股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ミッシング

2024年05月19日 23時43分20秒 | 映画評論マ行

製作年:2024年
製作国:日本
日本公開:2024年5月17日
監督:吉田恵輔
出演:石原さとみ,中村倫也,青木崇高,森優作,有田麗未,小野花梨

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主演:石原さとみ×監督・脚本:𠮷田恵輔 × 企画:スターサンズ。マスメディアやSNSに溢れかえる情報という名の「人間の本音」。狂い切った世の中を斬る、衝撃の社会派エンタ...

 


沙織里(石原さとみ)の娘・美羽(有田麗未)が失踪して3か月。沙織里は世間が事件への関心を失っていくことに焦り、夫の豊(青木崇高)との間にも溝ができ、二人は言い争うことが増えていた。そんな中、美羽の失踪時に沙織里がアイドルのライブに行っていたことが露見し、彼女はインターネット上で誹謗中傷を受けるようになる。
『ヒメアノ~ル』『BLUE/ブルー』などの吉田恵輔監督がドラマ「アンナチュラル」などの石原さとみを主演に迎えたヒューマンドラマ。失踪した娘を捜す母親が焦りや怒り、夫婦間の溝、インターネット上での誹謗中傷などにより心をむしばまれていく。青木崇高や森優作、有田麗未などが共演する。

吉田恵輔監督の最新作。吉田恵輔監督の作品が本当に好きだ。本作を観て改めて思った。
予想以上に重い話でした。行方不明になった娘を捜す両親の姿を描いた本作。夫婦の苦悩だけでなく、マスコミとの関わり、ネットの誹謗中傷、事件の風化など、映画を観ながら複雑な感情になりました。ここ数年で実際に起きた行方不明事件を思い出し、帰りを待つ家族はこんな辛い想いをしているのかと思うと胸が苦しくなります。石原さとみの演技力の高さを見せつけられました。警察署の中で泣き叫ぶシーンが特に印象的というか凄まじい。そして苦しくも冷静さを保とうとする豊を演じた青木崇高もまた上手い。
誰が悪いのか…。もちろん犯人が悪いのだけど、自分のせいにして自分を傷付けたり、身近な人のせいにしたりして他人の傷付けたり…誰を責めても変わらないのに誰かを責めたくなる気持ちが沙織里から痛いほど伝わってきました。路上で喧嘩する男女、スーパーでヤクルト1000が売り切れていることに激怒する主婦。一見すると事件と全く関係ないのだけど、世の中はこれ程までに怒りや憎しみに満ち溢れているのかと考えると悲しくなってくる。
事件を取り上げてくれていたマスコミも、時間が経てば取り上げてくれなくなる。いたずら電話があったり、SNSでは夫婦への誹謗中傷ばかり。冷酷な人間ばかりの世の中に見えても、同じ苦しみを抱える弟であったり、見舞金を集める漁業組合の人たち、農家や印刷会社の人たち、ボランティアで集まってくれる人たちなど、優しい人たちはたくさんいることに、観ているこちらまで心が救われた感じがしました。
辛過ぎるシーンが続く内容でしたが、絶望の中に差す僅かな希望を感じられるシーンが唯一救われた瞬間でした。この作品がキッカケで少しでも世間が良い方向に変わって欲しい。

この作品の評価・・・・★★★★★★★★☆☆(満点は★10)
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