田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

クリード 過去の逆襲(Creed III)

2023年05月30日 18時46分40秒 | 日記

The Official ‘Creed III” Movie Trailer Is Here: Watch

PASSATEMPO | CREED III CREED III

Creed III - Creed III (2023) - Film - CineMagia.ro

 「ロッキー」シリーズを継承したボクシング映画「クリード」のシリーズ第3作。マイケル・B・ジョーダンが前2作に続いて主演を務め、本作では自ら長編初メガホンをとった。

かつてロッキーが死闘を繰り広げた親友アポロの息子アドニス・クリード。ロッキーの魂を引き継ぎ世界チャンピオンとなった彼の前に、刑務所から出所した幼なじみのデイムが現れる。2人はかつて家族同然の仲間であったが、デイムはクリードの少年時代のある過ちによって18年間の服役を強いられ、復讐心に燃えていた。クリードは封印してきた自らの過去に決着をつけるべく、デイムとの戦いに向けて猛トレーニングを開始する。

クリードの幼なじみで最強の敵となるデイムを「アントマン&ワスプ クアントマニア」のジョナサン・メジャース、クリードの妻ビアンカを前2作に続いてテッサ・トンプソンが演じる。(映画.comより)

 

 

<2023年5月27日 劇場鑑賞>

 「クリード」も3作目を迎えましたね。当たったからって何でもかんでも続編を作ればいいってもんじゃないぞ・・・などと思いながらも、やっぱり毎回見てしまう私。実際、マイケル・B・ジョーダンは実力のある俳優だし、などと自分に言い訳しています(笑)。しかし、今回は「人気作の続編」などと気楽には見れない作品でした。バックグラウンドが生々しすぎる。主人公のアドニスとその幼馴染デイムの生い立ちが悲し過ぎました。

 簡単に振り返ると、アドニスはアポロの息子でしたが、母は彼の愛人でした。アポロはボクサーとして成功していたのでお金に困っていなかったはずなのですが、あんまりアドニスの実母に構わなかったようで、母が亡くなった後アドニスは、親戚をたらい回しにされた挙句、施設に収容されて荒れた生活を送っていたのでした。そこをアポロの妻メアリー・アンが引き取り、アポロ亡き後もそれなりの生活を保証し、またそれに感謝するアドニスも賢く大学を出てホワイトカラーとなっていたのでした。そして今では、最後の試合を勝利で飾って引退し、若手の育成に精を出していました。

 そこに現れたのが、施設時代に仲間だったデイムです。実はアドニスは彼に借りがあるのでした。

 

<ここからネタバレ>

 施設にいたころ、保護者だったレオンには、兄貴分だったデイムと共に、言い表せないほどのひどい虐待を受けていました。養母と裕福に暮らすようになった後でも、デイムとの関係は続き、アドニスは彼の賭けボクシングのセコンドをしていました。そんなある夜、コンビニ(?)の前でレオンに遭遇したアドニスは、思わず殴りかかってしまいます。当然レオンの仲間たちがアドニスを取り囲みます。そこへ銃を持ったデイムが現れ、彼らを制止させます。すると早くも警察官たちがやって来て「銃を捨てなさい!」とデイムに警告。小さかった(小4くらい?)アドニスは黙ってそのまま逃げ出してしまい、デイムは黙って一人で罪をかぶり服役したのです。そして、後ろめたかったアドニスは、デイムを訪ねていくこともなかったのです。さらに悪いことに、アドニスの養母は、息子が悪い仲間と再び付き合うことがないようにと、デイムからの手紙を一切見せずに来たのでした。デイムは「見捨てられた」と思ったかもしれません。

 出所してきたデイムは、アドニスを訪ねます。そして、刑務所でも充分鍛えてきたからボクシングの試合をさせてくれと頼むのです。ブランクがあるうえ、若くないデイムの無茶な願いは、誰もが一蹴するものでしたが、アドニスは尽力するのです。またデイムも、粗削りとは言え、本当に強い。なかなかに見ごたえのある場面が続きます。

 現実的には、銃を構えただけで18年も食らうのか、とか(余罪があったのかもしれんが)、いくら刑務所で鍛えてたからって、いきなり現実の試合に出れるのか、とか、引っかかるところも無きにしもあらずですが、それでも、すべてが終わった後、お互いに「おまえは悪くない」と思いやるところは、辛い育ちを共有したもの同士の心からのことばで、心に響くものがありました。

 個人的には、養母は手紙を見せるべきだったと思うし、デイムの裏切り(ドラゴを襲ったのが仲間だったこと。ドラゴが負傷したことで、デイムは大きな試合に出られた)を指摘した母が正しかったような描かれ方でしたが、私はそうは思いませんでした。きちんとデイムの気持ちを伝えていれば、アドニスも放置せずに面会に行ったかもしれませんし、そこで謝ることができてれば、デイムも彼を許し、不正をしなかったかもしれません。まぁ起きなかったことは想像なので、あくまで「そうかもしれない」ということなのですが。

 

<ネタバレ終わり>

 ドラゴが出ていると思わなかったので、その名前が出てきた時は驚きました。息子の顔は覚えてないので、ドルフ・ラングレンの顔しか出て来なかったのですが。仲良くやってたのですね。みんな、さすがです。

 アドニスの耳の不自由な娘が、ボクシングに興味があって(そして才能もあるような)描かれ方をしていましたが、まさか娘で続編ってこと、ないですよね。

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ワイルド・スピード ファイヤーブースト(Fast X)

2023年05月28日 15時44分35秒 | 日記

Fast Xは最後の予告編ですべて懐かしく始まります

How Long Is The 'Fast X' Movie?

Movie Review: 'Fast X' - Catholic Review

 2001年の第1作から数えて22年、メガヒットシリーズへと成長した人気カーアクション「ワイルド・スピード」のシリーズ第10作。

パートナーのレティと息子ブライアンと3人で静かに暮らしていたドミニク。しかし、そんな彼の前に、かつてブラジルで倒した麻薬王レイエスの息子ダンテが現れる。家族も未来も奪われたダンテは、12年もの間、復讐の炎を燃やし続けていたのだ。ダンテの陰謀により、ドミニクと仲間たち“ファミリー”の仲は引き裂かれ、散り散りになってしまう。さらにダンテは、ドミニクからすべてを奪うため、彼の愛するものへと矛先を向ける。

「トランスポーター」シリーズのルイ・ルテリエ監督がメガホンを取り、ドミニク役のビン・ディーゼルをはじめ、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジスらおなじみのキャストが集結。また、新たな顔ぶれとして、ファミリーを次々と襲うダンテを演じるジェイソン・モモアや、オスカー女優のブリー・ラーソンが参戦した。(映画.comより)

 

 

<2023年5月27日 劇場鑑賞>

 このシリーズ大好きです。自分では絶対に手に入らない、または手に入ったとしても上手に運転できないスポーツカー(表現古くてごめんなさい)が滑走する姿、そして、お約束のピチピチホットパンツの美人による旗振り一般道レース、そしてなにより義理人情に厚いヴィン・ディーゼルとそのファミリーたちの熱い絆。これに心ふるえないはずはありません。ついでに言うと、何作目だったかもう忘れてしまいましたが、そこにトラックが来るかどうかはわからなかったのに、体を張って飛び降り、レティを守ったヴィンちゃんの変わることのない愛情。「俺たちは一緒に育ったんだ」と言って彼女を離さなかった、あの場面に感動しない女性はいないはずです(いたらごめんなさい)。個人的には、自分自身はチビなので、もし生まれ変われるのなら、是非あのピチピチホットパンツが似合うモデル体型の女性にと願っています。

 さて、映画です。このシリーズは、数が増えるたびに、○○の弟とか、妹とか、どんどん親族が増えて、みんな本当によくつながってるなぁと思うのですが、今回はヴィンちゃんの息子の母親、つまり元FBIの女性で一時レティが死んだとされていた時期にヴィンちゃんと住んでいた女性ね、彼女の妹が登場します。しかも凄腕ドライバー。そしてもう一人、カート・ラッセル演じるノーバディの娘が登場します。これが、ミス・マーベル!ブリー・ラーソンですね。もう出てきた時から強そうです。

 今回は、過去にFBIとつるんで(頼まれて?)やっつけた麻薬王の息子ダンテに復讐されるわけですが、まぁそれはそうです。こちらがどれだけ正義でも、それに伴う犠牲は必ず発生するわけで、今回は麻薬王なので身から出た錆かもしれませんが、過去に「アベンジャーズ」でも、アイアンマンやその他のヒーローに恨みを持つ一般人は登場していましたね。戦いに巻き込まれ、言われなく息子を失った母親の言い分はもっともでした。

 モモア演じるダンテは、さすがの体躯で、見かけもヴィンちゃんに引けはとりません(でも超かわいかった)。最初は「父親を殺され、破産して天涯孤独だった俺の気持ちがわかるか?」などとヴィンちゃんに吹っ掛けていますが、その割には次々と武器を繰り出し「破産してたって言ってたよね?」って感じでした(笑)。その謎はラスト近くで明らかになりますが、まぁそれだけではなくて、麻薬なんかを売っていたのかもしれませんね、描かれてませんでしたけど。

 本当にオールスターの映画で、今までのファミリーはヘレン・ミレンに至るまでくまなく出てましたし、リタ・モレノまで!彼女、今までの作品のどこかに出てましたか?出てたんでしょうね。そんな気もします。そして、なぜか南極を歩いている(いや、セロンの本拠地だったか)ミシェル・ロドリゲスとシャーリーズ・セロンを迎えるのは、あっと驚く美人アクション女優!彼女も参戦するのですね。あと1作ありますものね。シャーリーズの妹だったりして(笑)。

 ともかく、相変わらず荒唐無稽ながらも、それはお約束。「そう来なくっちゃ」の連続で、安心して見ていられる仕上がりでした。かなりあり得ないとは思いましたけどね(笑)。最終作が楽しみです。そして、いつか終わるのは仕方がないとはわかっていても、やっぱりあと1作かと思うと寂しいです。まさか、主人公が死んで終わりなんて、ないよね。ハッピーエンドで終わらせてくださいね、製作陣のみなさん。

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ブラフマーストラ(Brahmastra Part One: Shiva)

2023年05月26日 16時25分55秒 | 日記

竹美映画評63 ボリウッドのランビール・カプール問題『Brahmastra: Part one SHIVA 』(インド、2022年)|竹美(タケミ・ガ・ミエタラ・オワリ)

Brahmastra Part One: Shiva (2022)

Brahmastra Part One: Shiva' Powers to $28 Million Globally - Variety

 インド古代史をモチーフに、現代インドで繰り広げられる神々の物語を壮大なスケールで描いたファンタジーアクション。

ムンバイで暮らす天涯孤独の青年シヴァは、見知らぬ科学者が何者かに襲われる場面を幻視する。その理由を調べはじめた彼は、古代ヴェーダの時代から秘密裏に受け継がれてきた神々の武器「アストラ」と、その中でも最強といわれる「ブラフマーストラ」の存在を知る。ブラフマーストラが目覚めれば、世界は地獄と化すという。そしてシヴァは、それらの武器を守護する役割を務めてきた人物の息子であり、偉大なる火の力を宿す救世主だった。

「SANJU サンジュ」のランビール・カプールが主人公シヴァを演じ、「RRR」のアーリアー・バット、ボリウッドの重鎮アミターブ・バッチャン、「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」のシャー・ルク・カーンが共演。インド映画として初めて全米映画ランキング初登場第2位を記録した。(映画.comより)

 

 

<2023年5月21日 劇場鑑賞>

 和歌山県に住んでいながら、三宮のキノシネマまで行って来ました。もちろん、和歌山では上映されていないということもあるのですが、近所で「ゴッホ展」が開催されていたので、両方回りたかったからです。それにしてもゴッホ展はどえらい人だった。コロナも真っ青(笑)。インド映画はガラガラでした。ここの劇場は、採算度外視でインド映画を積極的に上映してくれているように思います。これからも覚えておきたい映画館です。

 さてこの映画、日本では実は「つまらない」と評判でした。それであんまり期待していなかったのですが、なんのなんの、3時間があっという間でした。おもしろかった!3部作らしいので、話が進むにつれて、明らかになることもあるでしょう。今から楽しみです。

 主人公のシヴァは、父親を知らない上、赤ん坊の頃に火事で母親を失い、天涯孤独で大きくなりました。しかしながら、境遇の似た子供同士が助け合って育ち、それなりに仲間もあり、助けてくれる大人もいて、と言う状況で大きくなったため、自分の人生を悲観せず、今も同じような境遇の子供たちを集めて育てながら、DJとして活躍しています。そんな中、自分がDJを務めるディスコで美人に一目惚れ。これがアーリア・バットさんですね。最近では「RRR」のヒロインを演じてました。高嶺の花だった彼女と徐々に仲良くなり始めたころ、シヴァは突然意識が飛んで幻覚を見たりするようになります。少し前から兆候はあったのですが、ここに来て頻繁になったのです。わけがわからず混乱するシヴァですが、やがて自分は特殊な能力を持つことを知るようになります。「火」を操る能力です。この辺は、ちょっと「✕ーメン」ですね。彼は特訓するため、ある島(集落?)へやって来て、バッチャン・父の指導を受けるのですが、映画を見ている限りでは、どうやら自ら特殊能力を持つシヴァは特別で、バッチャンたち他の能力者は、神懸かりの”武器”を持つことによってその能力を発揮するようで、その操る能力を修行している感じです。極端な話、上手に操ることができれば誰でもいい、みたいな感じでしょうか(その武器を取った敵がそのまま使えたりするし)。そして、そもそも最強の「ブラフマーストラ」を目覚めさせた神たちもまた、シヴァのように自ら能力を有していたようです。

 ブラフマーストラは、3つに割られてそれぞれ”聖者”が持っていました。それを奪おうとする”神たち”との戦いです。その”聖者”の一人がシャー・ルク・カーンなのですが、なぜ彼らが聖者として選ばれているのかなど、謎がたくさんあるので、それはおいおい明らかになるのだろうと思っています。

 個人的には、ここで必然的に出会ったアーリアさんにも、何か特殊な能力があるのだろうと推測していたのですが、そんなことはなかったです。もちろん、これから明らかになるのかもしれませんが。

 なにはともあれ、続編が楽しみです。近くに来ますように!

 

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アダマン号に乗って(Sur l’Adamant)

2023年05月25日 23時04分23秒 | 日記

Sur L'Adamant

Nicolas Philibert :

DOCU. Embarquement sur l'Adamant, voyage en psychiatrie - Sciences et Avenir

 「ぼくの好きな先生」「人生、ただいま修行中」などで知られるフランスのドキュメンタリー監督ニコラ・フィリベールが、パリのセーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船「アダマン号」にカメラを向けたドキュメンタリー。

パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船「アダマン号」は、精神疾患のある人々を迎え入れ、文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供し、社会と再びつながりを持てるようサポートしている、ユニークなデイケアセンターだ。そこでは自主性が重んじられ、絵画や音楽、詩などを通じて自らを表現することで患者たちは癒しを見いだしていく。そして、そこで働く看護師や職員らは、患者たちに寄り添い続ける。誰にとっても生き生きと魅力的なアダマン号という場所と、そこにやってくる人々の姿を、フィリベール監督によるカメラが優しいまなざしで見つめる。

2023年・第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、最高賞の金熊賞を受賞。2003年の「パリ・ルーヴル美術館の秘密」以降のフィリベール作品を日本で配給してきたロングライドが共同製作。(映画.comより)

 

 

<2023年5月20日 劇場鑑賞>

 セーヌ川に浮かぶ瀟洒な船。窓の開きかたもおしゃれです。誰が設計したのかな。本当に、知らなかったら観光名所かな?と思ってしまうほどのおしゃれな船、それがアダマン号です。映画では、精神疾患のある人を自由に受け入れる、ということになっていますが、基本的に誰でも出入り自由、無料なんだそうです。それって、すごいよね。誰かの紹介がなくても勝手に入れるってことだもんね。でも、だからここへ行けばいいっていう情報を得られている時点で、患者格差があるのかもしれないけれど。

 中では、みな思い思いに自由に過ごしています。ダンスしている人、本を読んでいる人、ピアノを弾いている人、作曲している人。ただセーヌ川を眺めてボーっとしている人。歌っている人。食事はどうなっているのかな。人数把握できなければ、用意するのは難しいよね(笑)。カフェがあったようだから、自己負担で食べるのかな。

 一日の始まりは、今日の予定を決める話し合いから。みんないろいろな意見を出しています。そのすべてをノートに取っている人も。映画は、外の意志を加えることなく、ただあるがままの日常を淡々と映していくので、ややもすれば退屈な感じがするのも事実。本当に患者さんたち(?)が、一日を過ごしているだけなんです。こういうフリーな施設、日本にもあるのかな。日本のように皆保険制度がないのに、費用はどこから来てるのかな。案外、フランスでは福祉と名がつけばどこも無料なのかな。

 デイケア施設なので、いわゆる”入院”のように寝泊まりすることはないようで、みんな朝から通って来るみたいです。なるほどね。こういうところにフラっと行ければいいかもね。時々働いて、時々ここへ来る、みたいな。設定の細かいことはわからなかったけれど、あれば行ってみたいと思いました。

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三姉妹( 세자매)

2023年05月23日 14時28分55秒 | 日記

영화 '세 자매'의 모든 것 '세자매 이야기'

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 ドラマ「愛の不時着」のキム・ソニョン、「オアシス」のムン・ソリ、「ベテラン」のチャン・ユンジュが三姉妹を演じ、第42回青龍映画祭をはじめとする韓国の主要映画祭で多数の女優賞を受賞した人間ドラマ。ソウルに暮らす三姉妹。花屋を営みながら元夫の借金を返済している長女ヒスクは、娘に疎まれながらも大丈夫なふりをして毎日をやり過ごしている。高級マンションで家族と暮らす次女ミヨンは、模範的な信徒として熱心に教会に通い、聖歌隊の指揮者も務めている。そんな彼女の完璧な日常が、次第にほころびを見せはじめる。劇作家の三女ミオクはスランプに陥って自暴自棄になり、酒浸りの日々を送っている。父の誕生日を祝うため久々に集まった三姉妹は、そこで幼少期の心の傷と向き合うことになり、それぞれもがき苦しみながらも希望を見いだしていく。(映画.comより)

 

 

<2023年5月19日 録画鑑賞>

 これは公開当時、都会でしかやってなくて逃してしまった作品。気になっていたので、wowowに来てから録画してありました。しかし・・・想像以上にエグい作品でした。トラウマになるかと思うほど。

 主人公は、ムン・ソリ演じるきれいな奥様。仕事も順調なのか裕福で、素敵な夫とともに敬虔なクリスチャンです。牧師様にも目をかけてもらってますし、聖歌隊の指揮者も務めています。子供も男女それぞれ一人ずつ。絵に描いたような幸せな家庭・・・のはずなんです。

 さて、ムン・ソリには姉と妹、さらにその下に弟がいます。今回、クローズアップされるのは表題通り「三姉妹」。みなそれぞれに事情があります。さびれた生花店を経営する長姉は、おとなしい女性なのですが、夫と別れた上、彼の借金まで背負わされ、乱暴な言葉遣いと態度の娘に翻弄され続けています。劇中、元夫とおぼしき男が店にやって来る場面が一度だけあるのですが、「暗い店だなぁ」とか「相変わらずブサイクだな。化粧くらいしろよ」とか信じられない侮言を吐いていきます。「化粧、してるけど」と小さな声でいう長姉。バックグラウンドがまだちゃんと説明されていないタイミングなので、見ている私たちは、あまりの言われ方に面食らいます。でも、彼女自身、いつもオドオドしている感じで、お店をやっているのになぁ、って感じはします。

 そして妹は、小金のある年上の男性と結婚(彼は再婚)していています。自身は、過去に舞台のスクリプトを書いていたようなのですが、今はスランプで、昼間から酒を飲んで寝転がっているような生活。自堕落な生活がそのまま態度にも表れていて、お行儀の悪いことこの上ない。つまらないことを延々ムン・ソリに電話して来たりもするし、スナック菓子ばかり食べてるし。

 

<ここからネタバレ>

 彼女たちの生い立ちが徐々に明らかになります。歪んだ家長制度の元、父親は敬虔な教会の信者だったにもかかわらず、子供たち、特に長姉と末弟には目が開かないほどの暴力を振るっていたのでした。長姉と末弟はよその女に産ませた子供だったので、余計に当たり散らしたのでしょうか。ともかく、あまりの暴力に、小さかった主人公と妹は、手を取り合って近所のお店まで走り、通報してもらえるよう嘆願するのですが、男たちは「自分の父親が逮捕されてもいいのか!なんて娘だ!さっさと家に帰って父さんに謝れ!」と余計に怒鳴り散らす始末。誰も助けてなんてくれません。すごすご家へ帰ると、そこには末弟を抱きしめた長姉、腫れあがった体で動けなくなっている二人が外にいたのでした。小さいながらも言葉を失う主人公。見ている私たちも、思わず目を背けてしまうほどの場面です。なんでここまで子供を殴るんですか。それでどうなるというのですか。お母さんは?近所の人は?あんまりです。「リベラ・メ」と「それだけが、僕の世界」を思い出しました。「リベラ・メ」では、父親の暴力から逃れるために、姉さんは父親と一緒に火に焼かれて亡くなったのでした。弟に「あなただけは幸せに生きなさい」と言って。イ・ビョンホンの「それだけが・・・」も、根っこは父親の暴力でした。

 

<ネタバレ終わり>

 ともかく、父親の誕生日に集まりながらも、立ち直れない傷を抱えて争ってしまった彼女たちと弟、両親。それでも、苦楽を共にした三姉妹ですから、助け合って生きていくしかないし、またそうやって、それぞれが支えとなり得て、前を向くことができるのですね。姉妹っていいな、と思いました。

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