股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ファーザー

2021年05月17日 21時28分16秒 | 映画評論ハ行

製作年:2020年
製作国:イギリス/フランス
日本公開:2021年5月14日
監督:フロリアン・ゼレール
出演:アンソニー・ホプキンス,オリヴィア・コールマン,マーク・ゲイティス
映画『ファーザー』オフィシャルサイト

ロンドンで独りで暮らす81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、少しずつ記憶が曖昧になってきていたが、娘のアン(オリヴィア・コールマン)が頼んだ介護人を断る。そんな折、アンが新しい恋人とパリで暮らすと言い出して彼はぼう然とする。だがさらに、アンと結婚して10年になるという見知らぬ男がアンソニーの自宅に突然現れたことで、彼の混乱は深まる。
世界中で上演された舞台を映画化したヒューマンドラマ。年老いた父親が認知症を患い、次第に自分自身や家族のことも分からなくなり、記憶や時間が混乱していく。原作を手掛けたフロリアン・ゼレールが監督と脚本を担当し、『羊たちの沈黙』などのアンソニー・ホプキンスが父親、『女王陛下のお気に入り』などのオリヴィア・コールマンが娘を演じ、『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』などのマーク・ゲイティスや、『ビバリウム』などのイモージェン・プーツらが共演する。

認知症を患い、記憶を無くしていく主人公の姿を描いた本作。今年度のアカデミー最優秀主演男優賞のアンソニー・ホプキンスの演技が素晴らしかった。認知症、そして老いという現実。他人事とは思えないような気持になり、切なくもあり悲しくもあり。アンソニーにとっては娘と思っていた人物が急に別人になったり、見えてた人が見えなくなったり、自分の家だと思っていたのに違っていたり…。サスペンスホラー映画のような演出に「これはもしかしてサスペンス映画か!?」と思ってしまったが、実際に認知症の人にとっては、これが日常的に起きているのかもしれない。自分の目に映るものを信じていいのか分からない。そうだとしたら恐ろしいし切ない。観ているこちらも、何が正しいのか分からないまま物語は進んでいきます。まるで認知症の疑似体験をしているような感覚。そして家族の視点からも描かれているのも良い。双方の苦悩が丁寧に描かれています。これこそ監督の意図なのだろう。観終わったあとで胸が苦しくなり、少し落ち込みました。でも他人事じゃない話。自分の親がもしも認知症になったらこの映画を思い出します。傍に寄り添いたい。観て良かった映画でした。
子供に戻ってしまって「ママ…ママ…」と泣くアンソニーの姿がまた切ない。アンソニー・ホプキンスってやっぱり凄い俳優なんだな。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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