二人の芸術家の出逢いが、「N°5」と「春の祭典」を生み出した。
与え合い、奪い合った、愛と才能。
シャネルを描いた映画が次々封切られたとき、「ココ・シャネル」「ココ・アヴァン・シャネル」と続けて鑑賞した私は、さすがに3つめには食傷し「もぉええわ」と、パスしてしまったのでした。
ストラヴィンスキー役のマッツ・ミケルセンは、「しあわせな孤独」からのファンで(最近はすっかり大作づいていますが、この映画はその前でもあり)、気にはなっていたのでした。
で、今回録り置きしてあったのを見たわけですが、よかった!!これは、食傷せずに見ておくんだった!
シャネル役のアナ・ムグラリスの格好良かったこと。さすがにシャネルのミューズ。カール・ラガーフェルドがデザインしたという、素敵な衣装を見事に着こなし、見惚れるほど美しい。どんな衣装を着ていても素敵だった。それは、例えばおうちにいるときのリラックス・ウェアでもそう。
自分は普通の人なので、もちろん真似することはできないのですが、それでも一生懸命その着こなしを見てしまいました。
また、ストラヴィンスキー一家を住まわせたと言う別荘も、さすがの邸宅。やはり成功した女性というのは、いつの時代もカッコいい。そのたたずまいも、自信に溢れていますものね。
最愛の人、アーサー・”ボーイ”・カペルを亡くしたシャネルは、しかし人には「哀しみのうちにもエレガントだ」と言わしめるほど。
そして、再起を狙う前衛作曲家、ストラヴィンスキーを紹介されるのです。
早くからその才能に注目していた彼女は、支援を申し出ます。もちろん、家族一緒にと。
ロシアからの亡命作家は、才能があるとはいえ、決して楽な生活をしているわけではなく、シャネルの言葉に甘えることになるのです。
そして、才能のぶつかりあい、必然的に起こる感情(愛情)。
この二人の世界を見ていると、むしろ正当な言い分である奥様の嘆きが陳腐に聞こえるほど。本当は、主人公たち二人のほうが不倫なのにね。
そして、やがて大成された「シャネルの5番」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(再演)。まさに、芸術は爆発なんですねぇ~~!。
才能のある人がうらやましい。私も、シャネルのようにスタイリッシュに生きてみたいなぁ。
あ、そうそう。監督がなんと「ドーベルマン」のヤン・クーネン!びっくりしましたね。当時、某映画評論家に(頭を剃り上げているから)「珍念・・・いや、クーネン監督が・・・」と言われていたのを思い出しました(笑)。