股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

この世界の片隅に

2017年02月12日 22時47分31秒 | 映画評論カ行
製作年:2016年
製作国:日本
日本公開:2016年11月12日
監督:片渕須直
声の出演:のん,細谷佳正,稲葉菜月,尾身美詞,小野大輔,潘めぐみ,岩井七世
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1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。
「長い道」「夕凪の街 桜の国」などで知られる、こうの史代のコミックをアニメ化したドラマ。戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ少女が戦禍の激しくなる中で懸命に生きていこうとする姿を追い掛ける。監督にテレビアニメ「BLACK LAGOON」シリーズや『マイマイ新子と千年の魔法』などの片渕須直、アニメーション制作にテレビアニメ「坂道のアポロン」や「てーきゅう」シリーズなどのMAPPAが担当。市井の生活を壊していく戦争の恐ろしさを痛感する。

異例のロングヒットをしている本作。拡大公開で近所の映画館でも上映開始となったので公開からだいぶ経ってますが観てきました。
戦時中の広島県呉市を舞台に、懸命に生きる一人の女性の姿を描いた本作。戦争映画とは違う。原爆の悲惨さを描いているテーマにしているわけでもない。たしかに戦争の描写であったり原爆投下のシーンもあります。しかし、あくまで主役のすずの視点で描かれているので観ていて共感できる点が多いです。戦争の悲惨さ、原爆の恐怖を感じつつも、この作品を観て一番に思うのは人と人との繋がり。家族、親戚、友達、恋人、見ず知らずの人…人は一人では生きていけない。お互いに支え合ってこそ困難や悲しみを乗り越えて生きていけるのだと感じました。すずは孤独や葛藤を抱えながらも真っ直ぐに笑顔を絶やさずに生きぬいていく。映画全体に描かれる淡いタッチの描写は優しさを感じつつも、どこか寂しげにも見えました。すずの懸命に生きようとする姿に最後は涙が止まりせんでした。他の登場人物たちも1人1人が淡々と過ごす日々の中で真っ直ぐ前を向いていて共感できます。暗い話の中にも温かくて明るい感情になれる不思議な映画でした。市民の生活を丁寧に描いているからこそ戦争の悲惨さが伝わってきます。あの時代…あの日があったから今僕らは幸せに生活できている。今を平和に生きられていることが、どれほど幸せなことなのか考えさせられました。それを決して忘れてはいけませんね。こんなにも自然と涙が流れた作品は久しぶりです。
のんの演技力は素晴らしかった!!エンドロールも話は続いているので席を立たないように!

この作品の評価・・・・★★★★★★★★★☆(満点は★10)
コメント
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