まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

呪われた村

2018-01-10 | 韓国映画
 「哭声 コクソン」
 韓国の田舎町で、猟奇的な連続殺人事件が発生。犯人はすべて被害者の身内で、みな奇妙な湿疹と放心状態という共通点があった。村の警察官ジョングは、村に流れつき住みついた謎の日本人が事件に関わっている、という村人の噂を聞き捨てることがきず、捜査に乗り出すが…
 猟奇サスペンス映画の傑作「チェイサー」のナ・ホンジン監督作品。去年の年の瀬になって、ファン・ジョンミン目当てでレンタルしたこの映画、衝撃的すぎて他の映画をふっ飛ばしてしまいました。狂気と驚喜のトンデモ映画でした。やっぱ韓流映画は侮れません。こんな強烈で面白すぎるゲロゲロ(死語)は、もう邦画では望むべくもありません。最近、ヤバい表現を規制するポリティカル・コレクトネスとやらが、映画やドラマをどんどんつまんなくしてますが、そんな偽善や小心にクソ食らえ!この映画は、そんな大胆さと過激さで私を魅了してくれました。

 とにかくエグくてグロいシーンや暴力描写にかけては、今や他国の追随を許さない韓流映画です。この映画も、かなり危険水域に達していました。おなじみの猟奇殺人ものかと思ってたら、しだいにおどろおどろしいオカルトな展開となり、しまいにはもうワヤクチャな阿鼻叫喚キ◯ガイ映画と化していき、もう観てるほうも頭がおかしくなりそうに。2時間半以上ある長さにも気づかせないほど、激流に飲み込むような怒涛のクレイジーワールドでした。

 ホラーやオカルトはどこの国でも作られてますが、韓流には他国にはない独特なドロ臭さ、土着感があります。とても現代の話とは思えない未開の野蛮さが。今でもあんな村、あるんですね~。スマホとかネットが出てこなかったら、60年代の話かと思い込むところでした。古い因習とか、まがまがしい呪術などが似合う閉鎖的な田舎の雰囲気や、そこに住む人々の閉塞感とか鬱屈が、おどろおどろしい惨劇を見事にコーディネートしてます。朝鮮の人々といえばの、狂気じみた錯乱ぶりもヤバすぎ。ギャーギャー大騒ぎ、血まみれ血みどろで、涙やゲロなど体液を搾り出すような、悪いものに憑かれたかのような集団ヒステリー&パニック。まるで岡田あーみん先生の漫画みたいで笑えたわ~。この映画、確実に笑いも狙ってます。祈祷師の除霊の舞とか、ゾンビとケンカ?シーンとか、き◯がいすぎて大笑い。そういうところも好き。地獄絵図の中を楽しく彷徨う、みたいな映画です。オカルトの真相とか、明確な答えは語られぬまま映画は終わるのですが、そんな観客に委ねる謎も余韻を残します。たぶんあーだろうな、きっとこうだ、みたいな想像や推理も一興です。

 ヤバいシーン、ヤバいキャラのテンコ盛りですが、特に怖かったのは、村人の噂や悪夢の中に出てくる、山の食人鬼。あれ、ほんと夢に出てきそうなインパクト。小さい子どもが見たら、確実にトラウマになります。悪魔に憑依された女の子も、「エクソシスト」より激しくて醜悪で壮絶だった。あの子役、すげーわ。芦田マナとか心ちゃんなどには、絶対ムリな演技だった。よく親が許可したな~。あと、オカルトシーンなどで安易なCGを濫用してなかったのも、生々しい怖さを倍増させてました。
 この映画を観たのは、最近お気にのファン・ジョンミン目当て。

 祈祷師役のファン・ジョンミン、中盤になってやっと登場します。めっちゃ胡散臭いけど、めっちゃ男前です。除霊の祈祷シーンでは、圧巻の熱演!踊り狂うファン・ジョンミンに目がクギヅケになります。男の色気もハンパなく、怪しくてカッコいいファン・ジョンミンに惚れ直しました。彼の役も謎に満ちていて、敵なのか味方なのか、それとも…な言動に、主人公だけでなく観客も翻弄されます。

 主人公ジョング役は、ファン・ジョンミンとは「アシュラ」でも共演してたクァク・ドウォン。彼も渾身の熱演でしたが、いちばん美味しい儲け役だったのは、謎の日本人役の國村準。見るからに怪しい、危険な存在感を、毒ガスのようにジワジワと醸していました。日本人が飼ってた犬も、まさに狂犬で怖かった。犬を撲殺するシーンだけでも、もう邦画やハリウッド映画ではポリコレ的にアウトでしょう。日本人=災いをもたらす悪魔、な設定も意味深でした。國村さんの役も謎だらけで、実は?!いや、やっぱり?!なドンデン返しも、映画を面白くしています。
コメント (8)
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