Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

議論を喚び起す試算の公表

2011-08-26 | 文化一般
ドイツ第二公共放送ZDFは、テプコが津波試算から「津波に耐えられないことを承知していた」と発覚当日の22時のニュース番組(リンクのアーカイヴ23分7秒から)で伝えた。恐らく、日本のニュースショーに時差分だけ遅れて伝えたことになるのだろう。私がここで同じニュースについてアップロードするのと変わらない早さである。

あらかじめ予定されていたVIDEOでは写真ジャーナリスト小原一真が作業員として福一で撮影した話と、抜き取り検査だけで汚染された食料品が市場に出回っていることなどを伝えた。

津波試算における同事案では、統合記者会見でも、保安院とテプコ間における責任のなすりあい状態となっており、テプコが事故責任を免れないのは当然であるが、監督官庁の刑事責任を何処まで問えるかが世界的にも注目されている。

もっと興味深い試算が公表された。キャリフォルニアのエアロゾールの研究家が、その大気中の変化で福島原発における中性子の発生量を試算したものである。空気中の微粒子量などを日頃から計測していて、同地で計測した三月二十二日からの硫黄35の変化が、福島の高温の炉内へ注水した海水の水蒸気のクロール35が中性子を受け取り、硫黄35となっていることを示しているのである。

それが風に乗って、一週間以上掛けて届いていたようで、通常ならばアルゴン40が高層で紫外線に晒されることで硫黄35となるようだが、それを常時観測していたキャリフォルニア大サンディエゴ校のマーク・シィーメンスらの研究グループはその含有量の突然の上昇を確認した。

そして、協力した核施設の専門家は、その硫黄35は注水した海水のみに由来するものではなくて、炉に由来しているものも含んでいると考えており、その通常の四百倍以上の硫黄35の発生を福島の炉に当て嵌めると、少なくとも平方メートルあたり四億の中性子が発生していたことになるというのである。これが何を意味するかといえば、ミュンヘンの中性子実験炉FRM-IIの七倍にも及ぶ発生量という。一体、炉に何が起こっていたのだろうか?計算好きのエンジニアーに推測願いたい。

というように、通常は正確な試算であれば喜んで公開するのが常で、それが議論されてこそ初めてその価値を持つのは学術的にも当然なのである。しかし、テプコや原子力むら、日本政府や行政府それに日本人は議論を望まない。なぜならば、権威や権力を持ったエスタブリッシュ層がそれによる民主化を嫌うからである。それによって、政治や社会だけでなく学術的にも甚だしい遅れを顕著にしているのに気が付くエリート層も殆ど存在しないことになっている。



参照:
heute journal vom 24.8.2011, Nicola Albrecht, ZDF
Strahlende Aerosole, Horst Rademacher, FAZ vom 24.8.2011
Evidence of neutron leakage at the Fukushima nuclear plant from measurements of radioactive 35S in California (PNAS)
Days Japan 9月号 (eirene’s memories)
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