亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、反落でなく上昇一服「踊り場」

2024年04月11日 21時20分53秒 | 金市場

NY金の史上最高値更新の上昇が8営業日で途切れた。

10日のNY金は、4営業日ぶりに反落した。NYコメックスの通常取引は前日比14ドル安の2348.40ドルで終了。

 

米連邦準備理事会(FRB)による利下げのタイミングを測るうえで注目されていた10日発表の3月米消費者物価指数(CPI)は、市場予想を上回る伸びを示しNY金は売られた。 改めて目標の2%に向けて下がりにくい粘着型のインフレが示唆されたことで、6月の利下げ観測は大きく後退。米長期金利は急騰し、主要通貨に対しドルも大きく上昇し、金市場ではファンドの(アルゴリズムの)売りが引き出された。

一方、金融市場の値動きとは別に、中東ではイスラエルによるシリアのイラン大使館空爆をきっかけに高まったイスラエル、イラン間の緊張が、現実の衝突に発展する可能性が伝えられるなど地政学リスクの高まりがサポート要因となっている。

 

3月に入って連続的な史上最高値更新が続き、4月に入りさらに続き水準を大きく切り上げた。同じような展開は2010年9月から10月にかけても見られたが、現時点より1000ドル下の水準でのこと。当時は1200ドル台から1300ドルにかけて史上最高値の更新が続いた。国際的金融危機の中でFRBが量的緩和策を繰り返してた環境で、中国など中央銀行の買いが活発化していた。

 

いずれにしても今週は驚異のモメンタム相場も節目を迎えると見ていたが、それは上昇のさらなる継続、あるいは上昇一服から調整入りという双方向の可能性だった。そのイベントとして3月CPIを想定していた。ただし、結果を受けた市場の動きは上昇は一服したものの、相場は2350ドルを挟んだ狭いレンジ相場となっている。

 

FRBの利下げタイミングの後送りを市場が織り込みにかかる一方で、中東情勢の流動化が綱引き状態となっている。

米ブルームバーグがイランまたはその代理勢力がイスラエルの軍事・政府関連拠点への大規模な攻撃を近日中に仕掛けると米国はみていると、事情通の話として報じた。「恐らく高精度ミサイルを活用した攻撃が向こう数日以内にもあり得る。攻撃はあるかどうかというより、いつあるかの問題だ」と述べたとしている。イスラエル側は、イランが攻撃してくれば反撃するとしており、攻撃が実際に発生すれば中東情勢は一気に新展開を迎えることになる。

相場の手掛かり材料としての地政学リスクは、数値化できないゆえに、ファンドも対応に苦心することになる。

 

ただし、一般的にFRBの利下げが先送りされたからと言って、金融マクロ環境からの買い要因が消えるわけではない。金融の先行き不安定さに変化はない。

結局、上昇一服となってもそれが上昇トレンドの終了ということにはならないと思う。

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