亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ウォラー発言でガス抜きのNY金

2023年04月17日 20時18分18秒 | 金市場

先週末14日のNY金は4営業日ぶりの反落で、下げ幅も39.50ドルとやや拡大した。それでも下値は2006.00までで引けは2015.80。時間外取引も2017.60ドルで終了となった。

週明けはNY時間外アジア時間を2014.10ドルでスタート。日本時間午前に2008.20ドルまで下げ反転。アジア午後は2010ドル台後半で横ばい。ロンドン早朝から水準切り上げ2020ドル台に。日本時間の19時時点までの高値は2028.00ドルとなっている。

 

先週末14日の下げは朝方に以前からタカ派で知られるFRBのウォラー理事が一段の利上げに前向きな姿勢を示したことで、ここまで買い建て(ロング)を膨らませていたファンドの利益確定売りが広がったことによる。

14日の午前に米テキサス州サンアントニオで行われた講演で、「金融市場が明らかに安定していることは、FRBが3月の会合で利上げを決定し、金融政策の焦点をインフレ対策に置いたことが正しかったことを示している」とした。さらに「金融環境が著しくは引き締まっていないため、労働市場は引き続き力強くかなりタイトになっている。インフレ率も目標を大きく上回っており、金融政策をさらに引き締める必要がある」とした。

 

先週12日(水)のここのタイトルに「米CPI注意」として、当日発表予定の米消費者物価指数(CPI)について、「FRBは、(食品とエネルギーを除く)コアCPIをさらに財(goods)とサービスに分けインフレ動向を探っている」として、「コアCPIサービスは人件費の上昇などからむしろ上昇しており、足元のインフレの“しつこさ”を印象付けている」と書いた。

そして「(表面的な)総合指数の結果では判断できなくなっている」と書いた。

 

この日のウォラーFRB理事の発言は、このコアCPIが高止まりしていることを指摘したもの。 前月比ベースでほとんど鈍化しなかったことに言及し、「安堵感はなかった」とした。2%を目指すインフレ目標に対して「(今回のコアCPIの結果は)あまり進展がないことを示唆していると解釈している」と述べた。

市場がCPI総合指数が前月の6%から5%に低下したことを評価したのに対し、FRB執行部はコアCPIの高止まりを警戒していることを表明し、それにファンドが改めて反応し売りが膨らむということに。

ロングが急増していたので、ちょうどいいガス抜きになったということか。

来週はFRB関係者の発言自粛のいわゆるブラックアウト期間を控えることから、今週はFRB関係者による発言機会が連日予定されている。しかし、ウォラー発言が執行部の総意を語ったと思われ、大きく影響を及ぼす発言内容はないと思われる。むしろ銀行の貸し出し制限による信用収縮(カネ詰まり)を懸念するハト派的な発言などがサプライズとなる可能性もなくはないのではと思う。ちなみにウォラー理事の講演は20日にも予定されている。

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