鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・老舗 ”喫茶ともだち”の閉店

2014-12-14 | 「ぷらっとウオーク」 2012年~2015年

老舗 ”喫茶ともだち”の閉店         

                                                 情報プラットフォーム、No.327、12月号、2014、掲載

  今年の8月末をもって30年以上続いた老舗(しにせ)?の喫茶店が閉店した。東隣に南国郵便局、国道を隔てた向かいに四国銀行南国支店とサン シャイン・カルディアを持つ「喫茶ともだち」である。郵便局・銀行・スーパーのそれらの駐車場をそれと見立てて「250台を超える巨大な駐車場を 持つ喫茶店は見たことがない」と評価した記憶がある。

  店の客室部分の北側に20畳を超える大きな部屋がある。そこに中古のシャワールームを設置し、娘・明日香との生活の空間としていた。そしてそ こは、子育て中の二人、妹の山岡美智子さんの子供達(令沙と裕和)、そして美智子の友人の田岡千佐さんの子供達(弓加子と文輝)の保育所をも兼ね ていた。子供たちは、子供5人の大家族として家族ぐるみで成長していった。一枝はこの喫茶店経営で一人娘を岡山の大学に進学・卒業させたのであ る。始めてこの喫茶店を訪れたときのメモが出て来た。今では再生が難くなった3.5インチのフロッピイ・ディスクである。その中の一つが以下の小文「アンサン ブル」である。高知に一緒に付いて来てくれた先妻ちえ子の入院中から、そして独り身になってから、一枝と知り合ってから、日誌のようにメモを書い ていた。

 「アンサンブル」       ------------

絶妙のコンビです。一枝さん(おねえちゃん)と妹さん(ミッシャン)とそのお友だち(せんちゃん)のトリオで喫茶店が動いています。カウンターの向こう 側、狭い調理場での動きに無駄がありません。何時も声を掛け合っていることが衝突を防いでいます。「ありがとう」が頻繁にでます。ランチタイムの 大忙しの中、お互いに注文を大きな声で受け取っています。お客さんの動きをちらっと見て,声を掛けたり、指示を出したりしています。手を休めるこ となく、客からの冗談を気軽に返し、時にはきつくやり返しています。

  製造装置や工具類の配置は適正か,作業者の動線に無駄がないか、原材料や製品などの滞留がないか、安全性が確保されているかなど、私の仕事の性格上、工場 見学の時には、あら探しをする習性がついています。ここでも同じように意地悪く観察しますが,口を出せるような改善点は見いだせません。長年にわたる知恵の結集です。そして、心を通い合わせているから出来るのです。

 プライベート部分を全く持ち込んでいない雰囲気作りのお店も素晴らしいのです。このトリオのアンサンブルの見事さは、客席にいる質の高い聴衆や 観衆に支えられているのです。お客さんと一体となりながら仕事を楽しんでいるに違いありません。                                

----------(2002/1/12)

 私が大学を卒業した昭和30年はまだ就職難の時代だった。就職したのは伸銅業の小さな企業だった。ここに一年間身を置いたことから、中小企業を 見ると、その業界での立ち位置や経営状態を評価する習性が身についていた。その後の高知県産業振興センターの仕事の準備だったように思える。喫茶 ともだちの経営状況は数回の訪問で、把握できたのである。客席数、コーヒーと定食の利益率、三人の労働時間、明日の主食の臨機応変な決め方、馴染 み客への対応、一言さんへの接し方、家賃やリース料、生ごみの出し方などなどが変数である。決算書を見たわけではないのに、最盛期の、そして現時点の年商や純益を当てしまったようである。コンビニのない1990年代後半までの外食(喫茶店)か ら、コンビニの中食へと変化し、喫茶店の売上減や廃業増が続いたのである。馴染みのお客さんと共に、経営側や従業員も高齢化したことによる閉店で ある。県内の商店街の宿命かも知れない。

 

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp 〒718-0054 高知県香美市土佐山田町植718

Tel 0887-52-5154、携帯 090-3461-6571 

 

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