田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

マルセル 靴をはいた小さな貝(Marcel the Shell with Shoes On)

2023年07月28日 17時48分51秒 | 日記

アカデミー賞ノミネート作品『マルセル 靴をはいた小さな貝』6月公開決定 | ORICON NEWS

Marcel the Shell with Shoes On' review: Original, adorable - Newsday

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 実写とストップモーションアニメを組み合わせ、小さな貝のマルセルが繰り広げる冒険を描いた作品。

アマチュア映画作家のディーンは、靴をはいた、体長およそ2.5センチのおしゃべりな貝のマルセルと出会う。ディーンは彼が語る人生に感銘を受け、マルセルを追ったドキュメンタリーをYouTubeにアップするのだが……。

新進の映像作家ディーン・フライシャー・キャンプが2010年から14年にかけてYouTubeで順次公開し、累計5000万回再生を記録した短編作品を長編映画化。「ミッドサマー」や「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」などの話題作を送り出してきた製作・配給会社A24によって北米配給され、小規模公開ながら評判と話題を集めた。アニメ界のアカデミー賞と言われる第50回アニー賞では長編インディペンデント作品賞・長編作品声優賞・長編作品脚本賞を受賞、第95回アカデミー賞でも長編アニメーション賞にノミネートされた。(映画.comより)

 

 

<2023年7月17日 劇場鑑賞>

 こんなかわいくて珍しい映画が、都会に遅れることなく和歌山で上映されていたのです!よく知らなかったけれど、行くしかないと思いました。普通の人間と「ウォレスとグルミット」みたいなキャラ、マルセル(とおばあちゃん)が同じ画面で共演する、あり得ないファンタジーなのですが、とても現実的な感じに撮られてあって、「あるかもしれない」と思ってしまいました。

 小さな貝のマルセルが、かわいいだけでなく賢いんです。脳みそなんかどこにあるのかと思うのですが、とても頭の切れる子。小さな体で、考え得る方法を駆使して、ありとあらゆることをやってのけています。たとえば、部屋の中を効率的に移動するためにボールに入って転がり、この辺だと思うところで出て来る、とか、あちこちに糸などを張り巡らせて、これでターザンのように高いところに飛ぶ、とか、とにかく私のような凡人には想像できないような発想で、豊かに暮らしていました。映画を撮る人の発想も大したものだと思いました。おばあちゃんは、小さな麦藁帽をきちんとかぶって農作業をしています。もちろん、人間用のプランターは大きいので、その一部を耕しているわけですが。

 そもそも、なんでマルセルとおばあちゃんが一軒家で二人暮らしをしていたのかと言うと、元々たくさんの貝の仲間たちが、一緒に暮らしていました。彼らは小さいので見つからなかっただけです。だから、きっと他の地域でもいるのでしょうね。ところが、一緒に住んでいたカップルが別れてしまいました。喧嘩の物音が聞こえ始めると引き出しに避難していた彼らは、その引き出しに入ったまま、男の子が持ち出した荷物と共に出て行ってしまったのです。たまたま入ってなかったのはマルセルとおばあちゃんだけ。そうこうしているうちに、女性の方も出て行ってしまい、家は無人に。今回、映像を撮った青年ディーンが越して来るまで、二人で暮らしていたというわけです。

 でも、皆に会いたい。最初はマルセルに驚いたディーンも、マルセルの切実な願いをかなえてあげたいと思うようになり、やがてyou tubeを経てテレビ出演へ。番組がカップルだった二人のうち、女性の所在を見つけ・・・という展開になってゆきます。もちろん、こんなかわいい映画ですから、ハッピーエンドです。ディーンが、マルセル人気から独立して巣立ってゆくのもリアルな感じ。「え~ずっと一緒にいるのかと思ってた!」とちょっと驚きましたけどね。

 エンターテイナーなマルセルは、歌もお上手。ディーンのあまりな音痴ぶりに「一音も合ってない。家へ帰って出直して来い」と言ったところは爆笑しました。ディーンも爆笑してましたけどね。細かいところでは、おばあちゃん役がイザベラ・ロッセリーニでした。ここに彼女を持ってくる?発想豊かだなぁ。とにかく、楽しめました。

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サントメール ある被告(Saint Omer)

2023年07月27日 18時33分35秒 | 日記

Saint Omer | Official Website | In Cinemas Now

魂を侵食する誰かの告白 「Saint Omer」 - OVNI| オヴニー・パリの新聞

Kayije Kagame - Unifrance

 フランス北部の町、サントメール。若き女性作家ラマは、ある裁判を傍聴する。被告は、生後15ヶ月の娘を海辺に置き去りにし、殺人罪に問われた女性ロランス。セネガルからフランスに留学し、完璧な美しいフランス語を話す彼女は、本当に我が子を殺したのか?被告本人の証言、娘の父親である男性の証言、何が真実かわからない。そしてラマは偶然、被告ロランスの母親と知り合う。彼女はラマが妊娠していることを言い当てる。裁判はラマに、“あなたは母親になれる?”と問いかける……果たしてその行方は──。(公式ウェブサイトより)
 
 
 
<2023年7月16日 劇場鑑賞>
 この映画、恥ずかしながらあんまりわかりませんでした。フランス映画なので、日本とは違った独特の価値観もあるのか、事実を元にした映画と聞いているのですが、そして裁判でのセリフをそのまま使っているシーンもあるとのことだったのですが、いかにも間延びした感じを受けました。
 
 犯罪者を裁くのが裁判なのですから、事実として「子供を殺したかどうか」の一点に絞られるはずです。でも、そこに争いはないようで、海辺に置き去りにしたのは事実のようです。しかし「どうしてそんなことをしたのですか」と問われても「わかりません。それはここで明らかにしていきたいと思います」などと言って、終始深刻な面持ちで行われる裁判長とのやりとりは、精神科医のカウンセリングのよう。フランスでは、裁判でこんな微に入り細を穿つような質問をし続けるのでしょうか。
 
 裁かれる女性だけでなく、大学教授(作家)の女性も登場します。要は、難しいとされる母と娘の関係に悩み、またフランスにおける黒人女性の「見られ方」の画一性に悩み、母になるという事実に悩む・・・そこを表現した映画のようです。裁かれる女性は、貧しくはなかったものの、父親が希望する進路を選択しなかった時点で援助を断ち切られ、うんと年上の男性と住むしかなかったことも言及されます(確か母親は正妻ではなかったので、父は母と住んではいなかった)。
 
 しかし、このような悩みはどこの国でも普遍的なもので、人生と言うものは、差別や偏見、母(あるいは両親)との確執、また母親になる(なれない人もいる。それはそれで大変な悩み)ことなど悩みは尽きず、凡人の目からすれば、この映画の女性たちは、父親に愛され、進路を変更するまではそれなりに援助を受けていたり、年上の男性は穏やかな人だったり、あるいは作家にはとても優しく気遣いのできるパートナーがいたり、傍目には充分恵まれているようにも見えるのです。日本だったら、なかなかこんな風に行かないんじゃないかな。
 
 ともあれ、女として生まれ、女として生きてゆくのは並大抵のことではないのはわかります。しかし、それは男でも同じではないでしょうか。「子供を産むのが当たり前」「母性があるのが当たり前」など、男性にはないプレッシャーがあることは事実ですが、だからといって子供を置き去りにしていいわけはありません。難しい問題でしょうが、淡々とした会話劇が続く普遍的な話に、やや退屈さを感じたのも事実です。まぁ先進国における黒人女性の苦悩は、私には推し量れないわけですが。
 
 しかし、こういうタイプの映画を久しぶりに見たので、新鮮に感じたことも事実です。楽しめたと思います。
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CLOSE クロース(Close)

2023年07月25日 18時12分45秒 | 日記

The Virtual Nihilist:

Close (Film Review): The Bone Breaks; It Grows Back Stronger - Loud And ...

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 トランスジェンダーの主人公がバレリーナを目指す姿を描いた「Girl ガール」でカンヌ国際映画祭のカメラドール(新人監督賞)を受賞したルーカス・ドン監督が、13歳の2人の少年に起こる関係の変化を描いた長編第2作。

13歳のレオとレミは、学校でも放課後でも一緒に時間を過ごす大親友だった。しかし、ある時、2人の親密すぎる間柄をクラスメイトにからかわれたことで、レオはレミへの接し方に戸惑い、そっけない態度をとってしまう。そのせいで気まずい雰囲気になる中、2人は些細なことで大ゲンカをしてしまい……。

第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、グランプリを受賞(クレール・ドゥニの「Stars at Noon」と同時受賞)。第80回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞、第95回アカデミー賞でも国際長編映画賞にノミネートされた。(映画.comより)

 

 

<2023年7月16日 劇場鑑賞>

 日本では小学生くらい?の男子二人の物語。舞台はフランス。アジア人からすれば、フランスなんてずっと文化的に進んでいるのだろうなんて、勝手な印象を持っているわけですが、しかしなかなかに価値観は古典的。いつも一緒のなかよし男子たちが、口の悪いクラスメイト(男子)に「なんなんだ、お前ら。男女(おとこおんな)!」とからかわれたり、突き飛ばされたり。悪気のなさそうな女子から「あなたたち、つきあっているの?」と聞かれたり。まぁこの女子は、本当に何気なく聞いただけみたいだったけど。答えだってどっちでもよさそうだったし。それだけラフに聞けるってところが日本と違うところなんだろうけど、男子のふざけ具合(いじめ具合?)は、ちょうど日本映画「怪物」みたいで、彼らは傷ついたようでした。すると、また言われるのがイヤな方が、もう片方と距離を取ろうとする。でも、そんなこと信じられない”もう片方”は、彼を追い求め、拒絶されると深く傷ついてしまう。そんな感じのお話でした。

 相反する考えを持ってしまったこの二人は、とても悲しい結末を迎えてしまうのですが、そこが子供なのかもしれないけれど、もう少しよく考えることはできなかったのかな、とも思いました。ちょうど小学生くらいの頃は、みんながわりと「マセガキ」なお年頃。自分もいるところでイヤなこと言われてからかわれたのだから、仲良しだった友人がそこから避けるようになったとしても、「あんな風に言われたからかな」とか、ちょっと考えて、「確かめてみよう」とか、「余計なことを言われなくなるまでかな」とか、「ちょっと様子見てみよう」とか、すぐに思い余った行動に出るのではなく、もう少し冷静になることはできなかったのかな、とも思いました。自分が子供の心を失ってしまっていてそう思うだけなのか、あるいは自分が情熱的な人間ではないだけで、愛情とはそんな冷静なものではないのかもしれませんが。私が理解してないだけかもしれません。

 でも、やっぱり、まわりの罵詈雑言のせいで、こんな悲しい結果を招くのは見ていられません。誰に深い悪意があるわけでもないのだから、やっぱり悲しすぎると思いました。先進国のおフランスでもこんな感じだなんて。あるいはフランスでもごく田舎の地方だったのかもしれませんね。これなら「怪物」の日本人男子たちの方が冷静だったかもしれません。

 それにしても、主演の男子が美形すぎる(笑)。体型もスラッとスリムだったし、将来が楽しみです。

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小説家の映画(소설가의 영화)

2023年07月23日 18時18分04秒 | 日記

소설가의 영화 (2022) 영화 다시보기 : moviezotas

'소설가의 영화'가 친근하고 편안하게 느껴지는 이유

NYFF60 홍상수의 카메라 스틸로(Camera Stylo): '소설가의 영화(The Novelist's Film ...

 韓国の名匠ホン・サンスが2人の女性アーティストの友愛と連帯を描き、2022年・第72回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員大賞)を受賞したドラマ。

著名な小説家だがスランプに陥り長らく執筆から遠ざかっているジュニは、音信不通になっていた後輩を訪ねるため、ソウルから離れた閑静な町・河南市へやってくる。そこで偶然知りあった元人気女優ギルスに興味を抱いたジュニは、彼女を主演に短編映画を制作したいと提案。かつて成功を収めながらも人知れず葛藤を抱えてきた2人は、思いがけないコラボレーションをすることになる。

ホン監督の公私にわたるパートナーであるキム・ミニが女優ギルス、「あなたの顔の前に」のイ・ヘヨンが小説家ジュニを演じ、共演にもソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、キ・ジュボンらホン監督作の常連俳優が顔をそろえた。(映画.comより)

 

 

<2023年7月16日 劇場鑑賞>

 不思議な映画でしたね。ホン・サンス監督の作品は、噂には聞いていたものの、実際には最近の映画「クレアのカメラ」と「逃げた女」くらいしか見てなくて、どれも確かに静かな映画だったけれど、今回の映画はいつもにも増して淡々とした感じを受けました。少し眠くなるような。

 最初はこんな日常なことをひたすら淡々と描写して、何がおもしろいんだろうと思いました。モノクロの意味も測りかねたし。でも、話の途中で「あ、それが最初に出て来たブックストアなのか!」とか、いろいろつながった時は「なるほど」と思いました。うまい構成だと思います。キム・ミニは相変わらずかわいいし。彼女に最初に気付いた作品「お嬢さん」(見るのは多分「泣く男」とかで見てたはず。しかし、認識したのはこの作品)の印象が強烈すぎて、他の作品がかすむのですが、ともかくいつも「かわいい」「きれい」という設定で出て来るので、韓国でもそういう位置づけなのでしょう。本当にかわいいし。

 主人公は人々に「先生」と呼ばれる有名作家の年輩女性ジュニ。今までの成功である程度の地位と名誉は手にしているものの、最近はスランプだという設定。冒頭、何があったのか、憤慨した様子で店から出て来るジュニ。その後、近所のブックストアに立ち寄ります。そこは彼女の後輩が経営するストアでした。ごく限られた人にしか近況を伝えず隠遁しているつもりだった後輩は驚きます。「なんで知ってるの」って。作家の世界なんて限られているし、やっぱりバレるんでしょうね。

 先輩作家を無碍にするわけにもいかず、彼らは、しばしの時を過ごします。そして地元の観光地を紹介。ジュニはそこに向かいます。すると、そこで某映画監督夫妻に会いました。過去に作品を映画化する話が持ち上がるも実現しなかった監督です。彼らとも歓談するジュニ。そしてみんなで近くの公園(広くてきれい)に散歩に行くと、最近はあんまり出てない有名女優に会うのです。これがキム・ミニ。さすがスタイルも良くてカッコいいです。そしてみんなで歓談。そのうち監督たちは帰りますが、女優と作家は話が弾み、作家(ジュニ)は「あなたを主演に映画を撮りたいわ」と持ち掛けます。「ご主人も、是非一緒に」と。そして、映画の勉強をしているという女優の甥を巻き込んで、本当に映画を作ってしまうのです。ラストシーンは女優が一人で試写を見るシーン。私たち観客にも少し見せてくれますが、どういう構成でどういう話の映画なのか、細かいことはわかりません。ただ、微笑んでお花を持つキム・ミニがとってもキュート、それくらいです。そして、誰も映画については抽象的なことしか話さないので、結局どうなったのかはわかりません。甥も「個性的な映画だ」だったか「ある意味斬新だ」だったか忘れたけれど、ともかく褒めてるのか、けなしているのかわからないようなことしか言いません。個人的には、そもそも作家が急に思い立って映画なんかが撮れるのか、と疑問に思っています。もちろん、お金さえあれば人も雇えるし、作れるのでしょうが・・・。

 ほんの一部だけ突然カラーになって驚くところがあります。でも、私には良さがあんまりわからない映画でした。そんなに次々偶然有名人に出会うってことがあるのかな、とか(芸能人ばかりが住んでる街もあるのかもしれないけれど)、いくら有名作家だからって、女優もそんなに二つ返事で引き受けるのかな、とか。でも、その淡々さがいいのかもしれませんね。

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Pearl パール(Pearl)

2023年07月20日 17時41分55秒 | 日記

Pearl Movie Details, Film Cast, Genre & Rating – CelebrityDispatch.com

Pearl Early Reviews Praise Mia Goth's X Horror Movie Prequel

Does Pearl Have a Post-Credit Scene?

 タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー「X エックス」のシリーズ第2作で、1970年代が舞台だった「X エックス」の60年前を描く前日譚。「X エックス」に登場した極悪老婆パールの若き日を描き、夢見る少女だったパールがいかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明らかにされる。

スクリーンの中で歌い踊る華やかなスターに憧れるパールは、厳格な母親と病気の父親と人里離れた農場で暮らしている。若くして結婚した夫は戦争へ出征中で、父親の世話と家畜たちの餌やりの毎日に鬱屈とした気持ちを抱えていた。ある日、父親の薬を買いにでかけた町で、母親に内緒で映画を見たパールは、ますます外の世界へのあこがれを強めていく。そして、母親から「お前は一生農場から出られない」といさめられたことをきっかけに、抑圧されてきた狂気が暴発する。

前作で主人公マキシーンとパールの2役を演じたミア・ゴスが今作でも主演を務め、若かりし日のパールを演じてるほか、脚本と製作総指揮にも名を連ねている。(映画.comより)

 

 

<2023年7月9日 劇場鑑賞>

 前作「エックス」は怖かったけど、どこかおもしろくて、「おもしろいなんて言うと不謹慎なんじゃないか」と少し後ろめたさを感じながらも、やっぱり楽しんで見てしまった、そんな感じでした。それで、やっぱり楽しめた人も多かったのか、興行収入もよかったのでしょう。こんな風にすぐに続編が(笑)。しかも前日譚。あのお婆さんの若い頃の話です。計画はあったのでしょうが、コケてたら作られなかった作品なんでしょうね、きっと。

 しかし、前作で語り部だった若い女性とサイコなお婆さんは二役だったわけですが、最終的にはどういうからくりなんでしょう。単に話題性を狙って同じ役者さんで加害者と被害者を演じる、という実験的な作品だと思っていたのですが、こうして前日譚が、やはり同じ役者で作られるというのは、ひょっとして壮大な(?)仕掛けがあるのか。多分、この作品が当たったら、次も作られるでしょうから、そこ楽しみにしたいと思います。

 さて、物語です。とある田舎の農場。な~んにもない田舎で、うら若きパールは母親に厳しく育てられています。父親は、自分では話すことはおろか、体一つ動かせない障がい者です。毎日牛やヤギの世話に明け暮れながらも、その家畜たち相手に話しかけ、ダンスを披露するパールは、確かにサイキックな感じですが、基本的にいい子だと思うので環境さえよければ普通の優しい女性に育ったと思います。ただ、人生って、不幸で不公平なもの。経済的にも苦しく、障がい者の夫のせいで外出もままならない母親は、パールに当たってばかりです。自分も自分の人生に対してイラついているのでしょうね。まだ若いパールに自由を与えず、家畜の世話だけでなく、父親(夫)のお風呂や食事もほとんど丸投げしています。そんなパールは、農場から出たい一心で農場実習に来た裕福な男と結婚したのに、ここから連れ出してくれるどころか、パールを農場に残したまま、理想に燃えて戦争にさっさと参戦してしまいます。まだ子供もいないのに。深い失望を抱えたまま、母親の言いなりになるしかないパール。本当にかわいそうでした。個人的には、確かに価値観が間違っている面もあったかもしれませんが、あまりに外の世界を知らなさ過ぎて、何が当たり前でなにが変なのかを学ぶ機会がなかったのではないか、とも思いました。それゆえ「なんでこうなるの」と思うことばかりが起きてしまい、どうするべきか考える余裕がもはやなかった、あるいは、一連の事件が本人の理解を超える世界で、理解のキャパを超えてしまったがための暴走とか、そんな感じかもしれない、と思いました。もちろん、だからって許されるものではないですけどね。

 「子供は親を選べない」とか「親ガチャ」とか言いますけどね、まさにそんな感じだと思いました。でも、前作で将来が描かれていたわけで、そこには夫ハワードがちゃんといた、ということは、彼は戦争から帰還したときの恐ろしい状況から逃げ出さずにパールと一緒にとどまった、ということですね。簡単には逃げ出せなかったのかもしれませんが、なんという順応性の高さ(笑)。あるいはパールを深く愛していたのかもしれません。育ちがいいはずのハワードが、どうパール色に染まっていったのか、その辺も続編で確認したいと思います。

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