鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・いろいろな色は 何色(なんしょく)?

2015-02-15 | 「ぷらっとウオーク」 2012年~2015年

いろいろな色は 何色(なんしょく)?   

                                           情報プラットフォーム、No.329、2月号、2015、掲載

  NHKのEテレ番組「シャキーン」でマリオネット人形のハジメ君が歌う「答えはない」を本誌(No.270、3(2010))で紹介した。歌詞は「答えは ない 答えはない 見方変われば 色々、『・・・?』」と続くのである。括弧には『色って何色ある!』のように色々な問題が入る。

 ここではこの問の解答を考えて見る。我が家のプリンターのインクは、交通信号と同じで、色の三原色と呼ばれるシアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー (黄)の3色である。これにブラック(黒)を加えての4色(CMYK)である。そしてインクはないが、生地(紙)のホワイト(白)が追加される。 墨一色で描かれるのが水墨画である。筆の捌き方、墨の濃さによって、黒色から灰色へ、そして白色の紙の色(白)へと連続的に変化する。画家ホイッ スラーは、代表作「黒と金色のノクターン~落下する花火」の例のように色と音との調和を表現している。

 色鉛筆、クレヨン、水彩絵の具などを対象とすれば、答えは12色や24色であろう。虹は7色であるが、そのように決まっている訳ではない。「日本の色、 世界の色、写真でひもとく487の色の名前」(永田康弘監修、(株)ナツメ社、2011/3)での「物体の色名」を眺めてみる。ここの目次では、 和の色名と外来の色名の二部に区分し、それぞれを赤、紫、青、緑、黃、茶、黒、金・銀の8分類として、合計16章に分けて487色を説明してい る。

  次は、お祝いの紅白、弔事の白黒のような取り合わせである。源氏(白)と平氏(紅)の戦いは源平合戦であり、ヨーク家(白薔薇)とランカス ター家(赤薔薇)の戦いは薔薇戦争である。スタンダールの小説「赤と黒」の題名は、主人公ジュリアンの遍歴が軍人(赤)や聖職者(黒)であり、そ の制服の色を表しているとされる。決算書は赤字・黒字の2色である。交通標識は赤、黄、青(緑)であるが、黒と黄は虎ロープと呼ばれるように目立 つ存在になる。モノクローム(単色)写真は墨絵に似ている。「白黒をつける」は囲碁から来ている。

 国旗や団体のシンボル旗は、単純な構図に加えて、鮮やかな配色が特徴的である。単色(白との2色)は、赤の日本、スイス、デンマークなど、青の国際連 合、ギリシャ、フィンランドなどである。フランス(左から、青白赤)やドイツ(上から、黒赤黄)の三色旗はそれぞれの色に意味を持たせている。オ リンピックの5色の輪は、青(オセアニア)、黄(アジア)、黒(アフリカ)、緑(ヨーロッパ)、赤(アメリカ)を表現している。中国の一例とし て、東の青竜、南の朱雀、西の白虎、北の玄武(玄=黒、蛇の絡みついた亀)を挙げておく。

    今年の元日にNHKスペシャル「カラーでよみがえる東京~不死鳥都市の100年」が放映された。最近復元されたものと同じ赤煉瓦の東京駅が、関東大震災前の赤の市街電車から震災後の青(緑)電車への変化がを見ることができた。今は「カラー」であるが、かっては「天然色」と言っていた。野外ステージ の「天然色劇場」は物部川河口左岸(東岸)にある。

    「日本人の愛した色」(吉岡幸雄著、新潮選書、2008/1) では、赤、紫、青と緑、黄と金、茶と黒の6章から成っている。江戸時代中期には、四十八茶、百鼠と云われるように、茶色と鼠色の種類(名称)が増えた。華 やかな元禄時代の後、奢侈禁止令が出て、身分に関わらず派手な色や柄の衣装は禁止されたのである。町人や武士達は「これは○○鼠色である」、「こ れは○○茶色である」と強弁しながら、侘び・寂びの世界を拡げていった。そして「裏優り(うらまさり)」と言われるように派手な裏地をさりげなく 見せていたのである。

 この解答は色の組合せとした一例である。土佐弁で答えれば「いろいろかいろ」となる。答え方も、その手法も人それぞれである。6年後の大学入試が様変わ りするが、「自分で条件を設定し、自分で解決する問題」の一例でもある。採点する側は大変だろうと思う。

 

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp 〒718-0054 高知県香美市土佐山田町植718

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