フランスの名匠クロード・ルルーシュ監督が1966年に手がけ、第19回カンヌ国際映画祭パルムドールとアカデミー外国語映画賞、脚本賞を受賞した名作恋愛映画「男と女」のスタッフ&キャストが再結集した続編。前作の主演アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが同じ役柄を演じ、53年後の2人の物語を過去の映像を散りばめつつ描いた。元レーシングドライバーのジャン・ルイは、現在は老人ホームで暮らし、かつての記憶を失いかけている。ジャン・ルイの息子はそんな父のため、父がずっと追い求めている女性アンヌを捜し出すことを決意。その思いを知ったアンヌはジャン・ルイのもとを訪ね、別々の道を歩んできた2人はついに再会を果たす。(映画.comより)
この作品を見るために旧作をレンタルして復習したのです。しかし何かで、当時に同じ監督や俳優さんたちで続編があったことを知りました。どうやらそちらも話が続いていた模様。とすれば、今回の作品は単純に考えて3作目。スタッフの全然違う「男と女Ⅱ」は、公開当時に劇場で見た覚えはあるけど、ほとんど記憶に残ってないし、そもそも話がつながっているわけがない。話が飛んだ感じで理解できなかったらどうしよう、と思いながらの鑑賞となりました。
結論から言うと、杞憂だったのではないかと思っています。なぜなら、新作は昔の映像を織り交ぜながらの親切な展開で、ちゃんと比較するべき部分が比較できるよう、モノクロの映像と現在の映像が対比的にクロスするようになっていたからです。これなら、旧作を見直さなくてもちゃんと理解できたなぁ、と思いながらも、モノクロの部分は全部見覚えがあったし、現在のパートは見ていてわかるし、2作目はなかったことになっているのかなぁ、という印象を受けました。もちろん、見ていないものがわかるはずはなく、あるいはモノクロではないからわからなかったとか、そんなところなのかもしれません。どなたか、すべて鑑賞した方がいらっしゃれば、教えて欲しいです。
個人的には、「赤の愛」以降にジャン・ルイは亡くなったと思っていたので(すみません)、お元気な姿に感激しました。また、アヌーク・エーメも、歳こそ取られたけれど、相変わらず美しい。こんなきれいなおばあちゃん、他に知らないです。同じ女として、こんな歳になってもなお求められる、というのはなんと素晴らしいことだろうと思います。また「誠実な人と出会って、愛されて大切にされて過ごしたの」とジャン・ルイに話すシーンがあって、さすがだと思いました。日本人の中に、同じように言ってのけれる人が、いったいどれくらいの割合でいるでしょうか。素晴らしい。言葉の裏に”あなたといたときのように刺激的ではなかったけれど”という語感を含むのかもしれないとは思いましたが。
今回は監督や主演だけでなく、それぞれの息子や娘を演じた子役まで引っ張り出してきたとのことで、みな感慨深かっただろうなぁと思います。不朽のテーマソング「ダバダバダ、ダバダバダ」も存分に聞けましたし、老人ホームと言うのはいかにもリアルで最初はちょっととまどいましたが、でもこういう広がりもアリなんだろうなと思いました。美しく歳を取りたいものです。
ちなみに、わが過疎県和歌山でも、この日を最後にコロナ禍で映画館をクローズしたのでした。時に2020年4月24日(金)でした。