田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ブラック アンド ブルー(Black and Blue)

2020年08月31日 15時10分01秒 | 日記

  

ブラック アンド ブルー

 

Black and Blue | WCBE 90.5 FM

 

Black and Blue Screening (NYC) – 4 Geeks Like You

 「ムーンライト」でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、「007」シリーズでも活躍するナオミ・ハリスの主演で、警察の汚職や麻薬密売が横行する現実に立ち向かう女性警官の姿を描いたポリスアクション。ルイジアナ州ニューオーリンズにある故郷の街で、警察官として第2の人生を歩み始めた退役軍人のアリシアだったが、黒人というだけで理不尽な扱いを受けたり、不当な差別を受けたりする日々が続いていた。そんなある日、先輩警察官とともに通報があった現場に急行したアリシアは、そこで警察官が麻薬の売人を殺害する場面を目撃する。見てはならない場面を目にしてしまったアリシアは、口封じのために同僚の警察官から追われる身となってしまう。(映画.comより)

 

 

 

 

 根深いですね、本当に。今現在、アメリカでは事件が起きるたびにデモ、の繰り返しですが、根本的な解決策ってあるのでしょうか。いくらアファーマティブアクションみたいに、社会的弱者を優遇する措置を打っても、人々の意識を変えなければ、結局変わらないですよね?

 冒頭から、退役軍人(強い!)で今は警官として働くナオミ・ハリスが、新しい赴任先(故郷の町)で朝のランニングをしているだけで、いきなり警官に呼び止められるシーンから始まります。相手が黒人の女性だと思ったら、なんとも乱暴な扱い。なんにもしてないじゃないですか。見ていて本気で腹が立ちました。もちろん、ナオミは大人ですから、世の中ってそういうものだとわかっているので(多分同じような経験もある)、大人しく言うことに従っています。すると警察バッジが。「彼女はブルーだ」と相方に言われて手を離す警官。自分の間違いを認めたくないので、捨て台詞を吐きながら立ち去ってゆきます。でも、話のポイントはそこじゃないんです。そういうことがあまりに当たり前なのか、ナオミもいちいち糾弾しません。その後も警官の横柄さは何度も描かれるのですが。

 要するに、警官の不正(汚職)についての話なのですが、街全体がもう沈んだ街なのでしょうね。すさんだ住民、町ぐるみで抱え込んでる汚職、金。子供たちにしても、その親たちにしても、なんでそんなに物を言う都度つっかかるんですか。普通に会話できないのですか。最近、映画を見ていてとみにそう思います。そういう描写が多いなぁって。こちらが「こんにちは」とか、この映画の場合はナオミが同級生を見つけて「元気だった?」とか言っただけです。なんで喧嘩売るの?会話が成り立たないじゃないですか。私がそういう映画を選んで見てるのかしらん。「レ・ミゼラブル」(最近のね)とかね。それだけ世の中に歯向かって行かないと生きてゆけないのかもしれないけれど。

 タイリーズ・ギブソンが出ています。彼を「fast&furious」シリーズ以外で見るのは初めてかもしれません。今回は、ナオミの幼なじみで、唯一の味方です。最初はビビってた彼が、味方してくれたのは、この街の警察等、権力に腹を立てていたからです。真面目に働いているのに、いつも偉そうに言われて不当な扱いばかり。それにナオミの正義感も知っていました。元軍人なんて、カッコいい!と実は思っていたりします(笑)。

 ともかく、シビアな世界でした。でも、ここで汚職を一掃しても、また違う人たちがやるだけですよね、今度はもっときちんと組織立てて(笑)。ナオミが「プロメテウス」のノオミ・ラパス並みのサバイバルを繰り広げただけに、ここまでやったって現実はね・・・と、後味悲しい映画でした。もちろん、そんな余計なことを考えなければスカッとする映画なのかもしれません。

 

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エジソンズ・ゲーム(The Current War)

2020年08月27日 17時31分58秒 | 日記

New THE CURRENT WAR posters Initially... - Benedict Cumberbatch ...

カンバーバッチがエジソンを演じる『The Current War』予告編が公開!

Review: 'Current War: Director's Cut' brings to light the Edison ...

 発明王エジソンとライバルたちがアメリカ初の電力送電システムをめぐって繰り広げたビジネスバトル=電流戦争を映画化。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のベネディクト・カンバーバッチがトーマス・エジソン、「シェイプ・オブ・ウォーター」のマイケル・シャノンがライバルのカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスを演じ、共演にも「女王陛下のお気に入り」のニコラス・ホルト、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランドら豪華キャストがそろった。19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球の事業化を成功させた天才発明家エジソンは、大統領からの仕事も平然と断る傲慢な男だった。実業家ウェスティングハウスが交流式送電の実演会を成功させたというニュースに激怒したエジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。事態は訴訟や駆け引き、裏工作が横行する世紀のビジネスバトルへと発展していく。監督は「ぼくとアールと彼女のさよなら」のアルフォンソ・ゴメス=レホン。(映画.comより)

 

 

 

 バッチさん、ひねくれた天才役があまりに似合うものだから、彼の演技に目がいって、結局「直流VS交流」だということぐらいしか理解できなかったアホな私です。いや、そういう話なんですが、でも細かいところ、例えばエジソンは実際は商才にたけた人だった、とかテスラの功績とか(この3人が同時期の人だったと初めて知った)、交流と直流のなにがどういけなくて、じゃぁ混在させることはできなかったのか、とか、そのへんがよくわからなかったのです。映画ではフィクションもあるのか知らないけれど、バッチさんがこだわりの変人で、ウェスティングハウスを演じたマイケル・シャノンがいい奴みたいな描かれ方でした。マイケル・シャノン!あのツラだから、わりと悪役が多いのに、今回はいい奴でした。個人的には”今に化けの皮がはがれるんだな”と思ってました(笑)。シャノンのファンのかた、ごめんなさい。

 ところで、テスラ氏って、他の映画でデヴィッド・ボウイだったこともあるし、今回はニコラス・ホルト。現実にも美青年だったってことね。白黒写真、横向きしか知らんけど。あと、個人的な勘違いで、バッチさんの秘書を「ジェイミー・ベルっていつまでも若いなぁ」と最後まで感心していました。クレジットを見て初めて「トム・ホランドだ!」と気付いた私です。アホだ~。

 ともかく、「エニグマ」のときとほとんど見分けがつかないバッチさん。違うと言えば、ゲイじゃないくらいか。味のある変人顔だとは思うけど、演技力があるだけにもったいない。次はベタベタのメロドラマなんかどうですか?ダメかなぁ・・・。

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透明人間(The Invisible Man)

2020年08月23日 16時30分49秒 | 日記

映画【透明人間】のネタバレ!2020年の最強ホラーと噂される本当の理由 ...映画『透明人間』死んだ元カレが”透明人間”に?心神喪失狂気のサイコ ... 

映画【透明人間】のネタバレ!2020年の最強ホラーと噂される本当の理由 ...

 「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モス。(映画.comより)

 

 

<ちょっとネタバレ>

 こ、怖い。怖すぎる。人であれ物であれ、これほどの執着を示す人を私は知らない。一般社会で生きづらいんじゃなかろうか。それは自己顕示欲なのか、単に本当に彼女を愛しすぎていて、彼女抜きの人生が本当に考えられらなかったのか。あるいは、自分に自信のある成功者が「自分の元から女が逃げる」ということを許容できなかったのか。凡人な私には”透明人間”となった男の心のうちはわからないけれど、目を背けるような殺人現場もあり(それは彼女に罪を着せるためではあるけれど)、いくら変人でも偏執狂でも、やっていいことと悪いことのわきまえがなさすぎると思いました。博識なんですよね?成功していてrichなんですよね?こんなことが平気でできるのなら、今までもかなり女性を痛い目に遭わせて来てるんじゃないですか?

 まぁ映画ですから、理屈で見てはいけないんでしょうけれど、その辺のB級ホラーより怖いと思いました。実際、主人公のエリザベス・モスがもう少し弱い女性だったら、あれほど果敢に挑まなかったら、彼女が「精神に異常をきたした」で終わった話なんでしょうね。本当にありそうでマジ怖い。自分はおばさんだから、こんなに執着されることはもうないけれど、体力のある若い時にこんな目に遭ったら、こんなに強くなれただろうか。でも、なんにもしてないのに、こんなに恐ろしい罪を着せられるのは死ぬほどいやかも。やっぱり立ち上がったかもね(笑)。

 ラストはどんでん返しっぽいとは思ったけれど、どこか中途半端な感じがしました。エリザベスの意図を読みかねたからです。最初からそのつもりだったのか、あまりの仕打ちにどこかの時点で計画していたか。でも方法も拙いと思ったし、逃げ切れるとは思えない。まさか夢オチではないとは思うけど。

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WAVES ウェイブス(Waves)

2020年08月17日 16時08分16秒 | 日記

Waves Movie Poster – My Hot Posters

Waves movie review & film summary (2019) | Roger Ebert

How 'Waves' Got Kanye and Kendrick on Its Soundtrack - The New ...

 「イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた青春ドラマ。ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く。フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。主人公タイラーを「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。(映画.comより)

 

 

 

 予告の時点でそうだったけれど、若者受けするPVみたいな演出。にぎやか過ぎる音楽は私のような中年には少々うるさく感じられるほどでした。でも、物語は普遍的なものでした。

 主人公の男の子は、何不自由ない暮らしにスポーツ万能。見栄えのする彼女もいる。もちろん、常識的な謙虚さはあっただろうけれど、それでも「自分に満足している」タイプだったんじゃないかな。父親は息子に期待している分、厳しく当たっています。この父親が微妙だった。どこがどうって、きちんと指摘できるわけではないんだけれど、厳しさが少しずれてる感じだった。息子のことを愛しているのは、わかる。世間に迷惑をかけないようにと厳しく躾けているのも、間違ってない。レスリングでいい結果を残している息子に、これからを期待しているのも、当然。真面目でいい人なのは間違いないんだけれど、息子からすれば「どこか、違う」。難しいね、今は自分も親となっているから、真剣に考えてしまいます。自分も同じような思いをさせているのではないかって。

 さて、実はこの主人公、肩を負傷していてレスリングを続けるのは難しいとドクターに勧告されているのです。でも、大事な試合を控えた今、父親にそんなこと切り出せません。結果、痛み止めを飲みながら臨んだ試合、派手に負けてしまいます。隠していたことが両親にもバレ、自暴自棄になったところで今度は恋人が「妊娠した」と打ち明けてきます。頭パニック。でも、僕たちは未成年(高校生)。深く考えることなく「当然おろすんだろう」と思っています。でも、女性にとってはそんな簡単なことではないですね、彼女は決心がなかなかつかず、とうとう「産みたいの」と切り出します。「えぇ~そんなバカな!」再び頭パニック。この辺になってくると、男の身勝手さが前面に出て来て、女としては腹が立ちましたね。で、あるとき取り返しのつかないことが起きてしまうのです。

 映画の後半は、この主人公の妹の話にシフトします。妹は、父親が息子に肩入れするあまり、ほったらかしにされてきた感じで、この辺は最近見た「ハチドリ」の主人公とダブる感覚でした。SNS全盛な今、事件を起こした少年の家族は非難にさらされていて、妹もいつも一人で過ごしています。そんな妹に声をかけたのが兄と同じレスリング部だった少年(ルーカス・ヘッジス)。色々言う奴らを「ほっとけ」と言ってくれます。そんな彼も、根の深い家族の問題を抱えていたのでした。そんなお話です。

 家族って、本当に難しい。心から愛していても、空回りする。若い頃は無茶もする、それで家を飛び出してしまったら、帰れない。じゃ、真面目に家にいて教育熱心だったらいいかというと、そうでもない。放任しててもいけない。でも、忙しく働かないと、生活にはお金がかかる。もう、永遠のテーマであり、永遠に解けない問題なのでしょうね。

 でも、主人公の少年がやったことは、故意ではないとしても、絶対にいけません。許されるものではないですし、取り返しのつくことではありません。だから、やっぱり人はどんなに理不尽に思えても、どこかで踏みとどまるしかないのです。そのとき理不尽極まりないと感じていても、後に納得できることだってあるのですから。

 個人的には、これだけのお話なんだから、音楽がうるさくなければもっとよかったかも、と思います。高校生なのに、あのうるさいディスコ(?)でのアホ騒ぎはなんなのでしょうね。よくわからないです。

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アングスト 不安(Angst)

2020年08月16日 16時20分28秒 | 日記

Angst

Cosmic Courier on Twitter:

異常!危険!『アングスト/不安』新ポスタービジュアル・新場面写真 ...

 あまりに<異常>でほぼ「封印」されていた、途方もない傑作である。裁判の際、「女性が私のために恐怖で震えているのが大好きだ。それは中毒のようなもので、絶対に止まらない」「私は単に殺人への欲望から彼らを殺した」と語った、殺人鬼ヴェルナー・クニーセクが起こした1980年1月、オーストリアでの一家惨殺事件。約8年の刑期を終えて予定されていた釈放の1ヵ月前、就職先を探すために3日間のみ外出を許された際の凶行だった。決して世に放出してはならなかったこの狂人の異様な行動と心理状態を冷酷非情なタッチで描写した実録映画が『アングスト/不安』だ。斬新なカメラワーク、狂人のモノローグで綴る構造、そして全編徹底された冷たく陰鬱なトーン。

荒涼とした暗鬱の世界をとらえる映像はひたすらに暗く寂しく、静謐な空気のなか響く狂人の魂の囁きが異常性を際立たせる。描かれる内容もさることながら、作品自体が<異常>であり、その凄まじさは他に類を見ない映画史上に残る芸術性をも発揮、観る者の心に深い傷痕を残す。1983年公開当時、嘔吐する者や返金を求める観客が続出した本国オーストリアでは1週間で上映打切り。他のヨーロッパ全土は上映禁止、イギリスとドイツではビデオも発売禁止。アメリカではXXX指定を受けた配給会社が逃げた。ジェラルド・カーグル監督はこれが唯一の監督作。殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと全額自費で製作、全財産を失った。発狂する殺人鬼K.を熱演したのは『U・ボート』(81)のアーウィン・レダー。(作品公式ホームページより)
 
 
<参考>
 1946年、ヴェルナー・クニーセクはオーストリア・ザルツブルグに私生児として産まれる。学校を休みがちで、家出と盗みを繰り返した。
1963年、16歳の時に自分の母親をナイフで10回刺し、ドイツへと逃亡。母親は生き延び、殺人未遂で彼はハンブルグで逮捕され、2年の拘禁を処された。
何件かの強盗の後、1973年、クニーセクは73歳の女性の家を訪ね、突然に銃で撃った。彼は自身の精神の異常を訴えたが、懲役わずか8年半となる。
1980年、就職活動のために3日間の仮出所を許された彼は、55歳の母親、26歳の車椅子に乗った障害を持つ息子、24歳の娘の3人の住む家の窓を破壊して侵入。夕方に帰宅した母親と娘をロープで縛り、強盗だと思った母親はクニーセクに小切手を渡した。
しかし、彼の動機は「殺人に対する純粋な欲望」であったため、3人を7~11時間に渡る素手での拷問の末に絞殺した。一度、母親を延命させるために薬を与えたという。彼らの飼っていた猫も殺害された。クニーセクは、彼らの遺体とともに一夜を過ごした。
遺体を家族のメルセデスに詰め込んだクニーセクは、レストランを訪問。食事の際も黒い手袋を身に着け、現金を大量に所持する無口な男を不審に思った従業員は、車のナンバープレートを書き留め、憲兵に通報。
一方、3人家族の家屋の壊れた窓を発見した憲兵は、彼らが行方不明となっていたため車の所在と共に捜索を始めていた。間もなくしてクニーセクは逮捕され、トランクの中から遺体が発見された。 彼は地方裁判所の独房で自殺を試みたが、失敗に終わる。1980年7月、終身刑を宣告される。
1983年、スタイン刑務所からの脱走を試みるが失敗。 (作品公式ホームページより)
 
 
 
 
 
 こんな映画、なんで今頃公開の運びになったのでしょうね。確かにmadです、とても。でもね、当時はとても衝撃だったことは想像できるのですが、今やもっと「気のふれた」映画って、いくらでもあるじゃないですか。いやいくらでもっていうのは言い過ぎかもしれないけれど、とにかく人知を超えた行動をとる人っているし、それはそれで一般社会では迷惑以外のなにものでもなくても、本人にとっては一定の原理みたいなものがあって、筋が通ってるんだ、っていう世界観の映画。ありますよね。
 ただ、この映画に関してはそういう”価値観の押し付け”みたいなのはなかったですね。主人公は純粋にmadなんです。まぁ元来みんなそうなんでしょうけれど。もちろん、育ってきた環境が「かわいそう」だったんだという描写はありました。私生児だったうえに、母親だけではなくて祖母まで毛嫌いしていじめた、とかね。そんなこと生まれてきた子供のせいではないし、色んなことが同情に値するとは思いましたけれど、でもねぇ・・・この映画で見る限りは、見かけも悪くないし身体だって五体満足なうえ、身長だって低くない。環境は不幸としか言いようがないとは思うけれど、生まれ持って変わったところはあったのでしょうね。見かけだけで一生差別を受ける人だっているのだから。
 
 監督は、長編はこれ1作のみっていうのが不気味ですね。あまりの過激さに、興行的には大失敗だったようですけど、その後映画以外の分野で、それなりに成功しているようです。個人的には、やはり古いからか、展開がスロー過ぎた気がします。まぁ素人が殺人をするのだから、そんなものかもしれませんが。「8mm」のほうがはるかに怖かったかな。
 
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