田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

カセットテープ・ダイアリーズ(Blinded by the Light)

2020年09月29日 16時45分33秒 | 日記

Blinded by the Light (2019) - Filmaffinity

Blinded by the Light' Review: A Brit Teen Jolted Alive by Springsteen -  Variety

Blinded by the Light - Springsteen inspired drama reviewed here.....

 1980年代のイギリスを舞台に、パキスタン移民の少年がブルース・スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長していく姿を描いた青春音楽ドラマ。87年、イギリスの田舎町ルートン。音楽好きなパキスタン系の高校生ジャベドは、閉鎖的な町の中で受ける人種差別や、保守的な親から価値観を押し付けられることに鬱屈とした思いを抱えていた。しかしある日、ブルース・スプリングスティーンの音楽を知ったことをきっかけに、彼の人生は変わり始める。主演はヴィヴェイク・カルラ、出演は「キャプテン・アメリカ」シリーズのヘイリー・アトウェル、「1917 命をかけた伝令」のディーン=チャールズ・チャップマン。監督は「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ。(映画.comより)

 

 

 

 

 パキスタン映画はあんまり知りませんが、この監督の「ベッカムに恋して」は見ました。ずいぶん前なので細かいことは覚えてないのですが、こんな感じに主人公はパキスタンの移民だったのでしょうか。今回とても驚いたのは、どこの地方都市か知らないけれど、パキスタン人に対する蔑視がすさまじいこと。さすがに都会ではこんなことないだろうと思うのですが、これが先進国イギリス?ととてもショックでした。

 主人公の青年は、学校では「パキ」と罵られ、いじめに遭います。昼食を食べていても「パキ、どけよ」と言われて席を変わらされたり、普通のダイナーでも絡まれます。イギリス人たちは、インド人とパキスタン人をどうやって見分けていたのでしょうか。相手がインド人だったらどうするんでしょうか。家の壁に「出て行け」などと落書きされる、玄関にオシッコをかけられる(相手は子供)、甚だしきは、おめでたい結婚式で正装して歩いていると「パキは出て行け」というデモに遭遇して殴られる(お父さん血だらけ)。なんなのですか。イギリス人(全部ではないが)たちは他にすることがないのか、よっぽど低能なのか。主人公のお父さんも、もちろん意気揚々と故郷を後にした以上、おいそれとは帰れないというのはわかりますが、こんな思いまでしてイギリスにとどまる必要があるのですか、と少し思いました。いずれの場合も、ただひたすら黙って引き下がるしかなく、お母さんたち女性陣がオシッコの片付けもするのです。こちらもわかっているからあらかじめビニールを敷いてあったりするのですけどね。

 地元の工場がリストラを行う際には、もちろん真っ先に首を切られます。「10年以上真面目に勤めているのだから、大丈夫よ」なんて言ってたシーンの悲しいこと。そんなはず、ないのに。その割には、お父さん、故郷の価値観に固執しています。素人の私は「そこまでパキスタンの伝統的な価値観を重んじるのなら、イギリスに出てくる必要なかったのでは?」と思ってしまいました。島国日本と違って、いろいろあるのでしょうけれど。お母さんが、また痩せてるんですよ。単に体質なんだろうけれど。

 でも、主人公の男の子は、自らの人生を切り開いていきます。私はブルース・スプリングスティーンの曲を知らないから、その他の要素で鑑賞するしかないのですが、とにかくモチベーションを上げて前向きに進んでゆくと、理解してくれる仲間(女の子を含む)は必ずいて、道は開けるのです。自分の道も、家族との共生も、すべてにチャレンジした男の子の物語。もちろん、ハッピーエンドです!

 そうそう、青年の才能を見抜いてアドヴァイスしてくれる学校教師、見たことあるなぁ~と思っていたら、「キャプテン・アメリカ」の永遠の恋人ペギーさんだった!

 

 

 

 

 

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シチリアーノ 裏切りの美学(Il traditore)

2020年09月27日 11時22分08秒 | 日記

Cannes 2019: Il traditore di Marco Bellocchio e gli altri film in programma  giovedì 23 maggio | Amica

Cannes 2019. Il traditore: poster, immagini e trailer del nuovo film di  Marco Bellocchio – Stanze di Cinema

Il Traditore (biografico, 2019) Recensione film | MaSeDomani

 「夜よ、こんにちは」「肉体の悪魔」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオがイタリアマフィア史上最大のミステリーを映画化。1980年代初頭、マフィア間の抗争が激化の一途をたどるシチリア。パレルモ派の大物ブシェッタは抗争の仲裁に失敗しブラジルへ逃れるが、残された家族や仲間たちはコルレオーネ派の報復により次々と殺害されてしまう。ブラジルで逮捕されイタリアに引き渡されたブシェッタは、マフィア撲滅に執念を燃やす判事ファルコーネから捜査への協力を求められる。麻薬と殺人に明け暮れる犯罪組織コーザ・ノストラに失望していたブシェッタは、組織の罪を告白することを決意。それはコーザ・ノストラの「血の掟」に背く行為だった。出演は「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」のピエルフランチェスコ・ファビーノ、「輝ける青春」のルイジ・ロ・カーショ。2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。(映画.comより)

 

 

 

 

 田舎にこんな珍しい映画が降りて来るなんて!夜上映しかなかったにも関わらず、飛んでゆきました。上映時間は覚悟のいる長さ。「ゴッドファーザー」は真の名作だと思っている私は、”実話”というのにも惹かれて鑑賞しました。

 あくまで個人的な感想です。マフィアのことを詳しく知っているわけでも、事実を確認したわけでもありません。しかしながら、「ゴッドファーザー」のほうがおもしろかった。もちろん、私が鑑賞した時のバックグラウンドの違いもあるでしょう。若い頃は何にでも感動したのかもしれませんし、また、かの作品は3部作ですから、細かいところも描写できたのでしょう。でも今作は、事実を延々と提示しているシーンが多く、そのため話はとてもわかりやすいのですが、メリハリに欠け冗長に感じられました。もちろん、ポスターでもわかる通り、主演男優は渋~い感じの魅力的な俳優さんで、大人な雰囲気な上、演技も素晴らしかったと思います。でもそもそも、マフィア相手に、いくらこちらの主張が正当だからって、こんな”普通の裁判”が成り立つのでしょうか。そりゃ自分のやってきたことも認めたうえで、真っ当なことを言いたい気持ちはわかりますが、最初から無理があったんじゃないでしょうか。それとも、「ゴッドファーザー」の時と違って、今はこういう”普通のこと”が当たり前に行われる時代なんでしょうか。日本にいると細かいことはわかりません。

 でも、よく考えると、マフィアに内部(それも結構深部)から牙を剥くって、ものすごい勇気ですよね。小心者の私には考えられません(笑)。それにしても、人がよく死んでました。当たり前なのかもしれませんが。エンターテイメントとしては、もう少しドラマチックな展開のほうが見やすかったかな、と思いますが、主人公の勇気に乾杯です。

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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(A Rainy Day in New York)

2020年09月25日 17時25分57秒 | 日記

A Rainy Day in New York - Wikipedia 

ニューヨーカーの雰囲気漂うティモシー・シャラメ!「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」新場面写真 : 映画ニュース - 映画.com

レイニーデイ・イン・ニューヨーク : 作品情報 - 映画.com

 巨匠ウッディ・アレン監督が、ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスら人気若手俳優たちをキャストに迎えメガホンをとったロマンティックコメディ。大学生のカップル、ギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。そのきっかけとなったのは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをするチャンスに恵まれたことだった。生粋のニューヨーカーのギャッツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを詰め込む。しかし、その計画は狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう。(映画.comより)

 

 

 

 

 シャラメ君は、雰囲気がいいからか、ここのところ同じような役柄が続いているような気がします。この辺で一発逆転しないと、ループに陥るかも。まぁこれだけ美形だとそれもアリかもしれないけれど。

 今回のシャラメ君は、散々な目に遭います。頭はいいし、お金持ちだし、今は同じ大学に通うとってもキュートなエル・ファニングちゃんと付き合ってもいるのです。それなのに、このファニングちゃんが曲者で、育ちが良くて超キュートで優しいもんだから、無意識に人々を引っ掻き回しているのです。もちろん、本人に悪意はありません。すぐに人を信じ、適当にいなすことを知らず、万人に優しくしているだけなのです。また、周りに出てくる男たちもいけませんね。彼女がいい子だからって、みんな誘いまくって本当に節操がありません。まぁかわいい子がモテるのは当たり前なのですが、みんな自分だけは大丈夫みたいな顔して誘いすぎ。彼女も育ちの良さから、ムゲに断ることを知らないから、ついテレビに映っちゃってもニコニコとコメント。なんで危険だってわからないかな。

 で、最初は必死に彼女のために動いていたシャラメ君も、最終的には目覚める、そんな話です。何度も言いますが、彼女はシャラメ君につらく当たるつもりはなかったですし、誰に対しても悪意はまったくありません。でも、結論から言うと、やっぱり自分本位だったってことなんでしょうね。自分、こんなにキュートに生まれてないんで、その心理はわからないですけど(笑)。でも、彼女はきっとそのままで生きてゆけます。人生に大きく失敗することなくね、多分。

 最終的にどうあれ、こんなにかわいく生まれて、こんなに男たちを引っ掻き回す人生って、一度やってみたい気はあります(顔と相談してません。笑)。それなりに辛い思いをするのかもしれませんが、ちょっと憧れます。短くて見やすいのもアレン巨匠の特技。さすがな作品でした。

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ファヒム パリが見た奇跡(Fahim)

2020年09月21日 17時38分28秒 | 日記

Fahim (2019) - IMDb

結末のない映画特集:「第一歩は受け入れること」『ファヒム パリが見た奇跡』ファヒム・モハンマドインタビュー/Interview with Fahim  Mohammad about

結末のない映画特集:「第一歩は受け入れること」『ファヒム パリが見た奇跡』ファヒム・モハンマドインタビュー/Interview with Fahim  Mohammad about

 バングラデシュからパリに逃れた政治難民の少年がチェスのチャンピオンを目指した実話をもとにしたヒューマンドラマ。バングラデシュで天才チェス少年として有名だったファヒムは、8歳の時に父親とともに家族を残しパリに移り住むこととなった。政治難民としてフランスに到着し、強制送還に怯える日々を送る中、ファヒムはフランスでもっとも優秀なチェスのコーチの1人であるシルヴァンに出会う。最初は警戒心を抱いていたファヒムとシルヴァンは、次第に友情を築いていく。チェスのフランス国内大会がスタートする一方で、ファヒムに強制送還の脅威が迫っていた。シルヴァン役を「シラノ・ド・ベル・ジュラック」などで知られるフランスの名優ジェラール・ドパルデューが演じる。監督は俳優としても活躍するピエール=フランソワ・マンタン=ラバル。(映画.comより)

 

 

 

 

 ジェラール・ドパルデュー!フランスにいたのですか。ロシアへ移ったのかと思ってました。ますます大きく樽のようなbodyになって、正直動きづらそうでした。

 この話は実話をベースにしているらしいです。最近多いですね「inspired by true story」って。inspiredってところがミソのような気がしますが。で、今回は政治的な理由で本国(パキスタン)を逃れた少年が、孤軍奮闘しながら人生を切り開いてゆくお話です。母親や兄弟を置いて、父親と二人で逃れてきた主人公ファヒムは、とりあえず逃れてきただけなので、知り合いもいないしフランス語もわかりません。それは父親も同じ。しかし、本国にいるときからファヒムにはチェスの優れた才能がありました。それを生かして、なんとかフランスに溶け込まそうと、父親は教室を探し出して息子を通わせます。そこの講師がジェラール・ドパルデューです。過去に素晴らしいプレイヤーだったにもかかわらず、今はただ頑固でわからずやなだけで、独身・怠惰な生活を送っています。ファヒムにいい手を指摘されてもインチキでごまかし、有無を言わせず怒鳴り散らして教室を終了したり。大人への不信感がmaxになりそうなファヒムですが、そこはそれ、子供の世界。同年代の柔軟な子供たちは、あっという間に仲良しになり、頭のいいファヒムはフランス語の習得も光陰の速さ(笑)。父親とケースワーカーとの間に入っていた通訳の大ウソをも見抜いて指摘、直接自分が通訳を買って出ます。そして、その素晴らしい才能と前向きな行動は、周りの大人をも巻き込んでハッピーエンドへと流れてゆくのです。

 とまぁ、こう書いてしまうとよくあるお話のようですが、実際そうです。私なんかは単純な人間なので、つい結果がわかっていても主人公をハラハラドキドキ応援してしまうのですが、でも実際は、こんな天才肌の子供なんて圧倒的に少数で、大多数の人たちはこんなハッピーエンディングを迎えることなく苦節にまみれて必死に生きているんだろうなぁ、と考えてしまいました。また、それがわかっていても、先進国を目指さざるを得ない人たちも、また一定数いるんだろうなぁ、とも。

 でもじゃぁ、元々先進国に生まれていればハッピーかというとそんなものでもないだろうし、家族を呼び寄せたファヒムたちの大団円を見ながら、ちょっと複雑な気持ちでした。ヒネててすみません。

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剣の舞 我が心の旋律(Tanets s sablyami)

2020年09月20日 16時03分36秒 | 日記

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 クラシックの巨匠アラム・ハチャトゥリアンがひと晩で書き上げた名曲「剣の舞」の誕生秘話を描いた伝記ドラマ。第2次世界大戦中のソ連。レニングラード国立オペラ・バレエ劇団の団員たちは軍部の監視や物資の乏しさなど様々な困難に耐えながら、まもなく初演を迎えるバレエ「ガイーヌ」の練習を続けていた。音楽を担当するアラムは、振付家ニーナから連日のように変更を伝えられ修正に追われていた。そんな中、文化省の役人プシュコフが突然、完成した舞台の結末を変更した上に、最終幕に士気高揚する踊りを追加するよう命じる。公演開始まであと8時間に迫る中、自らの作曲家人生を懸けて理不尽な挑発に立ち向かうアラムだったが……。ウズベキスタン出身のユスプ・ラジコフが監督・脚本を手がけ、ハチャトゥリアンの自伝や記録、遺族の証言を基に、「剣の舞」完成前後の2週間に焦点を当てて描いた。(映画.comより)

 

 

 

 

 音楽に疎い私でも、そのリズムを聞けば「知ってる!」と思うくらい、有名な曲。「剣の舞」という題だったのですね。もはやそれがどこの国の音楽かすらも知らなかった無知な私ですが、なるほど思想統一を強いられる第二次世界大戦時(今でもそうか知らんが)に無理難題を吹っ掛けられて、短時間で書き上げた曲だったのですね。素晴らしすぎる才能!しかも充分に士気高揚する軽やかなリズム、急に変更を強いられたダンサーたちにも踊りやすい(と思われる)音楽。すごいですねぇ、才能のある人はかくも素晴らしい成果を上げるのか、と感嘆しきりでした。

 こういう時代は、非常につまらないことでも揚げ足を取られて捕まってしまう時代。練習を重ねて体で覚えこんだダンスを急に変更されたり。芸術家にはつらい時代だったでしょうね。国民全体が監視しあうような仕組みもどこも同じ。しかも何がつらいって、曲にしろダンスにしろ(小説とかでもそうだろうが)、それに関してはよくも知らないような役人が変更を指示すること。非常識をさらに超えるような指示でも、それがまかり通ってしまう。怖いですね。本人は恥ずかしいという意識もないし。今回は、アラム・ハチャトゥリアンの才能を妬む男(プシュコフ)が役人です。いろんな手を使って権力に取り入っているゲス男でした。ヒロインのプリマドンナがとてもきれいな人なんですが、彼女はハチャトゥリアンが好きなのに、プシュコフに呼ばれたり、違う男を押し付けられたり。逆らうと踊れなくしてやると脅されたり。もう本当に理不尽です。

 本編中に、アルメニア出身のアラム・ハチャトゥリアンがある席で”アルメニア大虐殺”に言及する場面があります。ところが、無知なプシュコフは「なんなんだ、それ」と間抜けな発言をして、連れてきた女性に「アルメニア虐殺のことじゃないの」とたしなめられます。それでも「ははは。そんなもの、100年も経てばみんな忘れるさ」と発言してハチャトゥリアンにビール瓶で殴られます。その時は「申し訳ない。大変失礼な発言をしてしまった」と言い繕うのですが、以来根に持っていたみたいです。

 遠く日本に住んでいると、ロシアやアルメニアの話はなかなか身近ではないのですが、こうやって普段から聴き慣れている音楽のバックグラウンドを知ることができて、よかったです。勉強になりました。あ、そうそう。本筋に関係ないですが、ハチャトゥリアン役の俳優さんがアンドリュー・ガーフィールドに似てると思いました。

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