SNSを通じて団結した個人投資家たちが金融マーケットを席巻し社会現象を巻き起こした「ゲームストップ株騒動」の実話を映画化。ベン・メズリックのノンフィクション書籍を基に「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のクレイグ・ギレスピーが監督を務め、前代未聞の事件の内幕をユーモアたっぷりに描く。
コロナ禍の2020年、マサチューセッツ州の会社員キース・ギルは、全財産5万ドルをゲームストップ社の株に注ぎ込んでいた。アメリカ各地の実店舗でゲームソフトを販売する同社は時代遅れで倒産間近と囁かれていたが、キースは赤いハチマキにネコのTシャツ姿の「ローリング・キティ」という名で動画を配信し、同社の株が過小評価されているとネット掲示板で訴える。すると彼の主張に共感した大勢の個人投資家がゲームストップ株を買い始め、21年初頭に株価は大暴騰。同社を空売りして一儲けを狙っていた大富豪たちは大きな損失を被った。この事件は連日メディアを賑わせ、キースは一躍時の人となるが……。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・ダノが主演を務め、ピート・デビッドソン、ビンセント・ドノフリオ、アメリカ・フェレーラ、セス・ローゲンが共演。(映画.comより)
<2024年2月4日 劇場鑑賞>
自分は株をやらないので、このお話がどれほどすごいことなのかはわからないのですが、なんとなく、素人がその信条に乗っ取って行動したことが実を結ぶ、という展開は胸のすくものでした。主人公は長年株を見て来ているから、「これは間違っている」という鋭利な感覚が培われていたのでしょうね。私なんかは「そんなの、見込み違いだったらどうするのよ」とか思うわけですが、それこそ素人の感覚なんでしょうね。「だから失敗するんだよ」って(笑)。
でもこの映画の良心的なところは、それほど極悪人が出て来なかったこと。半ばでイケメン二人が颯爽と登場して株の新興企業を立ち上げ、成功してゆくのですが、でもたぶんにそのカッコよさが利用されただけで、少し問い詰められるとあっさり白旗を挙げて不備を認めていたし、そんなに悪い人でもなさそうでした。ウォール街の人たちは少々痛い目に遭ってもお金あるだろうし。それ以上の背景がよく理解できない素人なので、楽しめてない部分もあるのかもしれませんが。このイケメン経営者の一人が「アベンジャーズ」バッキーでした。作品によって本当にイメージがガラッと変わる、芸達者な人ですね。「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」では冴えない男で、バッキーだと気づかないほどでした。「アベンジャーズ」では常に憂いのある表情、今回の映画はさわやかすぎるイケメンでした。
<ここからネタバレ>
主人公(ポール・ダノ)に共鳴する仲間たちのおかげで、彼は成功するとともに一躍有名人に。その他、彼を支えた”普通の人たち”もいくらかの利益を得てハッピーエンドでした。しかし、その後彼はふいに姿を消し、今もその行方はわからない、という最後のテロップを見て、複雑な思いでした。彼が好んで姿を消したのならそれでいいのですが、その後どうしているのかなぁ、生活はできてるのかなぁ、とか老婆心が芽生えた私なのでした。
<生活はできてるのかなぁ、
たしかに気になりますね...