銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

こずえちゃんへ

2015年07月30日 20時32分30秒 | 散文(覚書)
こずえちゃんへ
こずえちゃんへ

僕は叶うことなら今すぐにでもお会いして
こずえちゃんに謝りたい
こずえちゃんの頭を殴ってしまったことを謝りたい
遊びの流れの中だったとは思うけど
バットで頭を殴ってしまったことを謝りたい

同じ団地の同じ階に住んでいたこずえちゃん
僕はこずえちゃんという名前を忘れていて
今ではもうその顔さえ霞のまた霞になってしまっているけれど
母親からようやく名前を引き出せた

幼い僕より小さかったこずえちゃん
幸せでいますか
元気でいますか
どこで暮らしていますか
僕はこずえちゃんに会いたい
会ってあの日のことを謝りたい

どうしてあんな残酷なことをしてしまったのか
どうしてもっと楽しく遊べなかったのか
ごめんね
本当にごめんね

あの日のこずえちゃんへ
今の日のこずえちゃんへ

会いたいよ
トゲが刺さったように
会いたいよ
ずっとずっと
心の深い深いところで
こずえちゃんのことが刺さっているよ




しずかな雨

2015年07月16日 23時41分47秒 | 散文(覚書)
雨が降ったり嵐が来たとき
虫たちはどうしてるの?

黒い毛布をかぶって寝ているのさ

鳥たちも?

眠れない人の心の中を飛んでいるのさ

そこは雨?

鳥が静かに鳴いている
世界のはしっこだよ

虫たちは起きないのかな?

大丈夫
夢がまた夢を呼ぶから

花壇の隅っこにも
雨は降るものね



そう簡単に

2015年07月14日 02時31分38秒 | 散文(覚書)
でもさぁ
何があったって諦めるわけにはいかないんだよ

ひとりぼっちのような気はするけど
絶望に囲まれている気配はするけど
生きている限りは
崖の高さとでさえ背比べができるじゃないか
無力感で流す涙でさえ熱をもっているじゃないか

だから
そう簡単に項垂れるわけにはいかないんだよ
そう簡単に行き倒れるわけにはいかないんだよ