田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ロン 僕のポンコツ・ボット(Ron's Gone Wrong)

2021年10月31日 15時24分07秒 | 日記

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Ron's Gone Wrong - GQT Movies

Ron's Gone Wrong (2021)

 友達が欲しい少年と不良品の最新式ロボットが“本当の友情”を探して繰り広げる冒険を描いた長編アニメーション。ネット、写真、通話、テレビ、ゲームなどあらゆるデジタル機能に加えて乗り物としても使用でき、所有者の友達まで見つけ出してくれる最新式ロボット型デバイス「Bボット」。しかし孤独な少年バーニーのもとに届いたのは、オンラインにすら接続できない不良品Bボットのロンだった。友達の探し方もわからず空回りしてばかりのロンに、バーニーは“友だちの条件”を説明し、なんとか友だちを探してもらおうとするが……。(映画.comより)

 

 

<2021年10月17日 劇場鑑賞>

 

<ややネタバレあり>

 これは、おもしろかった!実はそんなに期待していなくて、最初に見た映画とうまくつながる上映時間だから「ま、いいか」くらいに思ってました。しかし!私はラッキーだった。おもしろかったですねぇ。

 みんなが「友人」として一人一台の「Bボット」を持っている時代。これが優れモノで、なんでも持ち主の期待に応えてくれる。「セルフィー!」と言うだけで瞬時に撮ってくれてシャッターチャンスを逃さないし、気に入ったものをSNSにアップする、「いいね!」の数をカウントして教えてくれる、ゲームもできる、とにかく何から何までやってくれます。やらないのは、体を拭くとか、食べさせるとかの介護や子育てくらいか(笑)。危ういですね、本当に見ていてひやひやしました。こんなの、依存症になるに決まっています。スマホと違って動くし。でも、賢いデバイスですから、きちんと「ポリティカル・コレクト」にプログラムされているんですね、当たり前ですけど。例えば、人を傷つけないとか。

 で、せっかくこんなに優秀な友人をみんな持ってるのに、そのBボットにも優劣があって子供たちの世界に、ちゃんとヒエラルキーが存在するのですね。だからもちろん、いじめっ子といじめられっ子も厳然と存在します。じゃ、現在とな~んにも変わらないじゃないですか。なにかの解決法じゃなかったんですか?腑に落ちない展開。で、主人公のバーニーは、お母さんが亡くなっていて、仕事に忙しいお父さんと昔ながらの価値観のおばあちゃんとで暮らしていたため、最後までBボットを持っていなかったわけです。それゆえ、いじめられまくってました。でも、お誕生日会に誰も友人が来なかったとき、お父さんは初めて息子が欲しがっていたものを悟るのです。

 でも、新品は3か月待ち。半導体の不足でしょうか。切羽詰まったお父さんは、廃品を拾ってくるわけです。そうとは知らないバーニーは大喜び。でも、ちっともみんなのBボットみたいに動かない。こちらの言うことも全然理解してくれない。なんにもできないBボットに、却って笑いものになるだけでした。いじめられっ子のバーニーは、逆らうこともできずにすごすごと帰ろうとしたその時、ポンコツ・ボット(ロン)は果敢にいじめっ子に向かって行ったのです!パシッ!あろうことか、いじめっ子を張り倒したのです。そうです、プログラムされていないから、賢くなかったんですね。啞然とするいじめっ子。次の瞬間、逃げる、逃げるバーニーとロン。顔には笑みが浮かんでいます。

 とまぁ、こんな感じで始まって、後はいろいろな問題をみんなで解決してゆくわけです。いいね!の数にこだわり過ぎる弊害、一度広がってしまった映像は消せない弊害、そんなこんながきちんと描かれます。そして、Bボットを売る企業のほうにもいろいろあって、素人目にも”スティー○・ジョブ○”がモチーフではないのか、と思われる人物が出て来たりします。「俺たちは、最初はガレージで始まった」とかね。

 大人の鑑賞にも耐える、というよりは、あんまり小さな子供だとわからないんじゃないか、と思うくらいの作品でした。オススメです。

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最後の決闘裁判(The Last Duel)

2021年10月30日 18時44分08秒 | 日記

Amazon | The Last Duel: Now a major film starring Matt Damon, Adam Driver  and Jodie Comer | Jager, Eric | France

Recension: The Last Duel (2021) | Filmtopp.se | Filmtopp

The Last Duel (2021) - Tickets & Showtimes Near You | Fandango

 巨匠リドリー・スコット監督が、アカデミー脚本賞受賞作「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」以来のタッグとなるマット・デイモンとベン・アフレックによる脚本を映画化した歴史ミステリー。1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語を描く。騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は罪人として死罪になる。そして、もし夫が負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑を受けることになる。人々はカルージュとル・グリ、どちらが裁かれるべきかをめぐり真っ二つに分かれる。「キリング・イヴ Killing Eve」でエミー主演女優賞を受賞したジョディ・カマーが、女性が声を上げることのできなかった時代に立ち上がり、裁判で闘うことを決意する女性マルグリットに扮したほか、カルージュをマット・デイモン、ル・グリをアダム・ドライバー、カルージュとル・グリの運命を揺さぶる主君ピエール伯をベン・アフレックがそれぞれ演じた。(映画.comより)

 

 

 

<2021年10月17日 劇場鑑賞>

 「DUNE」の後のわかりやすい話。よかった(笑)。1300年代の決闘裁判、たぶん魔女裁判なんかも行われていた時代なのでしょうね(違うかな?)。神は真実を語るはずだから、正しいほうが勝つはず。すなわち、勝った方が真実を語っているのだ、という価値観。怖すぎておののきますねぇ。だって、勝つのは単に実力の差であって、強いほうが勝つのですから。今回は、マット・デイモンとアダム・ドライバーは互角の剣士でしたし、観客には真実を示してくれてあったので、それほど卑怯な感じには仕上がっていなかったけれど、絶対に勝てないような相手だと、黙って泣き寝入りするしかないってことですよね。まぁ得てして世の中はそういうものでしょうけれど、決闘ってなぁ・・・。

 今回、マットは強い戦士ではあるが武骨で女性を思いやることが苦手な男。ベン・アフレックは、地位はあるが部下に収入を横取りされててもわからないような、人のいいボンクラ。そしてアダムは、教養もあり、事務仕事にも向いていて、ベン・アフレックの会計係としての頭角も現します。加えて女性に対しても軽やかな付き合いができる男で、ベンのお気に入りとなり、地位を得ていきます。

 そして、マットの2番目の妻となる(最初の妻と息子は疫病で亡くなった)マルグリット(ジョディ・カマー)は、裕福な家の出ではあるのですが、父親はその昔裏切り者だった、という過去が。そのため、マットたち夫婦は目を付けられるのですね。マットも、政治的にうまく立ち回れればよかったのでしょうけれど、猪突猛進型の武骨者ゆえ、邪険にされてばかりです。彼は、口が立たない分、この決闘で勝つしかなかったのでしょうね。

 また、女性が物を言えなかった時代に、果敢に声を上げたことはすごいと思いますが、映画を見ている限りでは、これって、今でも言いづらさは同じなんじゃないのかな、と思ったりもしました。それにしても、アダムって、どんな役でもこなしますねぇ。もちろん、マットやベンもそうですが。楽しめました。

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DUNE デューン 砂の惑星(Dune)

2021年10月28日 22時40分35秒 | 日記

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』ポスターと予告編 - 映画

DUNE/デューン 砂の惑星』が

The Wertzone: DUNE gets new posters as marketing ramps up

 

「ブレードランナー2049」「メッセージ」のドゥニ・ビルヌーブ監督が、かつてデビッド・リンチ監督によって映画化もされたフランク・ハーバートのSF小説の古典を新たに映画化したSFスペクタクルアドベンチャー。人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いていた西暦1万190年、1つの惑星を1つの大領家が治める厳格な身分制度が敷かれる中、レト・アトレイデス公爵は通称デューンと呼ばれる砂漠の惑星アラキスを治めることになった。アラキスは抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の生産地であるため、アトレイデス家に莫大な利益をもたらすはずだった。しかし、デューンに乗り込んだレト公爵を待っていたのはメランジの採掘権を持つハルコンネン家と皇帝が結託した陰謀だった。やがてレト公爵は殺され、妻のジェシカと息子のポールも命を狙われることなる。主人公となるポール役を「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメが務めるほか、「スパイダーマン」シリーズのゼンデイヤ、「アクアマン」のジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、オスカー・アイザック、レベッカ・ファーガソンら豪華キャストが集結した。(映画.comより)

 

 

 

<2021年10月16日 劇場鑑賞>

 若かりし頃、そう、自分がまだ映画を見始めてそれほど年数が経たず、いろんな映画にもチャレンジし始めていた頃に「DUNE/砂の惑星」(デヴィット・リンチ監督、カイル・マクラクラン主演)が公開されたのでした。しかし「あまりに難解」「わけわからない」と不評の嵐だったことと、当時としては珍しい2時間超えの作品だったこと、これはどっちが先だったのか忘れたけれど、リンチ監督の「ツイン・ピークス」を3話で挫折してしまった経験があったことなどで、とうとう見に行かなかった作品でした。

 しかし、今回はドゥニ・ビルヌーブ監督。彼は本当に才能のある監督で、時々理解しづらい映画も撮るが(いやそれは私が凡人なだけなのだが)、リンチ監督やキューブリック監督ほどぶっ飛んではいない、と個人的に思っていたので、ギリギリ凡人にもわかる範囲で作ってくれてあるかな、と期待して行きました。上映時間、先だっての作品より長かったですけどね。

 結論から言うと、なんとか理解できました。凡人目線でギリギリのラインだとは思いますが、これなら見れます。続編も見ようと思いました。

 未来の宇宙。”スパイス”という価値ある鉱物が採れる惑星アラキスは、その価値ゆえ他者に侵略されつづけた歴史を持っています。そして今回は皇帝の命により、アトレイデス公爵が治めにやってきます。武力で治めるのではなく、地元民たちと協力してやっていきたい公爵でしたが、そこには彼が想像しなかった陰謀が存在し、早々に殺されてしまいます。彼には一人息子がいたのですが、これがポール(ティモシー・シャラメ)です。彼には、母親から受け継いだ特殊な能力があって、声を出さずとも相手に命ずることができる「ボイス」機能や人の内面や事実などを見抜いたりすることができます。映画内では、母親に「妊娠していますね」と言うシーンがあり、母は「どうしてそんなことを。自分でもまだ疑ってる段階なのに」と驚きます。これは、正直怖いと思いました(笑)。私が母親だったら、本当に怖い。

 続編を作る前提なので、ポールがどうしてゼンデイヤの夢を繰り返し見るのか、など疑問を呈したままの箇所もあるのですが、気品あふれるシャラメがその宿命に気付き、長(おさ)として成長してゆく過程がきちんと描かれていました。あの整った顔立ちが、この「若君」には欠かせなかったのですね。人の上に立つには、その気高さや人格も含め、見た目も大事なんだな、と改めて思いました。ここで、ジェイソン・”アクアマン”・モモアはその強さも含め、弁慶並みの忠臣でした。こちらもハマり役でしたね。

 この映画はキャストが豪華でした。一番「!」と思ったのは、シャーロット・ランプリング。彼女にしか出せない重厚さで画を引っ張ってました。他にも、主役級のジョシュ・ブローリン、オスカー・アイザック、レベッカ・ファーガソンは言うに及ばず、ハビエル・バルデムやチャン・チェン(ドクター役)、デイブ・バウティスタやスカルスガルド・父なども出ていて、オールスターでしたね。また、衣装も素敵でした。すべてに関して「オシャレ」な映画だったと思います。でも、これだけ「未来」な映画なのに、皇帝など人々の欲と陰謀が、古典的で進歩してないのにウケました。ここ、やっぱり普遍的なのね。

 続編が楽しみです。

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プリズナーズ・オブ・ゴーストランド(Prisoners of the Ghostland)

2021年10月26日 16時11分29秒 | 日記

プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』感想(ネタバレ)…ニコラス・ケイジの睾丸に何するんだ! | シネマンドレイク:映画感想&レビュー

画像】ニコラス・ケイジが現代忍者・坂口拓と激突! 映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』場面写真6点を公開」の画像3/7 | SPICE -  エンタメ特化型情報メディア スパイス

人間をマネキンに閉じ込める栗原類 ニコラス・ケイジ×園子温「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」独創的な世界観の場面写真6枚公開! : 映画ニュース  - 映画.com

 鬼才・園子温監督がニコラス・ケイジを主演に迎えて描いたハリウッドデビュー作。悪名高き銀行強盗ヒーローは、裏社会を牛耳るガバナーのもとを逃げ出した女バーニスを連れ戻すよう命じられる。特殊なボディスーツに身を包んだヒーローは、東洋と西洋が混ざり合った美しくも暴力的な世界「ゴーストランド」にたどり着く。混沌に包まれた町で、定められた時間内にバーニスを探し出すべく奔走するヒーローだったが……。共演に「キングスマン」のソフィア・ブテラ、「悪魔のいけにえ2」のビル・モーズリー、「きみに読む物語」などの監督として知られるニック・カサベテス。日本からは「RE:BORN リボーン」のTAK∴(坂口拓)、「愛なき森で叫べ」の中屋柚香らが参加。(映画.comより)

 

 

 

<2021年10月14日 劇場鑑賞>

 わからない!ごめんなさい、私、凡人なので、最初から最後までわかりませんでした。園監督の名前は知ってますし、映画も話題になっていたので、見ようかと思ったこともあります。でも、例えば「愛のむきだし」はものすごい長編でかなりの覚悟が必要だったし、予告編がエキセントリックすぎて引いてしまった作品とか、結果的にはグズグズ迷っているうちにすべて見逃してしまってる、そんな感じです。でも、今回はわれらがニコラスの映画!しかも田舎でも上映されてる。よしっ、いざ出発!って感じでした。

 でも、ダメでした。冒頭から日本人の子供とキャンディーグミ(?)の販売機、そしてニコラスと強面のニック・カサベテス(!)の銀行強盗のシーン。多分日本の銀行。でも、店員(客かもしれんが)の皆が原色スーツ。ピンクとか青とか。気色の悪い銀行(笑)。ニックが子供を撃とうとしたところから内輪もめ。ニコラスたちはあっさり御用に。

 時代は下り(多分ね)、牢屋に繋がれているニコラスを求めるギャングが現れます。「腕利きだと聞いている」。この舞台が頭がクラクラするほどの倒錯の世界。ニコラス、ふんどし一丁。日本?多分。時代劇?多分。でも、みんなスマホ持ってセルフィー撮ってる。支配者ガバナーは白人。でも連れている子分は「やすじろう」武士なんです。こいつが強い。でも、ガンを持った若い付き人もいる。よくわからない。

 で、ガバナー、ある若い女性を見つけ出して欲しいと言う。縄を解くにあたって、爆弾をいくつも付けた特殊な黒のラバースーツを着せるのですが、わざわざふんどしを外して、素っ裸になってからスーツを纏うので、女性たちが「うぉ~」なんて言う。でも爆弾、二つのきん○まにもつけてあって、映画の途中で一つは爆発。ニコラスは片方のきん○まを失う、というシーンも。何??ちなみに、ガバナーは「ブラックスキンに目がないんだ」とか言いながら、自分は上から下まで白い服を着ています。

 ともかく、よく走りそうな高級車を与えられていざ、出発。でも、われらがニコラスは、すぐに車を乗り捨て、置いてあったママチャリに乗り換えます。これが漕ぎづらそうなのよ!足の長いニコラスは、ママチャリだと足がつかえそうになって、すごく漕ぎづらそうだった。チビで三輪車でもすいすい漕げる私とはえらい違いだ(笑)。で、着いたゴーストランドは「マッドマックス」最新作、そのままの世界。今にもニコラス・ホルトかシャーリーズ・セロンが出て来そうだった。でも、出てきたのは栗原類。マネキン・デザイナーの役だったな。もちろん、探されているのはソニア・ブテラちゃん、すぐに見つかるというか、そこにいるわけですが。

 まぁ、本当に凡人にはわからない映画でした。個人的には、サラブレッドの映画監督、ニック・カサベテスがますます怖い顔になっていたのが衝撃でした。本当に映画監督でしょうか(笑)。日本の三池監督や、ユーゴスラビアのエミール・クストリッツァ監督だってこわもてですが、ニックの比ではないように思います。子役を演出できませんね、泣かれてしまって。

 これは、園監督の過去作品を見なおしてみる必要がありそうですね。

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サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ(Sound of Metal)

2021年10月22日 15時53分10秒 | 日記

Sound Of Metal in 2021 | Entertaining movies, Movie buff, Metal

Sound of Metal (2019) | Film inspiration, Movie shots, Movie scenes

Muddled, Magnificent Music in Sound of Metal: Movie Review - Oakville News

 「ヴェノム」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のリズ・アーメッドが主演を務め、聴覚を失ったドラマーの青年の葛藤を描いたドラマ。ドラマーのルーベンは恋人ルーとロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまう。医師から回復の見込みはないと告げられた彼は自暴自棄に陥るが、ルーに勧められ、ろう者の支援コミュニティへの参加を決意する。共演に「レディ・プレイヤー1」のオリビア・クック、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド」のローレン・リドロフ、「007 慰めの報酬」のマチュー・アマルリック。監督・脚本は「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」の脚本家ダリウス・マーダー。Amazon Prime Videoで2020年12月4日から配信。第93回アカデミー賞で作品、主演男優、助演男優など6部門にノミネート。編集賞と音響賞の2部門を受賞。日本では2021年10月に劇場公開。(映画.comより)

 

 

 

<2021年10月12日 劇場鑑賞>

 すごい映画だったなぁ。もう、素人の私には「すごかった」としか言いようがない。音楽を生業とする人なのに、聴覚を失うなんて、ベートーヴェンかつんくか(彼の場合は声だけど)、ともかくなくてはならないものを失うというのは、それはきっと常人の想像を絶するのだろうけれど、それでもやっぱり開けてくる道はある・・・私はそう受け止めました。

 もちろん、元の状態になんとか戻れないかともがく、あるいは現実をなかなか受け入れられないでもがく、それは当たり前です。私でもきっとそうします。でも、やっぱりどうにもならないものはどうにもならない。「一度失った聴覚は二度と戻りません」と断言されている姿にショックを受けました。そうなんだ・・・。私、自分自身は嗅覚がほとんどないのですが、どこか体のつじつまが合えば戻ることもあるのかと思っていました。いや、聴覚と嗅覚は違うかもしれませんが、でもたぶん同じ理屈でしょうね。そういえば、もう何年もそのままで良い方向に向かったことないです。「ナイスガイス!」という映画で、ライアン・ゴズリングが鼻が利かないという設定だったと思いますが、たしかそれが原因で妻が亡くなったのでしたね。私も同じです。ガス漏れがわからないし、腐ったものでも、見た目さえ変わりなければ腐敗臭がわからないので食べてしまいます。また、挽きたてのコーヒーの香りなどもわからないので、味もあんまりわかりません。味オンチです。まぁ悪いにおいもわからないので、気分が悪くなることが少ないってこともありますが。

 話がそれてしまいました。つまり、主人公(リズ・アーメット)は、彼女と共にバンドを組んで生業としていたのに、耳が聞こえなくなってしまうのです。話として触れられるだけですが、彼は過去に薬物中毒でもあったようです。そこから立ち直った時の知人のつてで、聾者のコミュニティを紹介してもらいます。そこの運営者のジョーがよかったですね。彼は役者さんかしら。私、見ていて「本当の聾者コミュニティの代表じゃないのかな」と思っていました。ここまで来るのに、いくつもの試練があっただろうジョー。彼自身は読唇術を使うのです。ですから、何をするときでも、こちらは口を覆ってはいけません。「手をどけてくれないか。唇が読めないから」とすぐに言われてしまいます。

 聾者のコミュニティには、少々明るすぎてあざとく見えるスタッフもいないことはないのですが、でも、そういう人もいないと、小さい子もいるし、皆がジョーみたいに真面目でも雰囲気変わるだろうから、これはこれでいいのだろうと思いました。

 聴覚を取り戻すことはできなくても、音と骨格と共鳴させ、脳に認識させる、そんな手術があるのだそうです。なんとしてでも恋人との元の生活を取り戻したかったリズ・アーメットは、車を売るなどしてお金を捻出し、トライします。確かに音は聞こえてくるようになりました。でも、何とも言えない金属チックな音。これが「サウンド・オブ・メタル」なんですね。そして、世界は、なんとたくさんの音に囲まれているか。有益・無益を問わず。これは、私自身も歳を重ねるにつれ「世界はうるさすぎるなぁ」と思うようになっていましたから、深く共感できるものでありました。そして、秀逸なラスト。なんと、美しい。言葉を失いました。

 彼女に対しても、彼は現実を認識できるようになっていました。素晴らしい。彼女にも試練だろうけれど、お互いになくてはならない存在だろうけれど、だからこそ一歩前へ人生を進められるのですね。そこから、先述した美しいラストへとつながります。

 どの場面を取っても、深く、深く考えさせられた映画でした。

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