亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

2000ドルに布石、米利上げサイクル終了を織り込む動き活発化

2023年11月21日 12時41分14秒 | 金市場

週明け11月20日のNY市場の金価格は続落となった。今週末はサンクスギビング(感謝祭)の連休が控えることから、前週からの利益確定の売りが先行する流れとなった。NYコメックスの通常取引は前週末比4.40ドル安の1980.30ドルで終了した。

 

NY金先物取引ではCTAと呼ばれる目先の投機筋(ファンド)の買い建て(ロング)が直近11月14日時点で重量ベース288トンとなっている。前週から39トン減ったものの、比較的高い水準が続いており売りが出やすい。2000ドルへの接近局面では積極的に売りを出していると見られ、また米長期金利の上昇やドル指数(DXY)の上昇時には、事前プログラム(アルゴリズム)に沿って売りが出ているとみられる。ホリデーシーズン入りを前に今週は、これらファンドのポジション(持ち高)調整の売りが出やすいタイミングでもある。

中東情勢はイスラエル軍によるガザ地区への本格攻勢が続いており、連日悲惨な報道動画が報じられている。停戦・救済避難への働きかけは伝えられるものの実現はしていない。一方で市場の反応は、他の中東地域での本格的な紛争にはつながっていないことから、地政学的リスクへの警戒感はひとまず後退している。

 

20日は、米財務省が1590億ドル予定している国債入札の内160億ドルの20年物入札だった。短期の財務省証券(国債)は高利回りで知られるMMFなどの残高が記録的に増加する中で引き合いが強いが、長期債は上乗せ金利(タームプレミアム)などから発行がスムーズに進むか懸念が残る。

午前中は入札を前に10年債中心に売りが目立ち利回りは上昇。そのタイミングで金市場では売り優勢の流れとなり一時1967.20ドルまで売られ、これがこの日の安値となった。午後に入り20年債の入札が順調に終わったと伝わると、10年債利回りは急低下し、金市場は買い優勢に転じ1980ドル台に復帰した。結局10年債は4.422%と9月20日以来の低水準で終了した。

こうした中で為替市場では前週末以来のドル安の流れが続き、ドル円相場も3日続落(円高)で1.2円ドル安円高の148.39円で終了。日本円以外にもドルは売られドル指数(DXY)は一時103.379まで下げ103.438で終了。9月1日以来2カ月半ぶりの安値となる水準に。米利上げサイクルの終了が確実視される中で、それを織り込む動きが続いており、本日21日午前の時点でドル円は147円台に突入。ユーロドルも1.0958ドルと直近の戻り高値を更新している。

 

本日は11月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が発表される。市場では注目材料とされるが、先週は多くのFRB高官の発言が伝えられており、その中におおむね内容は含まれていたと思われる。それよりも、24日(金)にS&Pグローバルが発表する11月PMI(購買担当者景況指数)速報値に注目している。

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