RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク) BLOG.

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性暴力被害に関する社会の意識/システムの変換を。

2017-06-14 15:44:58 | スタッフ日記

ここ数年、強姦罪改正についてや、ワンストップセンターの設立という事が性暴力に関する話題の中で大きな問題として扱われてきました。

もちろん、それぞれに大切なことです。ただ、それだけが大切な問題ではありません。

今回、詩織さんというサバイバーが、自らの被害経験から現状の日本の性暴力相談に関する状況や警察・司法の劣悪な状況についての訴えをしました。そのことをきっかけに、沢山のことを考えました。

詩織さんを応援する、と多くの人が書いているのを見ながら(もちろん、応援するとうだけではなく、驚く様な侮辱的発言を見る事もありました)、現実的には私たちはそれらを見聞きし、体験してきて、その中でなんとか踏ん張って声をあげて来て、それでもこの社会はあまり変わらなくて、という状況を考えていました。

応援するっていうことはもちろんだけど、一緒に頑張ろうって言いたい。

立ち上がった多くのサバイバーの声を「聞かないことにする社会」に向き合うために。 

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私たちがワンストップセンターに対して抱いている懸念については昨年以下の記事に書きました。

私がワンストップセンター乱立に反対の理由。

ここで、私たちが主に性暴力被害について、社会的に「すぐ出来る」対応として求めたものがありますが、今日はその各項目について、より詳しく書こうと思います。

・既存の相談機関に於いて性暴力被害に関する相談体制を構築する

まず、警察や司法、被害者支援センター、人権相談等公的資金で運営されている機関の相談事業による二次的な加害が多すぎます。警察による被害届の受理に関する状況や事情聴取の方法、現場検証の方法にも依然として被害感情への理解が欠如した実施の現状があります。単に相談を受けるということについても、必要となる説明すらせずに断定的な物言いをしたり、出来るはずの同行や情報提供を省いたり、被害にあった人のことを一瞬でも考えれば決してするはずが無い様な相談の実態は多くの相談事例から枚挙に暇が有りません。

そうした中で、研修といえば「当事者を呼んで話しを聞いた」「性暴力についての研修を1〜2時間受けた」程度のことでOK、実質的により具体的な学びやスキルが必要である性暴力サバイバーへの対応について明確に研修を受けたという事例についてはほとんど聞いたことがありません。そもそも、各機関に於いて性暴力被害相談の体制に関わるマニュアルがない、という状態は異常です。

明確に対応をすべき場所で、自らのマニュアルも十分に無い状態で相談を受けるということは、怠慢という他ありません。

・医師会を通じて、性暴力被害に関わる証拠保全についての通達を出す

ワンストップセンターに行けばいいように、と国は言うかもしれません。しかし、各地のワンストップセンターは全ての国民にとってアクセスがいい場所にあるのでしょうか。医療機関との連携、と言っても、その連携した病院は、全ての被害者の身近にある病院でしょうか。そして、その病院の在処は、果たして誰が教えてくれるのでしょうか。

どの病院に行ったとしても、最低限の治療を受けることが出来、また性暴力についての想定をしていただける、結果としてその場で治療や証拠保全に関する対応が受けられるようにならなければいけません。これについては、国、医師会の通知、通達により多くの病院が対応をする可能性が出てくるのではないでしょうか?

・レイプキット使用等、証拠保全に関わる資金を全国一律で助成する

性暴力に関する証拠保全に関しては、被害にあったことを訴える当事者が負担すべきものではありませんし、各医院が負担すべきものでもありません。これらを全国各地の医療機関に配置する為の予算についてを国で捻出すべきです。

ハコ物を作りそう知識の無い相談員を量産することにお金を使い続けることよりも、具体的な施作に予算を使って下さい。 

・民間の“多様な”性暴力被害に関する支援事業に助成する

性暴力被害にあうという状況も、その人たちの属性もそれぞれです。都市部に住む人、地方に住む人、日本語を使う人、日本語を使わない人、大人、子ども、女性、男性、トランスジェンダー、精神疾患や知的障害、また身体障害を持っている人、本当に様々ですし、また、そのそれぞれの人たちに対して、提供するべき情報は変わる可能性があります。

こうした事柄について、より特化して専門性を持った相談支援の実践を行えるのは民間の方が大きな可能性を持っています。また、そうしたそれぞれの属性、様々な状況について、今後より広く調査研究を推進していく必要があります。

これらについて、国から助成があるべきです。 

・各都道府県での被害者支援事業を一括で取りまとめせず、国内全域にまたがり各都道府県での支援に関わるマップ作成を行い、サバイバーに対してどのような支援があるのか選択肢を示す

○○県なら○○へ、というような、一括でのワンストップ機能には限界があります。例えば、被害直後ならどこなのか、ある程度時間が経ってからの相談はどこなのか、カウンセリングなら、自助グループはどこにあるのか、サバイバーには多くの選択肢が必要です。サバイバーの人生は点ではなく、連続性のあるものだからです。

医療・法律等で困る事もあるでしょう、また、就労や就学で困ることも、親族・パートナー・友人関係等で悩みを抱えることもあります。電話相談をしたら「うちはそういうことは聞かない」と電話を切られたということもあります。ここは何の相談を聞けて、どういった情報提供が出来て、どういう人が対象なのかを明確にした全国的なリストは絶対的に必要なものです。


 

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<オススメ書籍>

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小西 聖子
NHK出版
STAND―立ち上がる選択
大藪 順子
いのちのことば社
生きる勇気と癒す力―性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック
原美奈子,二見れい子
三一書房

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