インドの国民的俳優ラジニカーントが主演を務め、大地主に仕える召使いムトゥの活躍を、インド映画ならではの歌や踊りをふんだんに取り入れて描いた娯楽大作。日本では1998年に公開されて大ヒットを記録し、インド映画ブームを巻き起こした。大地主ラージャーの屋敷で働くムトゥは、ラージャー専属の執事、馬車の御者、ボディーガードとして、常にラージャーと行動をともにしていた。ある時、ひょんなことから旅回り一座の女優ランガと恋に落ちたムトゥだったが、ラージャーもまた、ランガを好きになってしまう。さらに、屋敷を乗っ取ろうと企むラージャーの伯父の陰謀により、ムトゥは屋敷を追い出されそうになるが、ラージャーの母シヴァガーミがムトゥの驚くべき出生の秘密を明らかにする。95年に製作され、日本では98年6月、渋谷のミニシアター、シネマライズ単館で公開がスタートすると口コミで評判が広がり、23週におよぶロングランを記録。その後も全国で上映されて大ヒットとなり、日本にインド映画ブームを巻き起こした。日本公開から20周年を記念した2018年、4K&5.1chデジタルリマスター版でリバイバル公開される。(映画.comより)
今でこそインド映画は日本でもポピュラーですが、ある程度の年齢以上の方なら(そして私もそうですが)インド映画への入り口はこの映画だったはず。ハリウッド映画とは違ったきらびやかなダンス、尺の長さ、あり得ない過剰演出、そしてハリウッドでは考えられない女性らしい体形の美しい女優たち。すべてが新鮮で驚きでした。そして、みんなハマりましたね(笑)。日本でも大ヒットだったはず。その後、シャー・ルーク・カーンの映画などは、山ほど見ました。でも、当時女性監督の映画も結構来ていたように思います。ミラ・ナイール監督とか。「モンスーン・ウエディング」「カーマ・スートラ」、監督は違うと思いますが、「インディラ」なんて映画も見ました。見なかったけど「女盗賊プーラン」なんてのも単館で公開されてましたね。その他、今はなき”国名劇場”で見た「アシュラ」などは、本気で怖かったのを覚えています。当時、アレンジされたパンフレットが高価で(ビデオテープの形になってるんだけど、分厚くかさ上げされている大部分はわら半紙で、実際のパンフレットは薄かった。)買うのをやめたこと、今になってちょっと後悔です。
ともかく、昨今の「バーフバリ」人気に乗じたかどうかはさておき、我らが元祖のインド映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」がきれいになってリバイバルされるとあっては、座視できますまい。スーパースター、ラジニカーントのお姿も久しぶり(個人的には「ロボット」が最後かな)で、初回上映には、ラジニjpさんとかいう方のトークショーも付いてる!ということで、次世代(ハタチ)の娘と一緒に席をリザーブして参加しました。やっぱりすごい。満席なうえに、立ち見も完売。さすがですねぇ~。当日は、ラジニjpさんの、現地でのラジニカーントの人気ぶりの紹介などで盛り上がったところで上映開始。ワクワクするものとなりました。
華やかな女優さんたちに華美すぎるお屋敷(住んでみたいわ~)、いい人なご主人様に律儀な母君。そしてラジニさま二役の、見るからに徳の高そうな知恵者さま(仙人みたい)。「ベン・ハー」のチャールトン・ヘストンも真っ青な馬車チェイスや、あっと驚く結末など、非常に盛りだくさんな内容でした。満足な鑑賞となりました。
しかしながら、個人的には「こんな話だったっけ?」の連発で、自分に面食らいました。しっかり見ていたのだろうか。記憶障害なんじゃないだろうか、などと自分に落胆することしきり(笑)。見たつもりでいると、いけませんね。でも、認識を新たにできてよかったです。そのうちまた忘れるのかもしれませんが、そういうことも含めて認識できてよかったです。
ラジニ様は本当に偉大なのですね。今回、jpさんにいろいろ教えてもらって感動するとともに、それだけで一体化できるインド国民(南部だけかもしれませんが)がうらやましくも思えました。日々の仕事と生活に追われてばかりの自分を反省するとともに、映画は年数を置いてもう一度見るものなんだな、と再自覚できました。
その後、娘はそのまま「インド映画祭」へとはしご。私はもう一つのスクリーンでヨーロッパ映画を見たのでした。映画界は、本当は若い観客層を開拓しなきゃいけないんでしょうけれど、年長者にもいま少し見せてくださいね。