時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

紅葉狩り:箱根行き

2006年11月27日 | 午後のティールーム
  晩秋の一日、中国上海からの客人あり。箱根へ紅葉狩りに誘う。新宿から小田急特急で宮ノ下まで行き、登山鉄道で強羅へと上って行く。紅葉は今が見ごろとのことで、電車は中高年女性グループを中心に満席状態。強羅には共通の友人のS先生が都会の喧騒を離れて隠遁生活?を送っておられる。私鉄のPRでは紅葉は中旬・下旬が見ごろということであったが、紅葉事情に詳しいS先生によると、箱根の紅葉は赤色が少なく、さほどお勧めではないとのこと。

  確かに色彩の美しさという点では、いまひとつという感があるが、東京から2時間で標高700メートル、俗塵から離れた静かな環境は素晴らしい。強羅からケーブルカーでさらに早雲山まで上ると、晴天に恵まれ絶景であった。ケーブルカーの客も絶景に呑まれ、しばし声がない。皆、圧倒されたように無言でカメラのシャッターを押していた。客人のC先生ともに、来てよかったと思う。

  このあたり、バブル期に雨後の筍のように乱立していた企業の保養所が、合理化のためか居心地のよさそうなホテル・旅館に転換しているものが多い。この温泉だけは、火山国日本の生んだ独特の雰囲気であり、都会の生活で疲れた心身の癒しには欠かせない素晴らしいものだ。これまで訪れたいくつかの国でも温泉を経験したが、医療施設としての活用が多く、情緒に欠ける。日本の温泉の素晴らしさを再認識する。

  都会の生活、駆け足で走っているような人生。渦中にある時は気づかないが、距離を置いて見ると、その異様さに気づく。C先生によると、上海の変化はすさまじいらしい。グローバル化の怒涛のような流れが人々を駆り立て、押し流している。誰もそれを止めることができない。静かな山中でティータイムを楽しみながら尽きない話をしていると、「下界」の喧騒は狂気じみて見えてくる。
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