友達が欲しい少年と不良品の最新式ロボットが“本当の友情”を探して繰り広げる冒険を描いた長編アニメーション。ネット、写真、通話、テレビ、ゲームなどあらゆるデジタル機能に加えて乗り物としても使用でき、所有者の友達まで見つけ出してくれる最新式ロボット型デバイス「Bボット」。しかし孤独な少年バーニーのもとに届いたのは、オンラインにすら接続できない不良品Bボットのロンだった。友達の探し方もわからず空回りしてばかりのロンに、バーニーは“友だちの条件”を説明し、なんとか友だちを探してもらおうとするが……。(映画.comより)
<2021年10月17日 劇場鑑賞>
<ややネタバレあり>
これは、おもしろかった!実はそんなに期待していなくて、最初に見た映画とうまくつながる上映時間だから「ま、いいか」くらいに思ってました。しかし!私はラッキーだった。おもしろかったですねぇ。
みんなが「友人」として一人一台の「Bボット」を持っている時代。これが優れモノで、なんでも持ち主の期待に応えてくれる。「セルフィー!」と言うだけで瞬時に撮ってくれてシャッターチャンスを逃さないし、気に入ったものをSNSにアップする、「いいね!」の数をカウントして教えてくれる、ゲームもできる、とにかく何から何までやってくれます。やらないのは、体を拭くとか、食べさせるとかの介護や子育てくらいか(笑)。危ういですね、本当に見ていてひやひやしました。こんなの、依存症になるに決まっています。スマホと違って動くし。でも、賢いデバイスですから、きちんと「ポリティカル・コレクト」にプログラムされているんですね、当たり前ですけど。例えば、人を傷つけないとか。
で、せっかくこんなに優秀な友人をみんな持ってるのに、そのBボットにも優劣があって子供たちの世界に、ちゃんとヒエラルキーが存在するのですね。だからもちろん、いじめっ子といじめられっ子も厳然と存在します。じゃ、現在とな~んにも変わらないじゃないですか。なにかの解決法じゃなかったんですか?腑に落ちない展開。で、主人公のバーニーは、お母さんが亡くなっていて、仕事に忙しいお父さんと昔ながらの価値観のおばあちゃんとで暮らしていたため、最後までBボットを持っていなかったわけです。それゆえ、いじめられまくってました。でも、お誕生日会に誰も友人が来なかったとき、お父さんは初めて息子が欲しがっていたものを悟るのです。
でも、新品は3か月待ち。半導体の不足でしょうか。切羽詰まったお父さんは、廃品を拾ってくるわけです。そうとは知らないバーニーは大喜び。でも、ちっともみんなのBボットみたいに動かない。こちらの言うことも全然理解してくれない。なんにもできないBボットに、却って笑いものになるだけでした。いじめられっ子のバーニーは、逆らうこともできずにすごすごと帰ろうとしたその時、ポンコツ・ボット(ロン)は果敢にいじめっ子に向かって行ったのです!パシッ!あろうことか、いじめっ子を張り倒したのです。そうです、プログラムされていないから、賢くなかったんですね。啞然とするいじめっ子。次の瞬間、逃げる、逃げるバーニーとロン。顔には笑みが浮かんでいます。
とまぁ、こんな感じで始まって、後はいろいろな問題をみんなで解決してゆくわけです。いいね!の数にこだわり過ぎる弊害、一度広がってしまった映像は消せない弊害、そんなこんながきちんと描かれます。そして、Bボットを売る企業のほうにもいろいろあって、素人目にも”スティー○・ジョブ○”がモチーフではないのか、と思われる人物が出て来たりします。「俺たちは、最初はガレージで始まった」とかね。
大人の鑑賞にも耐える、というよりは、あんまり小さな子供だとわからないんじゃないか、と思うくらいの作品でした。オススメです。