亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

価格差広がるゴールドその他貴金属

2023年08月09日 20時16分18秒 | 金市場

8月8日のNY金は続落。米国で一部中小銀行の格付けが引き下げられ米地銀の経営不透明感が再燃したことに加え、7月の中国の貿易統計にて同国の輸出入がともに2桁の落ち込みとなったことを受け、リスクオフでドルが全面高となり、金市場は売り優勢の流れとなった。NY金は1959.90ドルで終了。

中国税関総署が8日発表した7月の貿易統計によると、輸出は前年比14.5%減少、輸入は同12.4%減少した。いずれも予想を上回る減少で、輸出は2020年2月以降で最大の落ち込みとなった。輸出と輸入がともに前年割れとなるのは3カ月連続となる。世界景気の見通しに懸念が広がるとともに、ユーロをはじめとする交易関係の深い国・地域の通貨が対ドルで売られ、ドル指数が上昇した。

一方、米国では格付け会社ムーディーズが7日夕刻に米国の中・小規模銀行10行の信用格付けを1段階引き下げたほか、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)、トゥルイスト・ファイナンシャル、ステイト・ストリートなど一部の主要行を引き下げ方向で見直し(ネガティブ)の対象とした。資金調達コストの上昇や金融当局による資本規制の強化、商業用不動産向け融資にともなうリスクの拡大などを理由に挙げた。地銀の経営不透明感が再燃したうえ、大手銀の業績悪化懸念も意識され、金融株全般の売りに波及しリスクオフ・センチメントの広がりが見られた。格付けの見直し対象になっていないゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースも売られた。

一方、欧州ではイタリア政府が(利上げに伴い)金利収入が膨らんだ銀行に対して40%の追加課税を導入すると伝わったことから、金融株を中心に売られユーロも対ドルで売られドル指数を押し上げた。

 

前日までは米長期金利の上昇を受け売りが先行した金市場だったが、この日はドル指数の上昇が売り手掛かりとされることになった。

中国の貿易統計に関しては、中国の内需の弱さと世界景気の減速を示したと受け止められ、株式市場では素材や資本財など関連株の売りを誘ったが、貴金属では金よりも銀、プラチナ、パラジウムの下げ幅が拡大した。NYパラジウムは1218.10ドルと、終値ベースで6月30日の直近安値を下回り2019年1月4日以来、4年7カ月ぶりの安値で終了した。NYプラチナは904.20ドルと昨年10月以来の安値で終了した。

金融環境と世界経済の見通しの双方から、ゴールドとそれ以外の貴金属との価格差はさらに広がると思う。単に割安感からシルバーやプラチナを買うのは塩漬けにするような感覚ならOKと思う。あるいは戻り待ちの短期のアヤ狙いか。

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1 コメント

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Unknown (ぱろ)
2023-08-17 10:47:42
ゴールドをお腹一杯買い込んで満足なはずなのに欲とは尽きないもので次はプラチナかなあ、、と。価格は激安だし金の50分1でしたっけ?くらいしか総量が無いと言われると風向きが変われば、もしかしてホームラン?なんていつも考えています、、でも亀井先生の塩漬けなら、、みたいなお言葉で思考停止しています。これだとベンチ入りして登板機会のない一軍選手のようですね。笑

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