〝思い出のマーニー サウンドトラック〟

『思い出のマーニー』のサントラ、もう堪らない。正に潮の満ち干きの様に、こんなにも胸の中へ沁み入ってくるなんて…愛おしくて、堪らない……。 “ やさしいかなしみ ” というものがこの世にはあるのだという事を切々と、そっと、確かに紡いでいる。それこそ、“ 目には見えない魔法の輪 ”。

楽曲によって、スタインウェイとベーゼンドルファーを弾き分けているのも素晴らしい。特に前者は、心の襞（ひだ）に沁み入る雫の音の様で、かけがえのない記憶をたぐり寄せる様な雰囲気も持っている。静かに素足を水の中へ入れる、その感覚と気持ちが伝わってくる。

『アルハンブラの思い出』をアレンジして、マーニーのハミング用の曲にした事がまた秀逸。原曲が暗い曲調なのに対して、編曲されたものは懐かしい、あたたかい雰囲気をまとっている。劇中でもそうだしサントラでももちろんだが、子どものマーニーver.から歳を経たマーニーver.の流れが泣けてくる。