先日(2008年7月22日)、NHKの爆笑問題のニッポンの教養「どこから来たのか、ニッポンのヒト」を見た。なかなかおもしろかったので、内容を紹介したい。
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今回登場するのは、国立科学博物館の篠田謙一氏。彼は、遺跡から発掘される人骨からミトコンドリアDNAを抽出して分析し、人類の系統樹を作っている。もちろん、ミトコンドリアは必ず母系遺伝するという前提に関しても諸説があるので、あくまで一データとして見る必要があるが、これはこれでなかなか興味深い。
※mt-DNAによる分子時計の根拠については、以前このブログにまとめたので、こちらをどうぞ。
進化系統樹作成の根拠となっているDNA解析ってどんな手法?根拠は何?
進化系統樹作成の根拠となっているDNA解析ってどの程度あてになるの?
(前提に相当アヤシイ部分もあるので、科学として全面的に信用できるわけではない。要注意!)
※画像はhttp://www.geocities.jp/ikoh12/honnronn4/004_08_1.mitochondria_karamita_sosennhtml.htmlより
これ↑は、番組にもちょろっと出てきた図解。実際、番組での中心的に使われたのは、もっと細かく分類してあるドでかい系統図だったが…
この研究によると、現代人に直接繋がるのは、たった15万年くらい前に東アフリカに住んでいたわずか数千人くらいの群れである…ということになる。その母集団が現代人65億人となって世界中に広がっているのだ。
人類史(チンパンジーと共通の祖先から枝分かれした)は500万年と言われている。多くの人類の亜種が生まれ、絶滅していった。そして、何度かアフリカ大陸を出た亜種もいたが(北京原人、ネアンデルタール人など)、ことごとく生き残ることはできなかった。
ホモ・サピエンス・サピエンスは、15万/500万…つまり人類史のたった3%を生きてきたにすぎないのだ。
番組ではさらに、篠田教授はこんな世界地図を使って解説してく。
※画像はhttp://blogs.yahoo.co.jp/ogw3ogw3/36932937.htmlより
アフリカを出て世界に拡がったのは、東アフリカに生きていた数千人の初期ホモサピエンスの子孫のうち、わずか10万年前より最近、たまたま(何らかの事故で?)紅海をアラビア半島に渡った、たった数百人の人類集団だったことが類推されるという。
要するにヨーロッパ人もアジア人もインディアンも、遺伝的にはたいして変らないということである。
メディアではアメリカの大統領に黒人がなるかもしれない…などと大騒ぎしているが、もともと「人種」などという概念は、ヨーロッパ人が有色人種を大量虐殺し奴隷として支配する口実としてでっち上げた、ほとんど科学的根拠の無い幻想にすぎないということである。
いまだに、「人種」に過剰にこだわり対立を煽る人や、「人種的に白人の方が優位だ」などというタワゴトを未だに吐いている人は、この事実を真摯に受け止める必要があるだろう。
65億にものぼる人類のルーツをたどると、すべて東アフリカのわずか数千人のグループに行き着き、しかもその歴史はたった15万年ほどしかない…。それは、生物史において、ほんの一瞬のできごとである。
全ての人類に共通する基本的な特徴↓は、亜種が次々と現れては滅んでいく、人類史数百万年の間に育まれてきた。
るいネット 人類の本性は共同性にある①
るいネット 人類の本性は共同性にある②
共認機能という概念
チンケな「人種」「民族」「国家」などの観念や、それこそ頭の中だけで純粋に捏造された「宗教」なんかを理由に起こっている戦争や紛争が世界では後を絶たないが、もう一度、この科学的事実に立脚して人類というものを捉えなおす時期に来ているのではないかという気がする。
最後は、篠田氏が番組中で言ったこの言葉で締めたい。
私なんかこういう仕事をしていて感じるのは、これをやってもね、いくらやっていても国が出てこないんですよ。
どこに行っても国が出てこないんですよね。
で、ある時何かこうやってみんなが分かれたところに、こうやって定規で線を引っ張って「ここは私の国!」っていう感じにしているのかな、というふうにも思うんですけどね。
<関連エントリー>
原生人類の祖先が、3万年前に絶滅したデニソワ人と交雑していた?(“エイプマン”の紹介)
以下は参考までに
アフリカのグレート・リフト・バレー(大地溝帯)から世界中に旅立った人類の軌跡を見ることのできるフラッシュ。
[Jorney of Mankind]
再生ボタンを押していくと、約7万4000年前のところで、スマトラ島のトバ火山が大噴火したようすが映し出される。
スマトラ島のトバ湖はこの時の噴火によって形成されたカルデラ湖。ここ10万年ほどでは最大級の噴火とされ、地球の気温が数年間3~3.5度低下した。ヒトのDNAの解析によれば、7万年ほど前に人類の人口が一万人以下に激減し、遺伝的な多様性の多くが失われ現在の人類につながる種族のみが残った「ボトルネック(遺伝子多様性減少)」があったと考えられるが、これがトバ火山の大噴火に関連すると考えられている。(ウィキペディア:地球史年表)
おそらく(あくまで仮説だが)、15万年ほどまえにアフリカで生まれたホモ・サピエンスが、海岸沿いにインドを超えて東南アジアに進出し、せっかくはるばるたどりついたのに、7万4000年前に、このトバ火山の噴火の影響で大量死滅した、ということのようである。
ほとんど絶滅寸前まで追い込まれ、そしてほんの一握りの生き残りが繁殖し、現在の我々日本人につながっていると考えられる。
とても素晴らしいブログですね。
人類は一つだということですね。
人類は、固有の文化や環境の違いなどはあっても生物的には同じ種族です。
同族意識が団結を強めるのに、違いばかりを意識させ争わせようとするのは悲しいことです。生物学的に同じだと言う現実と、人類は一つであり、尊ぶべき存在だという理想が必要だと思います。他者を尊重すると言う心があって、文化や環境の違いからくる多様性を認め合い、共存していくことが出来ます。
雅無乱さんのブログのリンクをお勧めブログに貼らさせていただければと思うのですがよろしいですか?
MAさんのブログ、素晴らしいですね!
http://ameblo.jp/moneynosinri/
私のブログにもリンクを貼らせていただきました~^^)
これからもよろしくお願いします!