銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

雲を待とう

2010年07月12日 04時00分57秒 | 散文(覚書)
追いかけてくる雲がある

霞んだまま

物も言わず

だけど時々その口元に

思い出を湛えて



もうずっと昔の話だよ

バニラアイスを買ってくれた祖母

スイカを切った、しわしわの手

しわしわの顔



そう

夏は雲に限る

ハンモックの隙間から腕をダラリと垂らして

白のグラデーションに

目を細める



麦藁帽子は風の波にさらわれ

幼少時代をひっくり返す



まどろみの囁き

茫漠たる夢の続きよ



それでも

雲をずっと見上げていたい

自分が

胴上げされてるような気分になれる



ああ、イジワルだよ

いま食べているこのカップのバニラアイスの中に

閉じ込めてしまいたい



明日は丘に腰を反らして

雲を待とう

胴上げの高さが

増すだろうから