17世紀・朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された“怪奇の死”にまつわる謎を題材に、盲目の目撃者が謎めいた死の真相を暴くため奔走する姿を予測不可能な展開で緊張感たっぷりに描き、韓国で大ヒットを記録したサスペンススリラー。
盲目の天才鍼医ギョンスは病の弟を救うため、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。ある夜、ギョンスは王の子の死を“目撃”してしまったことで、おぞましい真実に直面する事態に。追われる身となった彼は、朝日が昇るまでという限られた時間のなか、謎を暴くため闇を駆けるが……。
「毒戦 BELIEVER」のリュ・ジュンヨルが主人公ギョンスを演じ、「コンフィデンシャル」シリーズのユ・ヘジンが共演。2023年・第59回大鐘賞映画祭で新人監督賞・脚本賞・編集賞、第44回青龍映画賞で新人監督賞・撮影照明賞・編集賞を受賞するなど、同年の韓国国内映画賞で最多受賞を記録した。(映画.comより)
<2024年2月12日 劇場鑑賞>
怖かった!でも見応えたっぷり。韓国の映画って、本当によくできてますね。ドラマを見ないので、韓国の宮廷物に詳しくないのですが、史実をうまくアレンジしてあって、極上のエンタメになっていたと思います。
主人公は鍼医のギョンス。盲目ゆえ他の感覚や記憶が研ぎ澄まされ、聴覚や感触から得る情報を元に、目の見える鍼師より的確な判断で的確な位置に鍼を刺すことができます。また、貧乏な出自と病弱な弟の存在ゆえ、仕事ぶりも真面目で、そのうち徐々に取り立ててもらえるようになります。やがて、その確かな腕と、盲目であるとの理由から、王の側室の診察も任されることにもなります。真面目なギョンスは、仕事に励んでいました。しかし・・・
<ここからネタバレ>
実はギョンスは、暗がりでは少し見えたのです。明るいところでは何も見えません。そのため、昼間は盲目で通せたのですが、夜になるとある程度の字を書いたり(きれいには書けない)、ぼんやりと人が見えたりしたのです。そして事件は起きます。清に人質として囚われていた王の長男が帰って来て、父親である王と、幼い息子との再会を果たしました。これからは幸せに暮らせると思いきや、王と息子との価値観の差が露わになるのです。いや、ひょっとしたら息子が帰って来る前から、王は警戒していたのかもしれません。ともかく、起きるべくして起きてしまうのです。殺人事件が。そして夜の密室で起きた殺人事件、ギョンスはあらゆるものを見てしまいます。
<ネタバレ終わり>
朝鮮は小国ゆえ、それまでは明に従い、明が滅んで清になったらなったで従属を強いられました。でも、兵力でかなうはずはなく、従属するしかなかったのです。いろいろ屈折した感情があったんでしょうね。もっとも、世界のどの国であっても、権力争い・跡目争いは絶え間なく起きてきたのでしょうから、話としてはよくあるものなのかもしれません。
主人公のギョンスを演じるリュ・ジュンヨルが出色でした。うまいですね、本当に。ハラハラ・ドキドキでした。おすすめです~。