銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

グエルチーノ展

2015年04月09日 20時28分59秒 | 美術
国立西洋美術館で開催中の、グエルチーノ展に行ってきた。

最初に、『東京・春・音楽祭』の一環として行われた記念コンサート(14:00~)を聴く。美術館内の講堂で、国立西洋美術館主任研究員の方の話を聞いている途中で具合が悪くなってしまったが、薬を飲みながら必死に耐えて、最後まで座席で音楽に触れた。途中退席すべきかもとも思ったが、せっかく購入したチケットを無駄にはしたくない。
そんな状態だったので、音楽の細かなニュアンスやメロディーラインの美しさなどに集中できなかったが、江崎浩司さんや宮崎容子さん、永谷陽子さんの楽しげな演奏は充分に伝わってきた。普段なかなか聴くことのできない、珍しい楽曲を耳にできて幸せだ。できることなら、もう一度聴きたい。

演奏後は具合も少し良くなったので、展示そのものを観て回った。巨大なキャンバスに巨大な人物や天使、鳩や犬などの動物が堂々とした趣で描かれていて、とにかく圧倒された。存在感、というか実在感が迫って来る感じ。陰影が深いものもあれば、鮮やかな色合いの作品まであり、特に『サモスの巫女』という作品ではラピスラズリを使った青いマントが鮮やか且つ艶やかで、見惚れる人も多いような気がする。一番気に入ったのは、トップ画像にもある『聖母被昇天』。クレオパトラが自分の胸に毒蛇を噛ませて自害する絵も興味深かった。
ざっと観終えた作品をもう一度鑑賞し直そうと入り口付近へ戻ると、先のコンサートを終えたばかりの宮崎容子さんがヴァイオリンを背負いながら1人で展示を観ていた。話しかけたい衝動に駆られたが、静かに絵の世界を堪能したい事だろうと思えたので、そのまま彼女の後ろ姿を見送った。

久し振りに西洋美術を鑑賞した。
図録は、あとでゆっくり見ることにしよう。