〈夕張市の財政破綻〉 炭鉱で栄えた夕張市は60年の人口が約12万人だった。相次ぐ閉山で住民が流出、「観光の街」への転換を図った。だが、遊園地やスキー場への客足が伸びず、観光施設の人件費がかさみ、05年度決算で赤字が約257億円に。今年度分を加えると、財政再建団体になる来春の累積赤字は約360億円になる見込み。現在の人口は約1万3000人。

 市民一人当たり、約300万円の借金ですか。日本の赤字国債が600兆円、1億人の日本人で割れば一人当たりは600万円、それに比べれば半分ですが、いずれにしても途方もない借金額です。年収300万以下の私には夜逃げするしかない数値ですね。

「全国最低の暮らし」の設計――。

 以前にもこの件を取り上げまして、例えば米軍への思いやり予算は2006年度で2326億円を拠出しているわけですが、この1割でも回してやれば事態は大幅に間然するのではないかと。総務相には夕張市民に注いでやる思いやりなどないということなのでしょうか。米軍にはあんなに思いやりがあるのに・・・

 それから破綻したりそな銀行に注入された公的資金の総額は1兆9600億円、特定の民間企業にこれだけ出せるのであれば、特定の自治体にその1%くらいは回してやっても罰は当たりませんよね?

設備取得費の全額損金扱い 法人税率は今後の課題
 政府税制調査会は22日、首相官邸で総会を開き、企業の設備取得費の全額を非課税扱いの損金算入できるよう減価償却制度を見直すことなどを柱とした2007年度税制改正の答申概要を固めた。安倍政権の成長重視路線を踏まえ、企業の活性化につながる内容が中心。

 ひっそりと決まりました減価償却制度の見直し案ですが、これによる減税額は5000億円と試算されています。企業に注いでやる思いやりの5%だけでも、夕張市民に注いであげることはできないのでしょうか? そもそも企業に対しては、減税すれば企業が栄えて将来的な税収増が見込めると強弁しているにもかかわらず、夕張市には増税を要求する、だったら企業にも増税という発想はないのか、減税すれば夕張市が栄えて将来的な税収増が見込めるという発想はないのか、一方には便宜を図り、一方には締め付ける、政府には大切な人々とそうでない人々がいるようです。

外務省ODAのページには以下の説明があります
 飢えや貧困に苦しみ、十分な食料や飲み水が得られなかったり、教育や医療を満足に受けられなかったりする人々は、世界人口約60億人のうち8割以上を占めています。また、環境、人口、HIV/AIDS問題、情報技術格差(デジタル・ディバイド)など地球規模の問題も山積しています。ODAを通じて途上国の発展を手助けし地球全体の問題解決に努め~

 炭坑が消えて産業の無くなった夕張市、めぼしい仕事といえば市役所勤めくらいだったのが今後は大幅な解雇が見込まれ、計算上は家族を養うのは無理、高齢者への負担も急増して年金だけでは必要な医療が受けられなくなると見込まれています。遠からぬうちに医療費が払えない、養育費が払えない、水道代が払えない、ゴミ収集料金すら払えない、そんな人々が急増するでしょう。教育に関しては以下の記事もあります。

市職員半減、小中1校に統廃合 夕張市が再建案 
七つある小学校と四つある中学校を、10年3月までに各1校ずつにする。

 安倍内閣が最重要課題と掲げる教育改革の一環がこれでしょうか? いずれにせよ、これから夕張市民は教育や医療を満足に受けられなくなります。思うのですが、夕張市にも政府開発援助が必要ではないでしょうか? ちなみに日本が拠出している政府開発援助、減少傾向にありますが平成17年度は7862億円となっています。ちょっとくらいは国内の貧困に向けてもよさそうなものです。企業の海外進出の足がかりを築くのが目的ではなく、困窮する人々を救うのが目的であるならば、ODAが振り向けられる対象はどこの国でもいいと思いますが。それとも、フランスとかオランダとかスウェーデンとか、外国にODAを要請しますかね。

 菅総務相は21日の記者会見で、住民から不満の声があがっていることに「それなりの厳しいことは必要だ」と反論した。総務省幹部は「ゴーサインを出したわけではない。もっと削れる所はあるだろう」と言い切る。

 これが安倍内閣が掲げる「再チャレンジ」支援政策なのでしょうね。夕張市では有志が映画祭の復活など企画しているようです。気持ちはわかりますが、これでは財政再建には到底足りないかと。それにしても炭坑が消えて、その先に夢見たのが観光地化、そして破綻ですか。映画『ロジャー&ミー』で名高いフリント市と同じ末路ですね。こちらはジェネラル・モーターズ社の工場で栄えた街で、自治体も企業をつなぎ止めるべく法人税を引き下げたり助成金を出したりしたものの、搾り取るだけ搾り取られた挙げ句にGMは工場をメキシコに移転、街には失業者が溢れ、自治体は大赤字、観光地化で一発逆転を狙ったもののこれが失敗して街はゴーストタウンに・・・ 沖縄県知事に当選した仲井真氏も低迷する経済に観光業の振興を掲げていますが、これはどうですかね? 大企業の業績回復が続く中で国内消費は低迷、国内旅行に費やされる額も低下を続けているわけですが、やれやれ見てられませんね。


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