<衆院選>新党続々比例票どこへ 民進票は希望?立憲? 佐賀情勢
10/19(木) 8:33配信
佐賀新聞
激戦小選挙区 支援の見返り、自民候補「公明に」
与党が突然の解散を仕掛け、野党側は再編劇から二つの新党が生まれるなどめまぐるしい展開を見せる衆院選。定数1減の20議席を争う比例代表九州ブロックには8政党・政治団体が候補を立てた。事実上の解党となった民進党票の行方をにらみながら、既存政党と新党が危機感を強めて票の争奪戦を繰り広げている。
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自民党本部が比例九州の名簿順位を発表した9日、県連幹部は安堵(あんど)の表情で指を3本立てた。比例単独の前職今村雅弘候補(70)が単独3位に優遇された。前回は小選挙区重複立候補者より下位の31位。公明から小選挙区で支援を得る見返りに、比例は公明に投じる協力関係が機能しにくい状況に陥った。「今回も下位だったら公明とぎくしゃくする可能性があった。上位指名は厳しい小選挙区で何よりの援軍」と胸をなで下ろす。
1区の岩田和親(44)、2区の古川康(59)の自民両候補は街頭演説や決起大会で「比例は公明」と連呼する。公明関係者は「自民の対応が違う。『お世話になっている』『何でも言ってくれ』とヨイショされる」と歓迎する。
公明は前回、悲願の九州4議席を獲得し、その死守が至上命題だ。「新党ができると、有権者はそちらに引っ張られる」と危機感は強い。報道各社の世論調査では自民の堅調さに比べ、公明が伸び悩んでおり、県内では5万8千票を目指し組織をフル稼働する。
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野党の比例票の行方は混沌(こんとん)としている。民進最大の支援組織、連合佐賀は2区で希望前職の大串博志候補(52)を推薦しており、「産業別労働組合の指示がない場合は比例は希望に」と各労組に要請した。
ただ、組織内候補の公認関係から希望と立憲民主に分かれている産別労組も。連合佐賀幹部は「比例復活の可能性を高めるために希望に集中するのが望ましいが、状況が変わってしまい比例票の分散は避けられない」と気をもむ。民進県連は支援者から問い合わせがあれば、「比例は希望で」と訴えている。
1区の無所属前職原口一博候補(58)が希望の公認を辞退したことで、共産は候補擁立を取り下げた。市民連合さがを介して共闘を実現させた。政党の街宣車を走らせ「原口さんを応援しています。比例は共産党」と声をからす。九州で90万票、県内で前回のほぼ倍の4万6千票を目標に掲げ、3議席獲得を狙う。「気持ちよく原口候補を応援している」と県委員会の今田真人委員長。「原口支持層の比例票を呼び込むというより、自民、公明、希望の票を減らすことを第一義としたい」と意気込む。
「三つどもえの中で埋没してしまうのでは」。そんな悲壮な声を上げるのが社民だ。17日に来佐した吉田忠智党首は総決起集会で「立憲民主に食われている」と政権への批判票が分散している現状を説き、比例での2議席確保を最重要課題として県内で2万5千票を目標に据える。