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非国民通信

ノーモア・コイズミ

前政権から変わって「いない」ことも注目されるべきかと

2013-01-16 23:01:09 | 政治・国際

 以前に書いたことですけれど、民主党の評価として「1自民党の目指していたものとして賞賛」「2自民党とは別路線として賞賛」「3自民党の目指していたものとして批判」「4自民党とは別路線として批判」の4パターンがあったと思うのです。再掲となりますが、図にしてみたのが以下ですね。

 

 パターン1としては、自民党筋でありながら民主党の「改革」に好意的だった人々、小泉純一郎(皮肉半分とはいえ)に河野太郎、舛添要一などが当てはまり、パターン2はネット上の民主党支持者や小沢信者に多い、パターン3は共産党やその支持層、パターン4は極右層や自称「保守」層が該当するでしょうか。あらゆる方面からの支持を失っていった民主党政権後半はさておき、政権交代からしばらくの間は概ね、単に支持するか否かだけではなく、その政治姿勢を「自民党と同路線か否か」と解釈の対立軸もあったわけです。故に自民党議員や自民党支持層の間でも評価が分かれていたと言えます。

 翻って今度は民主党から自民党へ、再び政権交代と相成りました。この先に暴走があるのか当面は安全運転が続くのかは予断を許さないところがありますけれど、その評価はどうでしょう。これもまた「支持するか否か」だけではなく、「前政権(民主党)の路線を継いでいるのか否か」との基準があり得るように思います。つまり「1前政権を引き継ぐものとして支持」「2前政権から転換したものとして反対」「3前政権を引き継ぐものとして反対」「4前政権から転換したものとして支持」云々。

 世間の反応を見るに、どうやら「2前政権から転換したものとして反対」「4前政権から転換したものとして支持」の2つが目立つようです。私としてはもうちょっと「3前政権を引き継ぐものとして反対」の声が上がるべきではないかという気がするのですが、世間の声は異なるようです。しかし、本当に新安倍内閣の方向性は、そこまで民主党政権と異なっているのでしょうか。確かに、例えば経済面など逆の方向を向いている領域もあります。しかし、同じことを続けようと、即ち民主党政権を引き継ごうとしている部分も多々あるのではないかと思います。

 朝鮮学校への高校無償化適用問題では、独自の判断基準を採る神奈川県の担当者が「民主党政権も無償化しなかった。結果的に変わっていない」とも語りました。どうにも新内閣が朝鮮学校を排除し始めたかのごとき受け止め方が一部で見られるのですけれど、それは違う、民主党内閣だって同じだったわけです。社会保障受給者、とりわけ生活保護受給者への白眼視だって、民主も自民も同じ方向を向いています。そもそも民主の政策が自民党の同路線上にあっただけに、その民主の方向性を自民が継ぐのは単なる先祖返りとも言えますが、ともあれ自民党政権になって「変わった」のではなく「変わらなかった」ことにも、もう少し注意が払われるべきではないかと感じるところです。

 ちなみに明確に「変わった」のは上述の経済面で、まぁ「こいつらの逆張りに徹しておけば間違いない」と確信できる自称経済誌やコンサルタントなど経済系の論者が軒並み「アベノミクス」とやらに否定的なところを見ると、割と期待できるのではないかと思えないでもありません(100%外れる予報は50%しか当たらない予報より当てになるのです)。そもそも私には「アベノミクス」という呼称が不思議で、新内閣の経済政策は「当たり前のことを当たり前に」やろうとしているだけのこと、ここに特別な名称を与えること自体が不適切な気がします。不況時に金融緩和と財政出動へ舵を切るのは「オーソドックスな経済政策」であって、「普通のこと」なのですが。

 まぁ、日本特有のガラパゴス・スタンダードに照らせば、このオーソドックスな経済政策が珍奇なものに見えてしまうのでしょうか。日本では状況の如何によらず、シバキあげ型の経済政策が正しい、規制緩和が正しい、インフレは危険だと、そう信じられてきたのですから(前/安倍内閣だって基本的にはその方向性だったわけですし)。一国の首相が歴史修正主義者であることは我が国では大きな問題ではありませんが、「当たり前の」経済政策を行おうとすれば論議の対象になる、何とも奇妙な、実に独自性の高い文化と言えます。

 

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コメント (2)
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