徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

追悼 チャールトン・ヘストン

2008-04-06 21:15:47 | 映画
 ハリウッドの巨星がまた一つ、流れ星となって遠くへ飛び去った。少年時代に夢と希望を与えてくれた多くのスターたちの中でも、特に彼は大きな存在だった。「十戒 (1956)」でのモーゼ役以降、大スターへの道を駆け上り、数々の映画史に残る名画を残した。しかし、訃報に接するとなぜか、スクリーンで初めて出逢った若手時代の頃が思い出されてならない。中でも思い出すのは次の2本だ。合掌。

■黒い絨毯(1954)
南米アマゾン川上流のジャングルを開拓したココア農園が「マラブンタ」と呼ばれる兵隊蟻の大群に襲われる。「地球最後の日」などで知られるジョージ・パルがバイロン・ハスキンと組んで作ったSFパニック映画。主人公の農園主を演じるのが、当時、新進気鋭の若手俳優だった29歳のチャールトン・ヘストン。ギリシャ彫刻のような風貌が印象的だった。共演は「サウンド・オブ・ミュージック」などのエリノア・パーカー。CGがまだ無かった時代に、兵隊蟻の恐怖をリアルに描いた特撮技術は素晴らしい。ちなみに邦題の「黒い絨氈」とは、黒い絨氈を敷き詰めたように、蟻の大群が地面を覆い尽くすという意味。


黒い絨毯(1954)

■遥かなる地平線(1955)
西部開拓史上有名な、メリウェザー・ルイスとウィリアム・クラークによる「ルイジアナ・パーチェイス」探検を描いた冒険活劇的な西部劇。監督はルドルフ・マテ、主役の二人をフレッド・マクマレーとチャールトン・ヘストンが演じている。ウィリアム・クラークを演じるのがチャールトン・ヘストン。道案内を務めるショショーニ族インディアン酋長の娘サカジャウィア(この人も実在の人物)、演じるドナ・リードとの恋模様も見ものだった。大画面で観る未開の地、西部の風景にワクワクしながら観たことを憶えている。

遥かなる地平線(1955)


【追記】
昨日以来、テレビや新聞ではチャールトン・ヘストン逝去のニュースが大きく報じられている。しかし、そのどれもが枕詞のように「全米ライフル協会会長を務めていた」と紹介する。これが残念でならない。協会の会合で銃を振り上げる姿はまるでタカ派の象徴のような印象を与えているが、もともと彼はリベラルな思想の持ち主だった。われわれが高校生の頃、アメリカは公民権運動が最も激しかった時期で、彼はこれを積極的に支援し、運動の象徴的な存在だった。どうも俳優仲間のロナルド・レーガンを支援するようになってから、方向性が変わってきたらしい。また、大学の同級生だったリディア夫人とはとうとう終生を共にし、離婚歴の無い珍しいハリウッドスターでもあった。理想的なファミリーとして「スクリーン」などの映画誌にも度々登場した。


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