亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金 ヘッジ買いした向きの益出し売り

2024年04月15日 20時20分10秒 | 金市場

先週末4月12日のN小幅に続伸した。

中東情勢の緊迫化を受け安全資産としての買いが膨らみ、さらに史上最高値を更新した通常取引は前日比1.40ドル高の2374.10ドルと終値ベースで高値を更新して終了。

前週に発表された複数の米インフレ指標からは、米国のインフレの沈静化に時間がかかり、FRBによる利下げ開始が後送りされるとの見方が強まった。実際に複数のFRB高官からも、「利下げを急ぐ必要ない」との見解が相次いで出された。6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ着手の見通しは急速に低下、市場が読む利下げ可能性(Fedウォッチ)は27.1%に低下した。前週は53.2%だった。

金の売り要因ではあるものの、年内利下げ転換というところまで覆ってはいない。つまり米金融政策の転換という基本シナリオに変化なしというのが足元の金市場の基盤になっている。

 

12日のNY金は、NY時間外のアジア時間から2400ドル台に水準を切り上げ、そのまま横ばいでロンドンさらにNYの早朝と高値圏ながら安定的に推移した。NY時間も2410ドルをやや上回る水準で横ばいだったが、米CBSニュースが複数の米当局者の話として、イランが同日中にも在シリア・イラン大使館空爆に対する報復措置に踏み切る恐れがあると報じたことを受け急伸。一時2448.80ドルまで買われ、取引時間中の最高値を更新。

しかし、その直後から売り優勢に転じ、朝方から売られていた株式市場が下げ足を速める中で反落状態となった。

2400ドル手前ではしばし売り買いが交錯するも節目割れで下げ足を速め、そのまま2350.60ドルまで売られる荒れた展開となった。終盤に買い戻されたものの、前述のように2374.10ドルで終了。その後の時間外取引では前日までとは逆に売りが先行し、前日比ではマイナス圏となる2360.20ドルで週末の取引を終了した。

 

ここまで調整らしい調整局面もなく水準を切り上げてきただけに、前日比プラス圏ではあるものの高値からは75ドル下の水準での取引終了は、一般的にはここまで異例の上昇相場も一巡ということになる。


日本の伝統的な4本足チャート(ローソク足)では売りシグナル点灯といったところだ。酒田五法は風林火山・・・むかしむかし証券会社に居た若き頃に読んだ罫線分析の本は今でも頭に残っている(笑) 

上げ幅のほとんどを失ったのは、株が下げて、もともとそのヘッジでNY金を買っていた向きが益出ししたものと思われる。この程度のことは、よくある話。

 

いわゆる地政学リスク昇の中で、12日はドルが主要通貨に対し大きく上昇したこともゴールドの売り手掛かりとされた。

欧州中央銀行(ECB)が前日11日の理事会で政策金利を据え置いた一方で声明文を変更、次回会合にて利下げに踏み切る可能性を示唆した。 ユーロは対ドルで5カ月ぶり安値を更新。ユーロドル相場は一時1ユーロ=1.0622ドルと昨年11月3日以来の安値を付けた。これを受けドル指数は106.038で終了。昨年11月2日以来約5カ月ぶりの高値で終了した。さすがにNY金の上値を抑えることになった。

 

なお日本時間14日午前に報じられたようにイランはイスラエルへの直接攻撃に踏み切った。 ミサイルと無人機による攻撃は、米軍中心の同盟国とイスラエル独自の防空システムにより大半は迎撃されたとされる。イランは大成功を収めたと宣言。

攻撃に当たり対外的に事前通告するなど一定の配慮を見せていることから、国内で高まっていた不満を抑えるためイラン首脳部の内政対策との指摘があるが、多くの人が言われなくてもそう思ったろう。現時点で攻撃継続の動きは見せていない。

 

問題はイスラエル側の応戦の有無に絞られている。米国を含む同盟国は、イスラエルが自制し、事態をさらにエスカレートさせないことを望んでいる。週明け15日の市場に、目立った動きは出ていない。

 

この環境の中でNY金がどう反応するか、今後の展開を読む上で重要と思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NY金あっさり2400ドル... | トップ | 相変わらず揺れるパウエル発... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事