バッハからクレープス、アーベルへとつながる18世紀ドイツの音楽を、世界各地・各誌で高い評価を得ているヘレン・カルスが演奏。ヴィオラの豊かでコクのある音色を程良い残響が活かしていて、その伸びやかに深く呼吸する奏法が胸の奥へと沁み渡ります。そしてチェンバロの溌剌とした表情がまた実に清々しく、単純な伴奏に留まらずに主張が明白な点も特色。バッハのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタはどれも活力ある演奏で、とりわけ第3番の第2楽章は楽曲の内容と演奏の質が見事なまでに合致していて、深く深く心の根元まで旋律が降りてきます。クレープスとアーベルの2作品はカルスによる編曲ですが、特に前者は必聴中の必聴!! これ程までに儚くもしなやかで美しい、闇も光も混在した陽炎の如き世界はバッハをも凌駕する凄みと慰めがあります。作品の襞に秘められた滂沱の涙が、聴く者の魂を揺さぶります!!
ヘレン・カルス(ヴィオラ)/リュック・ボーセジュール(チェンバロ)
Analekta
AN29879
ヘレン・カルス(ヴィオラ)/リュック・ボーセジュール(チェンバロ)
Analekta
AN29879